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機械仕掛けの魔法使い~テッドの舟~  作者: チク
小さな恋の物語

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31/43

私には見える


「何が見えたの?」

 ヤイノが尋ねる。


「たくさん見えたよ。林とか池とか田んぼとか」


 それを聞いて、ヤイノは意外に思った。


 タツキから聞いてた話では、一場面が映像として見えるような印象だった。スティナは違うようだ。

 それにスティナが語った場所は実際に天空岩にある場所だ。

 おそらく、本当にスティナには水鏡が見えているのだろう。



――不思議な子だ、とヤイノは思った。

 かわいいのに、魔力が強いっぽいのに、本人は強くないという。

 どんどんスティナに興味が沸いてくる。



「天空岩にもエルフがいるのね」

「え? いないよ」

「そう? 池の前にいたよ」

「まさか。天空岩にはエルフなんて一人もいないよ」


「じゃあ、確かめに行こう」

 スティナは歩き出した。

 それにわんわんちが続く。


 ヤイノもなんとなく、その後ろに続く。


 すると、スティナがくるりと振り返る。

「池はどこにあるの?」


 ヤイノはズッコケそうになりながらも、そんなスティナがかわいいと思った。




     * * *


「つまり、リューオスが魔導エレベータで地上に行ってしまって、そこで怪我をした女の子と一緒だと」

 タツキの説明を聞いて、シュミットは何か思案しているようだ。


 応接室にいるのは、シュミット、マーキュア、タツキ、シズク。

「まずは地上にいるアッゼに知らせよう。それで作戦を練らないと」


「あとは地上には誰かいないの?」

 とシズク。


「シムもいるよ。そうだ! 魔導電話!」

 言って、タツキはなんでもっと早く魔導電話を思い出さなかったのか悔やんだ。

 リューオスの家の備え付けの電話が、魔導電話だった。


「魔導電話ならそこにあるよ」

 シュミットは壁の方を指さす。


 確かにそこにリューオスの家にある魔導電話にそっくりなものがあった。

 タツキは急いで受話器を取り、念を込めてみる。



 電話は繋がった。


「シム? 大変なんだ……」

 だが電話は切れてしまった。

 タツキは電話をまた掛けてみるが、今度は繋がらない。


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