19.洞窟崩壊と集合
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーsideキョウ
「ちなみに、どうするの?」
「アドリブにゃん!」
「じゃあ、お互い一番強い技でかっこいい決め台詞も!」
警戒したように翠竜が手を翳す準備をした。
「全てを斬り裂け!『ウィンドカッター』にゃ!」
「どこまでもゆけ!『星の軌跡』!」
「「『斬星の軌跡』!」」
緑の風を纏った星が何個も飛んでいく。
当たったか……?
壁にもぶつかり、土煙が舞った。
「キョウ、いるかにゃ?全然見えないにゃ!」
「多分平気、気をつけて!」
剣を油断なく構える。
土煙が晴れていく。
マル君と合流しようと足を踏み出そうとした。
「?!」
「つぅかまぁえた、すごく痛かったよ?」
前からギュッと飛びつかれる。
体を支えきれなくて後ろに倒れる。
頭打ちそうだったよ、危なぁ。
というか、
「翠竜……死んでなかったんだ」
「ボロボロですけどね。」
人格が交代したようだ。
敬語の丁寧なS人格が私を押し倒す。
抵抗しようとするけど、力が強い。
起きようとするけど、腹の上に乗る翠竜が邪魔で起きられない。
「キョウ、大丈夫にゃ?!」
「ちょっと大丈夫じゃない!」
呼吸が少し阻害されて、咳き込む。
「今助けにっにゃ?」
「どうかした?」
「足に蔦が絡みついて、動けないにゃ!」
「救出させるわけないでしょう」
結構ピンチ!
どうしよ……
ゴロ…………ゴロガラ
「ん?」
「…………なんか既視感ありにゃ」
ガタガラゴロ!
「洞窟が、崩れて!」
「あんな魔法を使ったらそうなるに決まってるでしょう。」
「崩れ落ちたらまずいにゃ」
「アイたちも生き埋めに……」
「どうしようにゃ」
土煙が晴れきる。
下に降りて来た砂が目に入らないように目を瞑る。
私には見えないけど、マル君の視界内に私たちが入ったようだ。
「、翠竜、キョウを離すにゃ!」
「私はここから抜ける方法がありますので。限界まで足止めさせていただきます。」
「キョウ、抜けられそうかにゃ?」
「無理です!」
「……ずっと目を閉じてますね。もしかして誘ってます?」
「んんんにゃんっ?!」
「んなわけないやろ!」
「鋭いツッコミにゃ!」
目をパッと開いて、睨みつける。
翠竜はニマニマとしている。
私は見逃さないぞ!耳が赤いな!
たぶん私も顔真っ赤だけど。
「キョウに変なこと言うのやめていただけません?」
マル君が珍しくガチトーン。
蔦が足に絡まってなかったら物理で切り裂いてそうなくらいに怒ってる。
そういう話題嫌いなんだなー。
「……なんか凄まじい勘違いが起きてる気がするにゃ」
「まあ、冗談はこれくらいにします。」
「早く解放して!」
「無理ですね。私の体力が回復するまでは」
「ッ、んんん?!」
肩に何かが埋め込まれる。
丸い、さっきのような……種?
「魔力を吸い取る種です。体力が回復します。」
異物が肩に埋まって痛い。ジタバタと踠く。
痛い痛い痛い痛い!
手と足が抑えられて暴れられない。
「キョウ!落ち着くにゃん、暴れると……」
がらん、がら
落石だ。
天井を固めていた岩が落ちてくる。
「イッ、」
「〜んー?!」
「足が、岩に挟まれて、」
状況を理解して、歯を食いしばって痛みを堪える。
これじゃ、動けない……
翠竜は私の上で馬乗りになって、膝に肘をついてくつろいでるし。
マル君は落石に巻き込まれて、足を怪我。
挟まっていて身動きが取れないと思う。
私は翠竜が乗ってるから言うまでもなく。
ガチで全滅がありうる状況に痛みも重なって、冷や汗が顎を撫でる。
そんな時に、ドタバタと足音がした。
「ッ、ちょーっと待ったー!」
「そこまでだぜ、翠竜!」
「キョウさんを離してください!」
見えないけど、アイとジンとエリさんだ。
「!ジン、無事だったにゃ!」
「心配かけたぜ!」
「そこー!感動の再会はまたあとねー。」
「確かにノロノロしてると、岩で動けなくなるかもしれないにゃ」
「現に動けなくなってるマルトが言うと説得力が違うな。」
「シャラップにゃん!」
ゴロゴロと音がしてマル君がお礼を言う声が聞こえたから、きっと救出されたのだろう。
「後はキョウさんを救出できれば逃げれますね。」
「キョウ、どうにかできないか?」
「…………ん、任せて!」
狙え!人体――こいつが人かは要審議――の急所!
喉笛に噛み付く。
噛みちぎる勢いで顎に力を込めた。
「ッいった、」
首を振って私の噛みつきを離すと、飛び退いた。
「よし!抜け出し完了!」
「うわ、痛そー」
「…………首筋が赤くなってるにゃ……」
「…………キョウ、後で言うことがあるぜ」
「それもいいですが、早く逃げ」
ゴロンゴロガラ!
「うわ、考えうる限りの最悪ですよ。」
「出口が……」
「きれーに塞がったな。」
落ちてきた岩で塞がった階段がある通路への道。
「ふふ、よくやってくれましたね。」
蕩けるような笑みを浮かべながら、にじり寄ってくる翠竜。
私は立ち上がって、みんながいるところまで対比した。
肩を押さえる。失血しすぎて視界が揺れる。
「……どうする?」
「とりあえずだが、これを」
ベルトを渡される。
ジンと共にいなくなったテイマーベルト。
「あ、よかった〜……」
「これで戦えるにゃ!」
「あー、戦う前にちょーっと待ってー」
一歩アイが前に出る。
真面目な顔をしていたから、邪魔するのはやめた。
本編に戻って参りました!




