飛翔
クロンカイトはうらやまし気にタツキの翼を見る。
「まあ、いいや。あれがテッドの舟。別に迷うことはないだろうし、タツキ一人で行きなよ」
「魔導エレベータ?」
タツキは混乱した。
「それって地上へ行き来するものじゃないの?」
「地上?」
クロンカイトは首を捻る。
「天空岩から地上に行くのか? その話、少し聞きたいな」
クロンカイトとしては、この場で立ち話のつもりだったのだが。
「じゃあ、俺におぶさって」
タツキは意外な提案をしてきた。
「坊やが俺をおんぶしたらつぶれてしまうだろ」
クロンカイトはわざと坊やという言葉を使った。
だが、タツキは怒るでもなく、いいからいいからと背中に乗るよう促す。
クロンカイトは恐々背中におぶさってみた。
「しっかりつかまって」
とタツキが言うと、翼を広げた。
ひらりと翼がはためくと、タツキの体はひらりと舞い上がった。
クロンカイトは思わずタツキの背中にしがみつく。
、二人は鉄柵を飛び越えていた。
「坊や、すごいな!」
クロンカイトはすっかり感心していた。
タツキは褒められて少し照れた。
「……ちょっと目的があって、誰かを抱っこしながら遠くまで飛びたいから鍛えてるんだ」
「へえ」
クロンカイトは、タツキの様子に何かぴんと来るものがあった。
「片思い?」
「……まあ、そうなのかも」
* * *
ブルが起きた時、外の景色は地上だった。
寝た時は宇宙空間を漂っていた。
ブルは起き上がり、部屋から出る。
いわゆるシェアハウスのような状態で暮らしていて、ブルの部屋の隣の共同スペースになっている。
そこでシュミットに会った。
「あれ? 出かけてるのかと思った」
とはシュミット。
「寝てた」
そのブルの言葉に、シュミットは苦笑する。
「シズクは回収した。修理できそうだ。その後つれて行くかどうかはシズク次第ってとこ」
「ふうん」
ブルは関心なさそうだ。




