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そのお嬢様には休暇が必要です  作者: Daia
第一章 白金の王子
4/6

白金の王子 3.

 本日連続投稿です。


【あらすじ】

 セルヴィア、葬儀より帰還

「……ん?お父様?」


 夜会—―もとい葬式の挨拶に疲れた私は、休憩室に向かっていた。

 いや、ほんとにあった怖い話。挨拶だけなら貴族として教育を受けた私、余裕でこなせるんだけど、明らかに下心を持って近づいてくる方がいるんだよ。そう、つまりロリコンが。

 こわい。すっごく怖い。セルヴィス連れて来なくてよかった。あの子、多分夫人や令嬢、殿方にも絡まれる。お父様はこうなることがわかってて来させなかったの?お父様も美形だし、昔はさぞモテモテだったんだろうなぁ。ちょっと気になるかもしれない。あとで調べよう。

 私が気になったのは、お父様に激似の男性が描かれた肖像画。一瞬お父様かと思ったけど、第23代ラングラシュ公爵って書いてあるし、お亡くなりになった公爵閣下なのか。

 それにしても、お父様そっくり。さすがは兄弟。双子みたい。確か三歳違いだったはずだから、双子では無いのよね。

 少しだけ気にはなりながらも、私は会場に戻った。早くしないと、お父様が激おこよ。





「お帰りなさいませ、お嬢様」

「うん。ただいま~」


 お出迎えしてくれたのは、執事長のセバス。私も最近名前を知ったばかりで、反射神経が凄いおじいちゃんである。

 常に穏やかな表情をしている彼は、私にとって祖父のような存在だ。セルヴィアの実のおじいちゃんは領地に住んでるけど。


「セバス、お母様とセルヴィスはどうだった?」

「はい。特に問題はありませんでした」

「ならよかった。……あっ、そうだ」


 セバスから報告を聞いた後、私はあることを思い出す。


「お父様とラングラシュの伯父様、お顔立ちはほとんど似ているの?」


 例の肖像画だ。長年クライン家で執事長を務めてきた、セバスならわかるだろう。そう思い、聞いてみることにしたのだ。

 彼は、その穏やかな瞳を思い出すように細め、話しだした。


「はい。お二人は瓜二つでした。見分けることができたのは、お二人の実母で、セルヴィア様のおばあ様ぐらいでした。私もすぐには分かりませんでしたし。身長で見分けようにも、本当にすべてが似ていたので」


 そこまで似てたのか、二人は。顔は同じ、身長もほぼ同じ……見分けられないのは当然か。


「18年前、ジルベールさまがラングラシュ公爵家に養子として引き取られ、やっと見分けがつくようになったのです。その当時の使用人は既に私しかおりませんが、呼び間違いがなくなり、多少は楽に、仕事ができるようになった者が多かったと思います。

 10年前あの方がクライン領にいらっしゃったとき、変わらぬそのお顔をみて、私がどれだけ安心したことか……」


 クライン家の使用人は、お年寄りがとても少ない。セバスぐらいである。当時を知る者は、もう退職してしまったのだろう。

 それにしても、10年前、か。少しだけ気になるわね。


「ねぇ、セバス」

「……何でしょうか」

「ちょっとだけ、気になることがあるのだけど、手伝ってくれる?」

「危険なことでなければ」


 私が何を考えているのか、セバスは分かっているかもしれない。

 果たしてこれが危険なことかどうかは分からないが、手伝ってくれるだろう。


「お父様の執務室に入りたいの」





 セバスは快く了承してくれた。

 むしろノリノリ。扉のみではなく、全ての棚を開けてくれた。


 —―私がお父様の実の娘とはいえ、こんなことして大丈夫なの?


 その疑問を投げかけると、「バレなければOK」という大変雑な返事が返された。

 お父様にバレたら、怒るだろうなぁ。だけど、私の好奇心を満たすため。そして家族の真実を突き止めるためである。

 私が見たいのは、クライン家の家系図。

 なぜかというと、少しだけ気になったのだ。セバスは言っていた。10年前、伯父さまがクライン領に来た、と。

 10年前と言えば、セルヴィスの生まれる少し前だ。

 もしその時、テレーゼお母様のいた娼館に、伯父さまが行ったことがあるなら。

 セルヴィスという子供が出来たとしても、おかしくない。

 もし、ジルベール・クライン――またはジルベール・ラングラシュとテレーゼお母様の間にセルヴィスの名があれば、この説は当たり。なければハズレ。


 —―あっ、これか。やっぱりクライン家って、かなり続いているのね……。


 とても大きな紙が、額縁の中に入れられ、壁に飾られている。

 少しだけ触ると、強い魔力が感じられた。

 これが、家系図だ。

 急がなければ、お父様が帰ってくる。早くしなければならない。


「セルヴィス、セルヴィス……あった」


 結果。一番下に記載されていたそれは、……ジルヴェスターお父様とテレーゼお母様の子とあった。


 —―じゃあ、本当に、セルヴィスは、お父様の不義の子……?


 信じたくない。

 クライン男爵は、愛妻家。それは、ずっと聞いていたこと。

 なのに。


 本当に、セルヴィスはお父様の実子なの?


 家系図の隣にある、私の実母—―シェリーお母様の肖像画。美しかったあの人は、つい最近亡くなってしまった。

 貴方のシェリーお母様への愛は、本物ではなかったのですか?

 本物と、信じていいのですか?

 有り難うございました!

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