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機械仕掛けの魔法使い~テッドの舟~  作者: チク
小さな恋の物語

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30/43

挑戦


「近くで火山が噴火して、石ころが飛んできてるんだ。俺から離れるなよ」

 リューオスは子どもをおんぶし、竜繭を張った。

 これが一番竜繭が小さくてすむ。



 しかし、不安の方が大きい。


 地面からしゅーという男が聞こえてくる。

 これは火山ガスが噴き出す音。

 竜繭で石だけじゃなく、火山ガスを寄せ付けないような張り方をやってみる。なんとかできた。


 だが不安しかない。

 正直、リューオスはこんなことしたことがない。これを維持できるかどうか……。


 念のため、背中の子どもに竜繭張れるか聞いてみたが、寝る時以外では出したこともないそうだ。

 それもそうだ、とリューオスは思う。

 竜繭は安眠のためのもので、防御のためのものでもガスを寄せ付けないためのでもない。


「俺から離れるなよ」

 リューオスは念を押す。

 進む方向があってるかどうかはわからない。だが火山から遠くへ歩くしかない。岩が飛んできた逆方向へと歩いていた。





     * * *


「リューオスが魔導エレベータで地上に……?」

 シュミットは、一緒にいるシズクとタツキを意外そうに見た。その話の内容がもっと意外だった。


 場所はテッドの舟の中の研究所。



「そうだよ! だから地上に行く方法は? 助けに行かなきゃ」

 と、タツキが早口で説明する。


「ちょっと落ち着いて」

 とシュミットは言う。

 タツキは到底落ち着いていられなかった。


「立ち話もなんだし、応接室にでも……」

 と、シュミット。


 タツキはイライラしたが、それをシズクが宥める。

「冷静にならないと。状況を把握できないとどうにもならないんだから」


 本当はシズクこそが、リューオスの身を案じていたのだ。



          * * *


 スティナは水鏡を見ていたが、やがてため息をつく。

「私にはさっきのリューオスさんが見えないの」

 スティナははしごから降りた。



「ヤイノは見ないの?」

 スティナが不思議そうに尋ねる。


 ヤイノは首を振る。

「魔法の強い者じゃないと見えないらしいよ」

「私もそんなに魔力は強くないんだけどな」


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