「ロボットとハカセの雑談」
「なぁハカセ、ドリルつけてくれよドリル!」
「何でドリルつけなくちゃならないのさ」
「だってヨー、レーザーとかマイクロ波とか、感触が無いジャン」
「お前は触覚ないから、近接兵装でも同じだろ?」
「アー……じゃあ、マシンガンとか振動ブレードでもいいゾ!」
「……反動が強そうだからかな?」
「オウ!」
「……じゃあドリルでもいいんじゃないの、モーターだし」
「オオ! じゃあやっぱドリルだナ! ドリルつけてくれよハカセ!」
「いや、ドリルは兵器じゃない。掘削とか穿孔に使う土木工具だから」
「なんじゃソリャー……」
「んー……近接戦は滅多にないからブレードはアレだけど、マシンガンくらいなら、いいかなー」
「おー、マシンガン! あの筒がいっぱいでクルクル回るやつがいいゾ!」
「それは、マシンガンだっけ? ガトリング砲じゃなかったっけ……?」
「なんでもいいヤ! それつけてくれナ!」
「はいはい、兵装部に注文しとくよ」
「ヨッシャー! いつ来るかナ?」
「来週にはできるんじゃない? あいつ等が暴走しなけりゃ」
「ナー。あの変態集団、ミサイルの誘導装置に人格保有の人工知能つけるとか、やばいよナー」
「しかも、眼鏡で三つ編みの文学少女アバターまで作ってたらしいよ?」
「さすがに可哀想ダシ、局長が素体作って人格部分を移したって言ってたナ」
「……まあ、局長は、可哀想だから移したわけでもないだろうけどね……」
「なんか言ったカ?」
「いやー何でもない何でもない。さて、おしゃべりはここまで。今日のノルマを果たしますか」
「今日のお相手は何ダッケ?」
「何だっけ……たしか、20メートルくらいの爬虫類みたいなのだったかな」
「なんだ、小さいナ。またマイクロ波一発で終わりそうジャン」
「お前に比べたら、大体小さいだろ……ああ、今日はマイクロ波なし」
「何でダ?」
「生物課が対象のサンプル採りたいってさ」
「じゃあレーザーでスッパリいくのカ?」
「いや、押さえつけて首の骨をポキッといこう」
「……近接戦だナ」
「そうだね」
「ハカセは乗ったままで大丈夫なのカ?」
「大丈夫だよ、コントロール室はちょっと位相が違うから」
「ならいいヤ! 行くゼー!」
「がんばれー」