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岐路を往く

作者: 如月 楸


 私は今、岐路に立たされている。

 

 結婚か否か。


 筆一筋でこの十年生きてきた私についにできた恋仲の相手。

 失うにはいささか惜しい。そう思えて仕方ない。しかしながら文才多きこの時代に伴侶を迎え、いち大黒柱として生きていくだけの技量も気力も持ち合わせてはいない。

 なんとも器の小さい人間か。自分のことながら呆れてしまう。


 カラスが合唱を行う飲み屋街を一人ぽつりぽつり歩く私を呼び止める声がする。

 

 彼女だ。陽を背に赤く染まった彼女は、反射で顔は隠れているものの私をじっと見据える視線だけははっきりと目視できた。

 帰りましょう。そういった彼女は私の手を引き帰路を急ぐ、せっせと歩く彼女の後ろ姿を見て私は決意をする。


 

 私は今、岐路に立たされている。


 離婚か否か。


 筆一筋でこの十年生きてきた私についにできた伴侶。

 失うにはいささか惜しい。そう思えて仕方ない。しかしながら文才多きこの時代に子供を迎え、いち大黒柱として生きていくだけの技量も気力も持ち合わせてはいない。

 なんとも器の小さい人間か。自分のことながら呆れてしまう。


 ウグイスが合唱を行う商店街を一人ぽつりぽつり歩く私を呼び止める声がする。


 彼女だ。日を背にいっぱいに浴びた彼女は、反射で顔は隠れているものの私に微笑む顔が容易に想像できた。

 帰りましょう。そういった彼女は私の手を引き帰路をゆっくりと進む。隣でともに歩む姿を見て再度私は決意をする。



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