13.戦と影
こんな感じの流れで村の外に出てみたら、はじめに遭遇したのはオーガだったという話だ。
「結構ピンチだったねー」
「囮は怖いね。」
「もう一人の人格はなんか、神速?みたいな感じだったから、」
「じゃあ、次はアイが訓練だな。」
マル君、アイ、ジン、私の順でモンスターを倒してみようって話になった。
「一人で倒すのは無理があるかもねー」
「じゃあ、さっき決めた配置で戦ってみるか」
「そうだね。一人で戦うことはなくしたいし」
「それで行ってみよう!」
私達はモンスターを探しに、歩き出す。
「さて、どっちに行ってみるか?」
「んー無難にスライムがいたほう?」
「そうだね、戻ってきてるメンバーもいるかもしれないし。」
「いたらいいなー」
さっきの鬼は火葬処理をした。
この世界にはゴーストというものがいる。
火葬処理をしていない人が、半透明のモンスターとなるものだ。
そう、『モンスター』である。
「あっスライムー!」
「捕まえるか?」
「ううん、やめとく。」
「じゃあ連携で倒そう!」
スライムを見つけた。
マル君の号令を元にジンとアイがスライムの前に飛び出す。
私はマル君を守る位置に立ち、卵蛇が腕に巻き付く。
これが私たちの戦闘隊形だ。
一番前にジンが立ち、斧で短距離アタック。
次にアイが立って、魔法の活用とともに槍の中距離。
中衛の位置に私が立って指示を前衛に伝えたり、右手で剣を構え、卵蛇を左手に巻きつける。
後衛にマル君が立って両手で杖を構え、呪文と全体の戦況を私に伝える。
みたいな感じでバランスよく戦う・・・を目指している。
今は皆、剣を持っている。
「スライムは火が苦手だから、マル君の詠唱が終わるまで、時間を稼いで!」
スライムは吸収の可能性があるから接近攻撃は禁止にした。
魔法は普通の魔法の詠唱には時間がかからないが、スライムを一撃で倒すには、次のレベルの魔法が必要だ。
だけどマル君は使い慣れてないから、完全詠唱が必要だ。
例えば、ワンスペルである常用の『ファイア』は簡単で、短縮詠唱でできる。
だが威力が少し多いツースペルの『ファイアボール』は少し難しいから、
完全詠唱『炎の力よ 紅き球となり 我が示すもとへ 飛べ』。
みたいな感じの息継ぎが必要な呪文がないと安定しなくて、速度も決まっているからスピードも出せない。
(私にできること、それはマル君を守って、代わりに戦況を見ること。)
テイムした魔物は私の目でも手でもある。
魔力が通っている限り卵蛇の目は私の目になる。
私は左手を掲げ、目を閉じる。
そこに見えるのは少し上の光景、ジンの背後にスライムの小さな触手が迫っているのが見えた。
「ジン、後ろ!」
「?!サンキュ!」
横っ飛びで避けたジンが敵を見据えながら礼を言った。
「触手が別行動してるよ!気をつけて」
「了解ー」
アイはスライムを走り回って攪乱する。
触手がバレたことを悟ったのか、スライムは束にした触手でアイと追いかけっこしている。
「準備できたよ。」
「おーけー、アイ!マル君の射程範囲内にスライムを引き寄せて、自分は魔法を避けて!」
「ハードー!」
「ファイトだぜ」
マル君が準備できたらしいから、私がアイに指示を飛ばすと、アイに文句を言われた。
まあまあ、アイが走ってきてるから我慢しましょう。
「いくよ!『ファイアボール』!」
マル君の手から解き放たれた紅き火球はスライムの前を走るアイの方へ行って、アイが避けると現れたスライムの触手を焼いた。
「本体には当たらなかった!」
「もう一発いっとくー?」
「いや、触手と本体は連動してるっぽいぜ」
ジンがいる方を向けば、スライムが蒸発していた。
「仇はとったぜ、ミヤビ。」
悲しそうな顔で、元スライムを三秒程見つめると、こちらを向いた。
「取れる部位あるのか?」
「多分、コアがあるはずなんだけど」
「これに手を突っ込むのー?」
えーという顔をしたアイを上から見ていたが、慌てて、魔力の接続を切る。
魔力の多さがわからないから、無駄遣いは禁止だ。
手も引っ込めると、まだ私の腕に巻きついていなかった卵蛇が一瞬飛ぶ。
何事もなかったように、着地した卵蛇はスライムに頭を突っ込んだ。
「わー!何してんの?!」
「溶けるぞ?」
パッと頭を取り出した卵蛇は口に半透明の緑色を加えていた。
そして、頭を逸らすと、『どうですか、主人!』というように鼻をふんすと言わせる。
私は卵蛇からコアを受け取りながらえらいえらいと頭を撫でて、腕に巻きつけた。
「こいつ、こっち見た時なんか勝ち誇ってた」
「キョウのテイムモンスターはなんか、かわいいな。」
ジンがこっちを見てソワソワする。
「爬虫類って鱗がツヤツヤしてるもんね。触って平気だと思うよ。」
私が腕を突き出しても、卵蛇は大人しかったから、ジンが近付いて、ゆっくり撫でる。
ほわほわと幸せオーラを飛ばすジンに触発されたのかいつの間にか卵蛇なでなで大会が開催されていた。
(・・・能天気なのも大切だよね。)
今日はたくさん歩いた。
いつの間にか夕日が沈みそうになっている。
影が伸びていく。
(あれ?今、マル君の影が・・・疲れてるのかな)
一瞬、マル君の影が揺らめいた気がした。
だけど、見ているうちに揺らめきが強くなっていく。
(何か・・・出てくる!)
揺らめきが一番強くなった瞬間に、私はマル君の腕を思いっきり引いて、影を踏みつけた。
この世界の魔法の序列は、『ワンスペル』→『ツースペル』→『漢字一文字』→『漢字二文字』みたいな感じです。
例外などいろいろありますが、とりあえず言いたいことは、卵蛇はメチャクチャ強いです。
ちなみにこのことをキョウたちは知りません。
ストックがある限りは毎週金曜日に更新予定なので、見てくれると嬉しいです。
評価などもらえると、作者の活力となりますのでお願いします。
誤字報告もしてくれたらできる限り直します!




