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しばしの休暇

 ポイントも魔力もしばらく貯まらない、ので、レイアスお兄ちゃんやタカリヤ村長さんとの調整は継続として、少しお休みすることにする。

 三階で数日ジニーたちとじゃれあってると何故かタイムに「迷惑だから出てけ」とか言われてしまった。

 それでビスケットギルドに遊びに行くと壁の掲示板に大きく「シルビア様が三階層にいる間は三階層への進入はお勧め出来ません」とか書かれていて首を傾げてしまう。何故みんな私を三階層から追い出すのか?

 自分が台風の目にいるから嵐をあんまり感じていないだけで凄い嵐を巻き起こしていたからだったのだが、それを自覚していないこの時はひたすら首を傾げて、それを何故かみんなに見つめられて恥ずかしくなったのでギルドも出ることにした。魔法の防寒具があれば平気な程度の嵐だと思ってたんだけどなあ。

 マチェールとフルーツドラゴンパピーのイズーナと遊んでるとお兄ちゃんが一度領地に帰るので饅頭熊隊を貸して欲しいと言ってきた。四百体くらいいれば特殊な作業を覚えさせて各地の村人さんたちと共同した土木工事なんかさせられるらしい。四百体となると周辺魔力をかなり浪費するが、すぐに出陣させておく。彼らは今は魔力があれば生きられるので途中で魔物を狩って魔石を食べさせればいいだろう。一石二鳥だね! ちなみにダンジョン内では魔力は自動的に補填される。つまり維持費がかかってるんだよね。


 それで私もお兄ちゃんのお見送りついでにもう一度村の視察と村の強化計画をタイムと練ることにした。お兄ちゃんは村からダンジョンまでを城壁で囲い、南を除いて門を作り(南はボンロー帝国に向いている)ゴーレムに守らせる計画でいるらしいが、それを聞いたタイムが凄く微妙な顔をしていた。

 城壁で守ってゴーレムが門番って、最近どこでも一般的になってきてるんだけどなあ。タイムに言わせると城塞都市でゴーレムが門番は古いらしい。タイムの国は先進的だねえ。


 更に一週間ほどあまりにも暇なのでタイムと新しい中間層に置くモンスターを調べている。ダンジョンのレベルが十二まで上がっていたがどうやら稼いだポイントや経験点、魔力でレベルが上がっているらしい。つまり何もしなくても少しずつは上がるみたいだ。

 なので選べるものも多くなってる。こういうのを確認してる時が一番タイムはワクワクしてるらしい。タイムの前世にあったゲームは色々複雑みたいで、シミュレーションゲームはタイムが一番好きなゲームなのだとか。シミュレーションではないのだけどね……。命掛かってるんだよタイム。そう言うとタイムの顔がキリッとなった。本当に妖精にしておくのは惜しい人材だよ。妖精材?

 でもそれでタイムが異常に真面目な理由が分かった気がする。ゲームみたいでタイムも楽しいんだ。私も楽しいけど、私の場合は仕事だと思って嫌々やってる部分が無くはない。つまりタイムみたいに純粋に楽しんだら結果も着いてくるのかも知れないね。

 ゲームは息抜きだと言うけどチェスなんかみんなかなり集中して頭を使う。でも楽しいからやってる。そんな感じなんだろうね。

 私も一流のダンジョンマスターになれるかな?


 それにしても暇だ。村も平和この上無いし。お祖母ちゃんたちが私を見るたびにキャンディボールから削り出した飴玉をくれる。意味は分からない。ダンジョン産の虎柄のコートを着てるおばあちゃんが多いのは謎だ。他にもいろんな、タイムが選んだ先鋭的なデザインの物がいっぱいあるのになんで虎柄を選ぶんだろう? タイム曰く、商業都市での流行りらしい。私もずいぶん世間知らずなのかも知れないね。民に近くあることが家訓なのにこれではいけない! 虎柄はご遠慮しますけど。


 あんまり暇なのでマチェールとデートすることにした。タイムも息抜きについてくるらしい。ハーレムだね!

 この国は一応女神崇拝の国なので女性の権利は強い。でも一夫多妻が認められていたりする。いろいろな見方があるけどこれはむしろ女性の方が権限が強いと言うことらしい。一人の男性が多くの女性を囲うと言うことは恋人も得られない男性が増えると言うことだし、恋愛の権限は女性の方が強いことになる。

 まあ嫉妬深い人には受け入れられないシステムだけどね。私? 彼が旅で心を許したなら仕方ないね。ただ私のところに帰ってきてくれるのかなあ?

 私の右手薬指には彼にもらったアメジストの指輪が填まってる。信じて待つしかないよね。

 指輪を見ているとマチェールが嬉しそうにツンツンしてくる。


「エルレア様とはどうなってるの? 手紙くらい交わしてる?」

「一応ギルド経由で渡してもらってるよ。ただ旅人に手紙を渡すのは凄く難しいからね……」

「この前ガーネットギルドで会った時はなんか女の子連れてたけど?」

「な、な、な!?」

「いやー、女の子は連れてたけどシルビアの話しかしなかったよ。妬けるね~。熱いね~」

「むぐっ、そ! それよりマチェールはどうなの? ダンジョンに縛られてしまって、恋人作るの難しいよね!」


 って、しまった。マチェールはまだ元婚約者でスタンピードでお亡くなりになったミハエル様のことを思ってるのに。こんな軽率なことを言ってしまうなんて、貴族失格だわ……。

 慌てる私を見て、マチェールはうっすらと笑う。


「まあ、古代神殿を潰して彼の仇を討ってから信頼できる、そうだね、冒険者の人なんか良いかもね!」


 ああ、マチェールはもう先を見ているんだ。マチェールに釣り合う冒険者って今ビスケットギルドに寄り付いてる人ではクラウスさんくらいしかいないけど。でもクラウスさん凄く優しいし顔もイケメンだから無くはないなぁ。二人次第だけど条件には合致してるなあ。確かクラウスさんはグラム伯爵家の四男だ。家格は十二分だね。ただクラウスさんて、私のファンだからなぁ……。まあ冒険者ギルドに寄ってみますか。






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