表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

フルーツドラゴン

 お待たせしました。

 階層の複雑化は徐々に進めることにして、まずは最初に十階層まで作ることにしたのだが……ここで初めて気付いたが進化のためにリスポーンポイントを臨時で五階隠し部屋に大量に置いたのでポイントが足りない。新種の子たちにドロップ設定を作ってなくてよかったよ。ポイント枯渇するところだった。

 五階層より十階層の方が当然上るのに時間が掛かるし強敵に対処するのも楽だから早めに階層を増やしたいんだけど、階層も増やすために必要なポイントが段々大きくなるので、ここから少し時間が掛かるのは仕方がない。

 タイムとしては早めにドラゴンを作って輸送に使いたいらしい。ただドラゴンともなると、下級のドラゴンでもリスポーンポイントを設置するのにかなりのポイントが必要になる。具体的には一万ポイントだ。今の収支なら三日も我慢すれば貯まる。


「いっそ隠し部屋で先行して作ってしまおうか? やっぱりファンタジーなんだからドラゴンは欲しいよな」

「いいんだけど、ちょっと気になることがあるんだよ。ゴーレムもなんだけど」

「何?」


 今回ゴーレムだけ進化が遅れたのにはちゃんとした理由があった。大型のモンスターや強力なモンスターは周辺魔力の低下でリスポーン速度が落ちるのだ。私が莫大な魔力を持っているとは言っても私自身が魔力回復のために周辺から大量の魔力を奪ってしまう。時間があれば周辺魔力密度も自然に高まっていくとは思う。強い魔力の生物がいる場所は魔力が瘴気化するほど濃厚になるし。ドラゴンもそう。

 でもそれはドラゴンをスポーンさせることで周辺魔力を一気に消費して、一旦はかなり下げることに繋がると言うこと。アイテムやモンスターの持ち出しが多いこのダンジョンでは魔力の枯渇は深刻だ。


「あっちゃー、やっぱりゲームみたいにはいかないか。ドラゴン見送りかぁ……」

「……」


 タイムはそんなにドラゴンが好きなんだね。いつもお世話になってる相方のわがまま、一つくらいなら良いんじゃないのかな?


「分かったよタイム、五階隠し部屋に一体だけドラゴン召喚してみよう!」

「んえっ、良いのか? ダンジョンしばらく育てられないぞ?」

「さっきも言ったけど強力なモンスターがいれば最終的には地域の魔力は高まるんだよ。それに雑魚とは言え、巨人とかを駆逐してしまってて周辺魔力はこのままなら下がっていく。一時的に濃密になってる今のうちに強いモンスターが欲しい。それに……」

「それに?」

「お世話になってる相方にプレゼントだよ!」

「え、マジで良いのか?」

「いいんだよ、さっきも言った通りメリットのあることなんだから。その代わりこれからもよろしくね!」

「もちろんさ相棒! よっしゃーッ!」


 緊急避難とは言え、冒険者を大量に四日ほど隔離してたのでポイントはギリギリ残っている。もちろん階層を増やすのに必要な分ではあったが、これからもポイントは貯まっていく。無駄遣いしてしまおう。

 こうして、タイムが希望する美味しいダンジョン初のドラゴンが誕生することになった。まあ最初は小型ドラゴンになったんだけどね。


「フルーツドラゴンパピー、召喚ッ!」

「生まれておいで!」


 隠し部屋で、魔法陣が輝く。リスポーンポイントが発生する。最初にキャンディグミを召喚した時のようなドキドキ感。マチェールは私たちの会話についてこれなかったのかボーッとしてるけど。いたの忘れてたよ! ごめんマチェール! 侍女ジニーにスイーツボックスもらって雑談しながら食べてたらしい。

 と、そうこうしているうちにリスポーンポイントが輝き、最初のスポーンが起こる。ちなみにドラゴンはボスモンスターという設定になっていて、一つのリスポーンポイントから産み出せるのは一体限定だった。倒されたらリスポーンするけどね。

 体長一メートルない、本当に小型のドラゴンがちょこん、と、誕生した。ようこそ、美味しいダンジョンへ。


「緑の鱗に翼もある、ちゃんとしたドラゴンだ。植物っぽい部分もあるけど。角に実がなってるし、体も枝を束ねたみたいに茶色くてゴツゴツしてる。でも間違いなくドラゴンだな! やべえカッチョいい……!」

「ほおー、なんか可愛いドラゴンだねえ」

「この木の実、まだ青いけど常若の黄金の林檎だよ……! 完熟したの一個で家が建つって言われるくらいの貴重品っ!」

「食べると若さが甦るやつ?!」

「マジか、伝説級アイテム来た!」


 この実は若いからそんなでもないけど、進化させて体長十メートル超えるようになれば収穫できるかも知れない。そうなったら多少価値は下がるだろうけど十分に美味しいはず。ダンジョンの価値がどんどん上がっていくよ。

 当分はこの子一体だけで進化は無理だけど、どうやらしっかり力はあるみたいだ。この子には頑張ってもらおう。


「名前はイズン……イズーナな」

「どんな意味があるの?」

「常若の林檎を守る女神だよ」

「そんな神様がいるの?」


 マチェールとタイムがそんなやり取りをしている。この世界の神様は太陽と月と星と海の四神様がいるけど、全部女神様で実在が確認されてる神様だ。だからタイムの言うような神様は想像もつかない。

 タイムの世界では神様は確認されていない。ただ信仰はあるらしく、それで争いが起こったりするらしい。私たちの感覚だとちょっと歪な感じがするけど、そんなこと信じてる人に言ったら怒られそうだね。

 とにかくわが家……わがダンジョンにペットが出来た。この子はコアへの攻撃禁止を設定してリスポーンポイントをコアルームに移設、ここでしばらく飼うことにした。

 よろしくねイズーナ!






 ドラゴンの肉も獲れるようになるんでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ