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僕は魔王の寵愛を受けて復讐する  作者: 神尾瀬 紫
7/7

ーーー母親は

お久しぶりでございます。

年末更新になってしまいました。

(現在紅白見てます)


今回は閑話ということで現世サイドになります。

だいぶモヤっとする内容なので、読まなくても本編にはあまり関わりありません。



 

 

 息子が行方不明になって三ヶ月。

 母はイライラとため息をついた。

 

 いなくなった日。

 息子のスマホに電話をかけても留守電に切り替わるだけで全く出なかった。

 夜中まで待って捜索願を出しに行って、真っ先に言われたことが“遊んでいるだけではないのか”

 確かに高校生にもなれば夜遅くまで遊ぶこともあるだろう。

 カラオケで、ゲーセンで、ショッピングセンターで、友達と盛り上がって時間を忘れることくらいあるだろう。

 ただ、優豪は違う。

 そんなに派手な遊びをする子ではない。

 今までだって夕御飯に遅れたことなどない。

 ・・・そんなふうに遊ぶ友達もいない・・・

 母は頭を振った。

 息子に友達がいないなど、恥ずかしくて誰にも言えない。

 だから警察には『今日は早く帰ると言っていた』と言った。

 次に聞かれたのは家出の可能性。

 優豪の通帳を見ると残金は数千円で、何回かに分けて引き下ろされていた。

 しかし何かを買っていた形跡は無い。優豪の部屋に物は増えていない。

 それを持って出て行ったとしても、出て行く理由が思いつかない。

 思いつかない。そう言った。

 そして次の日の朝、警察官が学校へ行き話を聞いてきたらしい。

 クラスメイトは口を揃えて“知らない”と言ったそうだ。

 その後、念の為足取りを探していると、監視カメラのいくつかに優豪とクラスメイトの三人が、歩いている姿が映っていたのが見つかった。

 コンビニの中から外を映したカメラが、四人を捉えていたのが最後の足取りだ。

 最初に横切ったときは四人で歩いていて、その四十分後優豪を除く三人が戻ってきて店内に入ってきた。

 警察官がこの時のことを聞くと、

『その辺まで一緒に歩いたが、用事があると言って別れた。行き場所は知らない。』

 と異口同音に答えたらしい。

 そのコンビニ以降の映像はなかった。

 

 母はイライラと作業を進める。

 たとえ一人息子が行方不明になったって、仕事を休んで良い理由にはならない。

 生活は変わらず続いていくものだ。

 息子が行方不明になった頃は、直接色々聞いてくる人、慰めを言ってくる人、遠くでヒソヒソ言っている人、様々だった。

 それでも共通しているのは好奇心。

 誰も本気で人の家の子供の行方など心配していない。

 家出でもしたんだろう。そういう家庭だったんだろう。ウチはそうならなくてよかった。

 そんな声が聞こえるような職場に辟易していた。

 警察だってちゃんと調べてくれたのかわからない。

 スマホは電源が入ってないから見つからないと、あっさり諦められた。

 あのコンビニの先には川がある。

 何か事故にでもあったのかもしれない。

 そう言っても、二日くらい周囲を探したくらいですぐに引き上げてしまった。

 すべての人が母を責めている。

 夫でさえも。

 子育てはお前の責任だろうと、いじめられていると打ち明けられた日に責められた。

 何もしなかったくせに。いつも仕事ばかりで何もしなかったくせに。

 優豪も優豪だ。

 なぜこんなに迷惑をかける。

 友達がいないとかいじめられているとか、そんなこと自分の責任だ。

 友達を作ろうとしなかったからいじめられているのだ。

 それなのに・・・

 

 帰ってきたらお説教だ。

 母は奥歯を強く噛み締めて、作業に没頭した。

 




お読み下さりありがとうございました。


母親とは何か。

簡単に言ってしまえば子供を産んだ女性です。そこに愛があっても無くても、どんな愛し方でも、ただ子供を産めば母親になります。

その中で優豪と母はどんな関係だったのでしょうか。


さて、いよいよ残す話数は本編ひとつ、閑話ひとつで最終話になります。

もう少しお付き合いいただければ幸いです。



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