25.回復と方法
ごめんなさい!日にち間違えました!
推定時刻午前三時。
私たちは暗闇の中座り込んでいた。
「…………」
このままマル君が目を覚さなかったら……
体の芯がスーっと冷えていく。
「重症……祈ってるだけじゃ何もできません、回復しましょう。」
翠竜は手を握って開く。
すると、中には私の肩に埋め込まれたのと同じような種が現れた。
それを自分の手の甲に埋め込もうとするから、
「待って待って、え、自傷しないと回復できない?」
「軽いやつだったらできるんですが……」
明らかに軽くないし、とボヤく翠竜にぬーっと唸る。
「私の肩に埋まってるやつ先に使わない?この種って一定量使ったら消えたりする?」
普通に痛いんだよね。
「あ、そうですね。体力は大丈夫だと信じます。」
私を生気?が抜けていくなんとも言えない感覚が襲う。
肩に埋め込まれた異物がなくなった感覚がした。
「あ、終わった。」
「……回復傾向がありませんね……」
「……どうすればいいんだよ、目ぇ覚せよ……」
「翠竜ー、アイ竜になったらどーにかなったりしないー?」
「できはするのですが……魔力が馴染まなくて反発するかもしれません、」
それでも、
「やってみる価値はある。」
「ここでウズウズしていても何も始まりません!」
「可能性はー、ひとつでも多く試すべきだよー」
こくんと頷いた翠竜を見て、アイが手を合わせる。
目を伏せた二人は再び呪文を唱えた。
「「『我々は、病めるときも、健やかなときも支え合おう。魂の契りの名にかけて。』」」
魔力の光の後にアイ竜が現れた。
「んー、呪文(結婚式風)」
「魔力の回復がだいぶできたので、マルトさん一人回復させるならできそうです。」
「じゃあ早速、よろしくだぜ」
「「『回帰』」」
「………………」
「いたっ、反発ー、」
呪文は弾かれた。
マル君にかざした手から火花が出て、回復が成功しなかったことがわかった。
「……回復魔法って反発することあるんだね。」
「みなさんのパーティーって回復役いませんもんね。」
「魔力の親和性が高ければいいのか?」
「多分ねー、」
「じゃあ多分、転移者がやった方がいいんだと思うぜ。」
「だけど、ここから帰るのには……」
「はい、ドラゴンに乗っても三日です。この体力だと持たないと思います……」
「チッチッチッ、忘れてもらっちゃ困るぜ」
「なんかあるなら早く言ってよー」
アイにどつかれて口を尖らせながらもジンが言う。
「キョウが初めてグリモアと同化した時。怪我した俺らを回復した魔法、なーーーーんだ、」
「!癒しの軌跡!」
「当たりだ!俺たちが持つ唯一の回復手段だ!」
「自分ではやったことないけど、それしかないんだよね……」
ん、やってみよ!
「あ、キョウー、接触面積を増やした方がいいと思うよー」
例えばこうやってみたりとかー、アイがエリさんの腰に抱きつく。
ほほえましい。
「......女子が男子にやると意味が変わっちゃうぜ」
「だけど実際問題付与魔法は接触面積が多い方が効きやすいですよ?」
「えー、そうなんだー」
「おい」
お前が言い出したんやろ。
「マル君が助かる確率を上げるか、私のファーストハグ(?)を守るか......難しい問題だな。」
「そこは冗談でもマルトが大事だと言ってほしかったぜ」
「うん、冗談。普通にマル君の方が大事だし。」
これは人命救助。決して他意はない。勘違いしないように。
寂しがりな弟にするように。
マル君をギュッと抱きしめる。
「『精霊魔法:全 癒しの軌跡』」
暴れ出そうとする残り少ない癒しの魔力を押さえつける。
癒しの軌跡は範囲回復魔法だ。
それを無理やり単体回復魔法に変える。
自分の体にやることができるなら他人の体にもできるか?ということだ。
結論、無理。
「………………」
「どうだ?」
「魔力が足りないのと操作が超大変。」
「多分、弱反発もおこっているのだと思います。」
「……どーしよー」
「脈は弱まるばかりだし、」
「ということで、翠竜流奥義を披露いたします。」
「おー?いきなり始まった三分クッキングー」
空気がシリアスからギャグに路線変更する。
「まず、今必要なものをいいましょう!それは魔力を受け入れる器、大規模な魔力と操作性です。」
「まあ最もですね、それがあればどうにかなりそうです。」
「なんと、この奥義の応用ってそれが全て手に入るのです!」
「おおおお!そんなお得なものが!いったいおいくらだぜ?」
「今ならさっきのキョウさんの目玉のお釣りで無料!」
「なんですとー?!これは今買うしかないねー!」
「……はい、茶番は終わりました。やりますか?やりませんか?」
「確率が上がるのならやるか、詳しく教えて。」
「つまり高速成長、あなたがたを今から十八歳くらいまで外見のみ成長させます。」
「ほぉ、」
「以上です」
「どシンプルだぜ!そして強いこともわかるぜ」
「まあデメリットがないなら?」
「やってみてもいいと思うよー」
マル君を中心、私たちが周りに立つ。
「翠竜流奥義『grow up』」
毒トラップ(笑)が発動する時の呪文。
だけど込められた魔力の量が比じゃない。
「この魔法は成長を早めるもの」
「タイムふ⚪︎しきってことー?」
「?わかんないですけど、多分?」
私たちの体に変化が起き始めていた。
予約する日を一日間違えました…
楽しみにしてくださった方、ほんとに申し訳ない!




