8.合体とVS鹿もどき
「ふわぁ……おはよー……」
「おはよーにゃ。相変わらず朝に弱いにゃ」
「んー、まぁね。で、今日はどうするの?」
『今日は見つけた金の魔力を追うらしい。』
「アイはウサギと一緒にいるはずにゃ!追いかければ集合できるはずにゃ。」
「おけおけ!ちなみにジンはどうするの?」
『それなのだが……』
「赤の魔力をどれだけ辿ってもジンがいなかったんだにゃ……」
『何かあったと考えて、行動するべきだと思う。』
それは心配だ。
ジンもテイムモンスターも強いから心配ないと思うんだけど、方向音痴だからなぁ。
テキパキと出発準備をすると、マル君がリフェルに跨る。
「?マル君がリフェルに乗るの?」
「にゃ。アイは遠いところにいるみたいにゃから、魔力を合わせないと探知ができないにゃ。」
『だけど、キョウとマルトを両方乗せるとスピードが出ない。ということで、マルトと私の魔力を合わせて探知しながら進むことになった。』
「あー!そゆことね!」
私の反応を見て、説明が終わったと理解したマル君は私にも早く乗れと言う。
昨日マル君が乗ってた黒狼に乗ると、一団は森の中を駆け出した。
爪を慣らしながら走る群れは昨日よりもリズミカルで速い。
「やばい!前から木が!」
「Whatにゃ?!」
急ブレーキをかける。
黒狼たちも止まった。
「にゃー、失念だったにゃ。」
「普通に目ぇ閉じながら走るなよ。なんでここまで来れたのか謎すぎる!」
『うむ、だがどうするのだ?二人分の魔力がないと、場所がわからないぞ?』
んー、と頭を悩ませていると、いきなりワンって言う鳴き声がした。
鳴き声の方向を見ると、尻尾を振る黒狼がいた。
黒狼の上に黒狼がどんどん積み重なっていき、最終的に五匹積み重なると、ぱぁって光出す。
そして、周囲の明るさが平常に戻ってきた時に、そこにいたのは三個の頭を持った『ケルベロス』。
「うわぁ、ケルベロスにゃ。」
「今の変身シーンが明らかにキングス⚪︎イムで笑う。」
『キングスラ⚪︎ムとはなんだ?』
「んーとね……」
「というか、あとの二匹は……」
「尻尾が二つあるからそれかな?」
『とにかくだな。これだけ大きかったら二人乗りが可能だな。』
「あ、そうだね。」
ということで、マル君を前に乗せて私が後ろに乗る。
マル君が不満そうにしているところに身長の関係だからしょうがないということをリフェルが伝えようとして、地雷を踏み抜いたのはどうでもいい話。
魔力でアイの後を追う。
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あっという間に半分夜色の夕方。
進んでいた私たちはマル君の困惑した声により、足を止めた。
「にゃ、え?」
「どかした?」
「アイの魔力が途切れちゃったにゃ。」
「どゆこと?周りの景色とか方角とかわかる?」
「方角は今の方向にまっすぐだにゃ。だけど、距離と景色は変わったところがなかったからわからないにゃ。」
『…………こっちの方角が目的地か。今日はここら辺で休まないか?』
リフェルが言ったことをマル君に伝えると、頷いて大きなケルベロスから降りる。
後を追うように降りると、待っていましたとでも言いたげに魔物に囲まれる。
「うわぁ、最近リンチ率高めじゃない?」
「だけど、そんなに強そうじゃないにゃ。」
「失礼すぎ(笑)」
「殲滅したいところにゃけど、ケルベロスの戦ってるところも見てみたいにゃ。」
「確かに!ということで戦える?」
嬉しそうに尻尾をパタパタと振って一声鳴いたケルベロスが頼もしい。
「任せろって言ってるにゃ。」
「最高すぎる。この前まで敵対してたのにね。」
『黒狼は「絶対服従」が特徴だ。昔の人々は黒狼を奴隷にしようと、様々な方法で恩を売ろうとしていた。』
ほぼ仕掛けられたもので怒りの黒狼に抹殺されてたな。と付け足すリフェル。
うわ、マッチポンプだにゃ。とマル君が顔をしかめる。
『マルトよ。指示を出してあげたほうがやりやすいと思うぞ。』
「キョウじゃにゃいのにゃ?」
『ああ、多分ケルベロスだから「保存」「再生」「霊化」ができるはずだ。』
「あ、神話と同じなんだ。」
「なんでそんなこと知ってるんにゃ……」
「かっこいいから調べた⭐︎」
はぁ、とため息をついたマル君は前を向く。
一対一だったら、ポケ⚪︎ンバトルみたいで面白いのに。
周囲が囲まれてるから安全圏からの観戦ができない。
腰に刺さってる剣を抜いて、リフェルと並ぶ。
「さぁ、いってみよう!」
「『保存』!」
パリッと音がして、三分の二ほどの魔物が動かなくなる。
すごい。ほぼ見た目が変わらない。
ちなみに今回戦っている魔物は鹿型だ。
あ、鹿に似てるってだけで結構違うところもある。
体から植物が生えてたりとかね。
残った動く鹿もどきにとどめを刺していく。
もっと多かったら大怪我してたのかもしれないけど、数が少ないからかすり傷で済んでいる。
私が対応していないところでは、リフェルが噛み付いたりケルベロスが尾で払ったり、マル君が魔法を使ったりしている。
ちなみにここではジンに炎の魔法を使わないようにと厳命を受けている。
少ない鹿もどきを斬り終わると、保存していた鹿もどきも倒すことにしたようだ。
「『霊化』、にゃ。」
うおーんと三つの頭が一斉に鳴く。
息絶えていなかった鹿もどきが光を発する。
光の粒子が天に昇っていく。あれが霊なのだろうか。
暗い夜空に映える金色の光の群れに手をかざす。
「ホタルみたいだね。綺麗。」
「にゃ。倒せてよかったにゃ。」
ふぅっと息をついた。




