挑戦
「近くで火山が噴火して、石ころが飛んできてるんだ。俺から離れるなよ」
リューオスは子どもをおんぶし、竜繭を張った。
これが一番竜繭が小さくてすむ。
しかし、不安の方が大きい。
地面からしゅーという男が聞こえてくる。
これは火山ガスが噴き出す音。
竜繭で石だけじゃなく、火山ガスを寄せ付けないような張り方をやってみる。なんとかできた。
だが不安しかない。
正直、リューオスはこんなことしたことがない。これを維持できるかどうか……。
念のため、背中の子どもに竜繭張れるか聞いてみたが、寝る時以外では出したこともないそうだ。
それもそうだ、とリューオスは思う。
竜繭は安眠のためのもので、防御のためのものでもガスを寄せ付けないためのでもない。
「俺から離れるなよ」
リューオスは念を押す。
進む方向があってるかどうかはわからない。だが火山から遠くへ歩くしかない。岩が飛んできた逆方向へと歩いていた。
* * *
「リューオスが魔導エレベータで地上に……?」
シュミットは、一緒にいるシズクとタツキを意外そうに見た。その話の内容がもっと意外だった。
場所はテッドの舟の中の研究所。
「そうだよ! だから地上に行く方法は? 助けに行かなきゃ」
と、タツキが早口で説明する。
「ちょっと落ち着いて」
とシュミットは言う。
タツキは到底落ち着いていられなかった。
「立ち話もなんだし、応接室にでも……」
と、シュミット。
タツキはイライラしたが、それをシズクが宥める。
「冷静にならないと。状況を把握できないとどうにもならないんだから」
本当はシズクこそが、リューオスの身を案じていたのだ。
* * *
スティナは水鏡を見ていたが、やがてため息をつく。
「私にはさっきのリューオスさんが見えないの」
スティナははしごから降りた。
「ヤイノは見ないの?」
スティナが不思議そうに尋ねる。
ヤイノは首を振る。
「魔法の強い者じゃないと見えないらしいよ」
「私もそんなに魔力は強くないんだけどな」




