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短短編集  作者: 酸化黒蟻
1/6

「どこかにいたロボット」



 軋む関節部に植物性のオイルを注す。


 専用の潤滑油が欲しいが、研究室址にあったものは、しばらく前に使い切ってしまった。今は、食堂に残っていた食用油を濾過して使っている。


 人工皮膜が擦り切れて内部構造が露出しているが、いくらか動きのよくなった関節部に満足感を覚える。


 露出部に保護シールを貼り付け、弱ってきた体表を保護するために服を着る。職員が使用していた作業着だが、サイズが大きいので、要所要所をベルトで縛らなければいけない。


 ピント調節がうまくいかなくなり始めたときに見つけた眼鏡は、彼女の物だったか。ある程度の補正になるので、使っている。





 まだ、活動に支障は、無い。




 何の命令も示されず、何の目的も無い。なにより、私に命令を下す者がいない。


 けれど、私はまだここに存在する。


 根源にプログラムされた、自己保全という命令は、私をどこまでも生かし続ける。


 いや、生きているわけではない。私はロボットだから。命は無い。


 研究室で製造され、色々な命令を実行し、待機時はメンテナンスカプセルで休眠モードになる。


 ロボット。


 私は、人間に使われるために生み出された。


 いまは、ただ、自分を保つために動いている。生きている。


 なぜ、誰もいないのだろうか?


 なぜ、私は起動したのだろうか?


 なぜ、私は……―――


 


 ―――発電装置が不調気味だ。今日は倉庫で代替部品を探そう。


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