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タイムの追憶タイム(タイム視点)

 気ままに更新します。

 シルビアに乞われて、俺は自分の生まれ変わるまでの話をマチェールや侍女ジニーも交えて話すことになった。暇なんだな。コアに面白い機能があったので記憶を映像にしてテレビみたいに流しつつ解説していく。


 前世では高校生をしていた俺、雨宮大夢は意外と真面目に学生をしていた。成績は上から五番くらい。クラスでな。

 趣味はシミュレーションゲーム。こら、駄洒落じゃねーよ、笑うな侍女ども。

 まあこつこつ積み上げていくタイプのゲームが特に好きだったんだよな。


 そんな俺だがある日、通り魔に襲われる中学生を見つけて、慌てて通報したら、その通り魔に恨まれたようで、逃げるところを後ろから刺されてしまう。くそ! 他人の命をなんだと思ってるんだ!

 あの通り魔は俺を刺した後に女神様に似た女の人にあっさり取り押さえられてた。つえぇ。それが俺の最後の記憶だ。


 で、死んだ俺が会ったのがその女性に似た、いや、色合いってかパーツが全部違うのに雰囲気が一緒と言うか、そんな女神様だ。

 髪は水色ががった銀髪、瞳はアメジスト色でシルビアと同じ、ビスクドールって言うの? 陶器の人形みたいな白い肌。服装は、頭にヘッドドレス、右目に眼帯、ゴスロリ調のドレス、黒と白のしましまのサイハイソックス、靴は黒いショートブーツ、太ももにはホルスターという、見るからに中二ファッション。眼帯を上げて金色の眼を見せてくれた。オッドアイ、人間だとヘテロクロミアか。

 その際に「くっ、静まれ私の左腕……!」とか言ってたのはもう聞かなかったことにしよう。突っ込み切れない。

 そんなセリフを吐いておきながら何も無かったかのように、OLみたいに事務机に座ってノーパソを叩いてる。突っ込み切れない。


「あなたは、女神様?」

「私は異世界の女神の一柱、星の女神よ。さっきも会ったわね」


 俺も趣味はオタク寄りなのでこれが異世界転生だとか異世界の女神様だとかはすぐに分かったが、何故日本にいたんだろう? 悪漢退治のため? まあもう少し早く捕まえて欲しかったけどな。


「それは君の運命だからね、変えられなかったのよね」

「え~。まあどうせつまんない人生だったから良いけど」

「あっさりしてる」


 俺はあんまり拘るタイプじゃ無いからな。ただ、ゲームとかだと凄い拘ったりするんだけど現実だと、若干人嫌いで、友達もまあまあいたけど喧嘩っぱやい自分の性格を知ってたから少し人から距離を置いてた。だから突然死んだとしても、あんまり未練が無かった。


「次の人生はファンタジーな世界でのんびり冒険して適当なとこで死にたい」

「タンパク」


 女神様にはすっかり呆れられてしまった。でも長生きって苦しいと思うんだよな。退屈だしさ。


「タイム君のエロ本の隠し場所とスマホのデータはお母さんに発見され、閲覧されました」


 っ……!? ちょっと待てい! その情報いらん! 巨乳好きタイムとか言うエロ本は俺の名前をからかった友達がコッソリ置いていった奴だからなっ! ……お世話になりました。あ、シルビアがなんか察して殺気を放ってる。


「お友だちの女の子たちにもその情報は公開されました」


 ちょっ!? 何やってんの母さんー!? あれか、早死にした親不孝な息子に罰を与えてるのか?! うおー! 今すぐスマホとエロ本回収させろー!!


「どうせ自分の趣味のエロ本を読む女子高生を想像してハアハアするんでしょ、このこじらせムッツリ童貞」

「毒舌だなこのクソ女神!?」


 女神様はとにかく酷い奴だった。その後も「タイム君が道端で拾った新品のコ○ドームが見つかりました。見栄を張って開けてるのを見て女子高生が眉をひそめています」とか、おーい! なんで捜索に参加してるんだ友よ!? 「ベッド下の美少女フィギュアが発見されました。何故か女子高生が取り込みました」とか、あー、あいつレズっ気あったもんな、って渡すなや母さんもっ!!

 その映像を延々見せられた。あれ、シルビア、マチェール、侍女、なんか距離が遠いぞ? この妖精の体じゃ何にも出来ないからな? いやいや、出来てもしないからな?! こういうのは健全な男子高校生なら普通なんだよ!!

 そして挙げ句に女神様は「あなたが性犯罪に走らないように次の人生は妖精でダンジョンのナビゲーターです。三十才になってないのに妖精になれて良かったですね。童貞の条件はクリアしていますが」とか、もうね、絶望したね。

 抗議の声を上げようとした瞬間に女神様は「行ってらっしゃ~い」と言って俺を突き飛ばし、そして気が付いたらこのダンジョンでシルビアと出会うことになった。

 最初はシルビアの容姿にビックリしたな。白地にオレンジのラインの小さな帽子に同色のローブ、スカート、白銀の髪にアメジストの瞳、白い肌、小柄で丸い顔立ちに小さく細い手足。あ、観察してただけで欲情してたわけじゃ、ちょ、シルビア逃げるな! 寝てる間になめたり? するかっ!! ちょっとほほに乗っかって柔らかいなーとか、あ、シルビアがダンジョン外にテレポートした! マチェールも剣を構えるな! 侍女も俺をイズーナの餌箱に入れようとするな! イズーナも、よだれを垂らすな!

 あ、シルビア帰ってきた。


『ごめんね、こんな変質者をナビゲーターにしてしまって』

「女神様も突然出てきてしかも誤解を招くようなことを!!」

『誤解?』

「……ご、誤解だあああああああああっ!」


 まあ、その美少女が何故かムス○大佐みたいに顔を抑えてるのを見て思わず突っ込んだんだけどさ。そんな感じで俺はこの異世界に生まれ変わったんだ。シルビアに見とれてたのは少しの時間で、すぐに膨大なダンジョンの情報が頭に流れ込んできた。混乱しつつも自分の役割を把握して、それでまあ、シルビアの駄洒落に困らされながらも俺はダンジョンナビゲーターとしてしっかりこのゲームみたいな仕事を楽しませてもらってる。


「そんな感じだ。これからもよろしくな、相棒」

「嫌。これからは絶対に三メートル以内に近づかないで!」

「誤解だー! 誤解なんだシルビアー!」


 それからシルビアが機嫌を直すまで一週間かかったのだった。

 ちなみに俺ばかり恥をさらすのもなんなので、シルビアが胸の大きさを常に気にしてお風呂上がりに胸を揉んでるとか、実は毎日毎食、七皿ほどの料理を更におかわりするレベルの大食いだとか、もう身長が伸びないのに毎日のように柱の傷と背比べしてたりとかの情報を公開しておこう。

 このメッセージを呟いた後、俺は自動的に消滅する。シルビアの魔法でだから自動的じゃないな。






 星の女神様はスターシステム! 星だけに!

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