表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

二階を作ろう!

 一階層は思いがけないグミスライムの進化で上々の滑り出しだった。しかし二階以降のモンスターに悩む。とりあえず村人さんたちのお陰でポイントが入ったし(幾らか罠や宝箱に使った)、部屋を作ろうと言うことでタイムに階段と二階の部屋を作ってもらい、その奥にコアルームを移した。ゴゴン、という大きな音のあとで、なんか体に軽く重力魔法をかけられたみたいな不快感を覚える。


「お、エレベーターみたいだな」

「うわ、なんか気持ち悪い感じ」

「馴れないと酔うかもな。俺は飛んでたらあんまり変わんないけど」


 そうだ、タイムって飛べるんだよね~。飛べるモンスターとかも良いかもね。


「飛べるモンスターだとキャンディジンかフライングタイヤキフィッシュ、ポテトバタフライ、あとはフルーツドラゴンとかもいるけどだいたい強いな。このポテトバタフライは弱いか。なんかポテチみたいな味なんだろうな」

「じゃあそれと他にも何種類か用意する?」

「果汁蟻とか言うのが面白そうだな。でもグミと味が被りそうなんだよな」


 美味しいダンジョンはおやつが中心みたいだ。そのうちチョコクッキーゴーレムとかの強いモンスターも配置する予定では有るのだけれど。味が被るケースは多くなりそうなんだよね。例えばチョコマタンゴとかチョコ系列のモンスターが多い。このモンスターは戦争を始めるから呼びたくないとタイムが言っていた。チョコの竹の子のモンスターと仲が悪いんだそうな。私はそんな話は初めて聞いたけど。

 そして二階は虫系で固めるかとか言い出したので止めた。虫が好きな女の子なんかまずいない。

 するとすぐにタイムは対案を出してくれる。


「作業をさせるのに良さそうな饅頭熊って言うのを二階で飼うか。なんか餡まん? みたいな見た目だけど」

「餡まんが何か分からないけど、やっぱり美味しいんだろうか……? 少し怖いけどそれを呼ぶ?」


 結局二階はその饅頭熊の飼育場……生息地にすることにした。早速いただいてみよう。


「食うのか、この見た目の生き物を……」

「わ、私もちょっと遠慮したい……」


 呼び出した饅頭熊は凄く可愛い見た目で、まさしく熊の縫い包み。目がつぶらで可愛らしい。食べるには悩んでしまう容姿だ。

 しかし私たちが躊躇していると、まるで「僕の耳をお食べ」と言わんばかりに耳を外して差し出してくる饅頭熊さん。

 意を決して一ついただくと……不思議な甘さが広がる。ふああ。あまあい……。しかもちっともしつこくない……!


「あ、普通にあんこだ。甘さ控えめで香りも良いな。あ、そうか、和テイストなら差別化出来るじゃん」

「和テイスト?」

「ああ、日本の料理は他の国とはちょっと趣が違うんだよ。この饅頭熊はその日本の味なんだ」

「へえ~。喉が渇くけど甘くて好きな味かも」

「ああ、緑茶が有ればなあ。ストレートティーとか飲みたくならない?」

「あ、なるかも! ん、この子も色違いがいるね」

「こ、これは! カレーまんだとっ! お惣菜系来たっ!」

「あ、この子辛いけど美味しいね! 甘いものばっかりだからこう言うの良いね!」


 他の子も食べてみるとフルーツクリームが入っていたりお肉が入っていたり、美味しい。この階層も美味しくしてしまった!

 タイムはなんかブツブツ言い始めた。多分しょっぱい系統のお菓子を探しているんだろう。でもまずはこの熊さんを進化させて二階のボスを作ろうよ。

 饅頭熊も大量に呼び出すと勝手にくっついたり進化を始めた。大きさが大きくなったり甲冑を着けたものが出たりした。その侍饅頭熊と言うモンスターの甲冑はべっこう飴とか言う硬い飴だった。ボスは大侍饅頭熊を選んだ。

 二階がだいたい固まってしまったなあ。もう少しなんか凝ろうかな?


「タイム、なんかアイデア無い?」

「二階の壁とか装飾を弄ってみるか?」

「じゃあ二階の階段で会談しよう」

「ぐふっ、油断した。そして寒い」


 ふふん、あんまりしつこいと嫌われるからね。我慢していたのだよ。それはそれとして壁か。なんか良いの無いかな。熊さんに似合いそうな可愛い壁が欲しい。

 そう言ったらタイムは飴で出来たカラフルな部屋を用意した。また美味しそうな壁を。でもなんか侍熊さんに不思議と似合ってる。柱なんか螺旋の模様が入ってるのだがその柱のファンシーさと饅頭熊のかっこいい中にも可愛さがあるスタイルが不思議とマッチしてる。タイムは「シュールだな」とか言ってたけど。

 村人さんが数人ダンジョンを見に来たようで一階の方を覗く。人がいる位置が何となく分かるんだよね。意識を向けないと映像とかは見えないけど。暫く一階のグミを堪能してもらってから二階に上がってもらう。

 耳だけしか私たちは食べなかったけど村人さんたちは豪快にまるごといったーっ! ひええっ、グロい!

 しかし中までしっかりあんこだ。美味しそうに見えてしまった。村人さんたちは喜んでカレー熊を数匹捕獲して「晩飯にするだあよ」と言って帰っていった。

 それから二階は村人に大人気の熊捕獲スポットになる。

 ちなみに侍熊に返り討ちに合う人もいたが、タイムが気を利かせてくれていて、ダンジョン内で死亡したら入り口からある程度離れた外で体力と魔力がほんの少しという状態で復活するように設定してくれていた。

 ちなみに侵入者は倒した方がそのまま放置するよりもポイントをたくさんもらえるようだ。

 ダンジョン内で怪我をしても治らないけど、なんかダンジョン内の食品を食べると魔力も回復し怪我も治るらしく、時々返り討ちに合いつつも村人さんたちはダンジョン二階を棲家すみかにするかのように入ってきた。このお陰でダンジョンポイントがかなり貯まって、私たちは三階に着手することにした。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ