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三階で遊ぼう!

 二階が思わぬ盛況ぶりを見せたので、遠くないうちに冒険者が来るかも知れない。そこでタイムとも相談して人の言葉が分かる、ある程度強いモンスターを用意しておこうと言う話になった。


 タイムが選んだのは男性型マッチョな風の精霊、むさいキャンディジンと、女性型、実に憎らしい、憎らしい、大人びた女性の体型のアイスジニーだった。べべべ、別に私が貧乳でジニーが巨乳だからってひがんでないからねっ!

 タイムがボソッと「いつから無乳を貧乳と言うようになったんだ?」とか呟いたので風の弾丸で額を撃ち抜いておいた。

 ……。ぐすん。


 そろそろ次の階層くらいでゴーレムを出すことも決めた。

 三階は彼女ジニーらが冷たい土地を望んだので床は氷、壁は氷の飴で出来たとても寒い階層になった。


「これだけ寒けりゃ進むのも厳しいし良いアイデアかも分かんないね」

「そうだねえ、アイスだけにこの階層も皆愛すだろうしねえ」

「寒い、あ、ジンとジニーがめちゃくちゃ笑ってるぞ!」

「やっぱり風の精霊に受けてたんだねえ。大気の精なのに気のせいじゃ無かったね」

「おいやめろ、凍死する」

「風の精霊の闘志で凍死させるために投資しておこう。あ、タイムったら透視するみたいな目で見ないでよ」

「こ、凍る……、リアルに凍る」


 ジンとジニーは大笑いだ。少し嵐のようになっている。ちなみにジンは綿飴をくれたし、ジニーは氷の飴、アイスをくれた。これは暑い日に食べたいなぁ。保管方法無いかなあ? 他の迷宮ではアイテムを部屋ほど入れられるバッグとかあって、その中は時間が止まっていたりするらしい。私には買えないくらい……子爵のお給料ならギリギリ買えるかな。


 そう言ったアイテムドロップも設定できるようだが、アイテムは出したら出しただけポイントが必要らしい。拡張空間のあるアイテムバッグはポーチサイズでも二千ポイント必要で、うちのダンジョンの現状ではボスドロップで低確率でも厳しい。宝箱に一つだけとかなら何とかなる。ただ、冒険者が来るようになってギルドを置けば多分五階のボスドロップになら設定できるだろうと言うのがタイムの計算だ。


 そして、ここで生まれた風の精たちは人語を解するので情報伝達にも使える。なので私はこの子たちにいくつか指令を出した。いずれ起こさなければならないスタンピードの練習も兼ねている。私の指令を聞いてたタイムは私が駄洒落を言ってもないのに凍りついてたけど。「貴族えげつねぇ」とか言ってたけど貴族としては私はヒヨッコもいいところなんだけどねえ。ただこのダンジョンの力が、間違いなく私の貴族としての部分を補強してくれるのは事実だけど。


 それにしてもこの三階の床はツルツル滑るので非常に歩きづらい。お、わざと滑ると楽しいかも知れない。


「お、スケートか。スケート靴ドロップ品にしておこう。あ、これドロップ品て俺やシルビアには使えるみたいだぞ!」

「えっ、あ、ほんとだ!」


 私は目の前のウインドウを開きそこからドロップアイテムリストを探り、細剣を呼び出してみた。私は辺境のご令嬢なので武器は扱える。ほぼ魔法で戦うが。またタイムに「貴族えげつねぇ」と言われてしまった。


 ちなみにこのウインドウはダンジョンを作ってからイメージすると飛び出すようになった。あれ? ダンジョンレベルが5に上がってるや。タイムも同じタイミングで気付いたようだ。召喚できるモンスターやアイテムの種類、罠の種類などが増えているらしい。

 この階層にも抜ける氷の床やら滑る床を設置して、ツルツル滑って遊ぶ。私たちはダンジョン内だと不滅なので罠は関係無い。落とし穴に落ちてもテレポートも出来るしね。


 ツルツルー、国王陛下もツルツルー、あんまり運動してないと足がツルツルー。あ、またジニーが笑ってる。

 寒いので暖かいアイテムが何か無いかとアイテムを探ると、コートが有ったので着た。あ、魔法が掛かってて暖かい! タイムも私の真似をしてコートや耳当てを着けた。妖精サイズだ。あるんだ、そのサイズ。

 羽の上から着たのに羽がそのまま出てる。どうやらタイムの羽は魔力で出来ていて服は無抵抗で通り抜けるみたいだ。


「あ、このアイテムならみんな「美味しい」と思うかも!」

「そうか、宝箱なら普通の食べ物だって設置できるしな! 武器はすでに出してるし、服とか靴とかも出せるだけ出すか!」


 これは良いアイデアかも。ついにダンジョンが本格的に美味しくなってきた! って調理してるみたいだね。


 ジニーの一人に頼んで伯爵を継いだレイアスお兄ちゃんに手紙を渡すことにした。どんどん拡張を進めているので冒険者を誘致するのだ。一気に四階のゴーレム階を作ってしまえば十分冒険者を楽しませることができるはず。そして五階ではアイテムバッグが手に入る、となれば人気はうなぎ登りだろう。既に村人さんたちにはこのダンジョンは愛され始めている。いける、いけるぞおっ! 働き者のモンスターも作ってお兄ちゃんに使ってもらっても良い、失地回復の道が見えてきた!


 そんな風に私とタイムが盛り上がっていると、なんと三階まで来る若い村人さんが! 男の子のジャックさんとリーフさん、女の子のトリシャちゃんの三人パーティーだ。三人はこのダンジョンで冒険者として腕を上げて、世界に飛び出したいと言う冒険者志望の子たちで、すでに私とも何度も顔を合わせている。この村のお友だちだ。みんな十六歳。十八で成人のこの国ではあと少しで成人だ。私は成人だが彼らには最初年下に見られていた。今は良いお友達だけどね。どうしても年上扱いされない……。くそう。


「だってシルは合法ロリだしなあ」

「その二つ名? やめてくれる? 流行ったらどうするのよ」

「シ、シルビア様? 目が怖いぞ。いつもは丸いタレ目がつり上がってるぞ!」


 ふー、全く。ちなみに私の魔力で本気で殺気を飛ばすと人が死ぬので無意識に調整する癖は着いている。なので温厚で丸い子だと思われているが怒ると恐いんですよ!

 私が怒ると波乱が起こる! あ、ジンが笑ってる。もう三階は来る度に風の精霊に大ウケだね。私のお気に入りの階層になりそうだ。


 それはそれとして三人に声をかけよう。


「トリシャちゃーん、みんなー!」

「あ、シルビアちゃーん!」

「トリシャ、シルビア様だろ? 気難しいお貴族様なら首をはねられるぞ?」

「堅いなあリーフ。シルビアさん、今日も可愛いね!」

「ジャックさんとリーフさんもこんにちは! あんまり距離を置かれると寂しいので私には普通に接してね!」


 そのあと三人からは二階のアイテムが増えたとか肉まん熊が好きだとかチョコの壁だけ剥がして食べられてるとか、ダンジョンの感想を聞く。これは良い勉強になるね。もっとこのダンジョンを住民の意識にも沿って良くしたいもの。三人とは仲良くしておかないとね。

 そのあと三人には三階の敵が強いし嵐が起こってて寒い、と言われたので魔力であったかコートを三つ差し上げておいた。情報には対価を払う。当然だね!






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