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ギルドが一日で出来た件

 お兄ちゃんは私が絡むと基本的に駄目になるけど、しかしそれが良い方に向かうケースもある。

 元々お兄ちゃんは有能だ。その人が私のためには全力を尽くす。それがまあ色々と空回りすることもあって駄目になると言ってるのだけど、ばっちり噛み合っている時は凄まじい。

 チョスケー村にはお兄ちゃんが来た翌日に冒険者ギルド出張所が建ってしまった。

 現在の複合的な魔術による建築が可能な時代にあっても、それが出来る魔導師の少なさからやはり難しいことなのだが、お兄ちゃんが復興のためにその魔術を習得していることもあり、またギルドに何故か私のファンがいたために、ほぼ一日でギルド出張所の体制が整ってしまった。そして何故か冒険者もけっこう集まってきて、商人まで気の早いことに買い付けに走ってきた。

 チョスケー村は一日で賑やかになり、そしてギルド出張所には何故か「ビスケット領本部」の名前がつけられ、そしてそれを村人さんたちが大歓迎してお祭り騒ぎという、思わずポカーンとなってしまう展開だった。

 確かに厳密に言えば私が領有を主張した段階でビスケット領では有るんだけど……。速いなあ。


 私がそのことを知ったのは今後の調整をレイアスお兄ちゃん、タカリヤ村長を交えて三者会談するためにたまたま村に降りたからだった。


 最初はトリシャちゃんが数人の男性に囲まれているように見えて焦ったのだが、どうやら何かが出来たと騒いでいるらしいと分かって、一旦はほっと一息吐いて、すぐにその先に急に現れた三階建ての王都で見るような大きく小綺麗な建物に目を見張り、お兄ちゃんがその前にいたので、ああ、またお兄ちゃんがやらかしたのね、と、ため息を吐いて、ギルド出張所と聞いて喜んだけどお兄ちゃんがデレデレするのでため息を吐いて、そして出張所に掛けられた看板がビスケット領になっていたのでまた驚いて、ふんぞり返ってまたデレデレするお兄ちゃんを冷たい目で睨んでから中に入るとすでに職員さんが揃っていて一斉に挨拶してきたので驚いて、職員さんがみんな私を見て顔を赤くしたりモジモジしたり鼻の下を伸ばしたりするのを見て首をかしげて、聞くとどうやら地元のトレンティアギルドの人たちがみんな私のファンで、この職場への転勤の権利が取り合いになった上にくじ引きで勝利した人たち全員をお兄ちゃんが風魔法で運んだと聞いて、もうね、上がったり下がったりですよ。はぁ。

 そしてすでに集まっている冒険者の多くも私のファンで、なんかS級で私も顔を見たことがある冒険者さんもいて、更にビックリ。どうやらその人が他の冒険者さんたちを運んで来たようで、お疲れの様子だった。

 そこに更に飛行船が飛んできたと村人が飛び込んできて、それで乗り付けて来た商人の皆さんがドカドカ入ってきてビックリ。

 サッとS級冒険者のクラウスさんが私を庇ってくれたのだが、商人さんたちは一斉に土下座して私にこれからのことを頼んできたので慌てて立ち上がってもらった。

 タイムが後ろで「土下座も持ち込まれてるし、飛行船とかすげえし」と一人で騒いでいる。

 とりあえずギルド職員さんと話をしてみることにした。


「えーっと、急な話だったのにこんなに大勢、有り難う御座います」

「いえ! 親愛なる白銀の魔女シルビア様のため! 皆数分で準備を整えて来ました! その前の派遣される人員選びに一日掛かりましたが最後はくじ引きで!」

「ドン引きだよ! 確かにシルビア可愛いけど」

「まあまあタイム、落ち着いて……。くじ引きにドン引き……、くっぷぷっ!」


 タイムに初めて可愛いと言われた気がする。いつもは「合法ロリ」だしね。しかもタイムが駄洒落を言ってるし。無意識に私に染まってきたね?

 それにしてもそんなに人気が出たのは何故だろう? 確かに学園が休みの時は魔物を間引いてギルドに運んだことは度々あるのだが。


「あれだな、ギャップ萌えだろ。こんな小さいのがゴーレムサクサク削るの見たら萌えるよな」

「燃える? 灰になる?」

「萌えと言うのは可愛いものに悶えるような意味だな」

「灰にならずにハイになるのね! くぷぷっ!」

「またか、ジニーたちいないのに風が冷たい! 室内なのに!」


 私のギャグで職員さんと冒険者さんと商人さんは顔を赤くしている。面白いよね? 何人か大笑いしてるし!


「大笑いしてるのはセンスがジン並みの奴であとは悶えてるだけだな」

「ジニー並みのセンスなら笑いジニー?」

「今日は攻めるな!」


 いやー、私も今日は驚きすぎて気が動転してるんだよ。商人さんとも話しておかないと駄目だしあとは冒険者さんたちにも挨拶はしておかないとね。


 商人さんの代表の人とチョスケー村に問屋を作って早急に商品を回してもらう話し合いをする。主には家具や武器、防具、生活用品を送ってもらう。食料はダンジョンでいくらでも手に入るけど、足りない野菜類や肉類は送ってもらう。

 そしてダンジョン産のアイテムの買い付けに、王国内各地への輸送、輸出までやってもらう。

 商人さんたちも儲けが出る範囲でなら喜んでやってくれるだろう。


 ただ心配なのは、こんなに冒険者さんが集まって伯爵領の方が手薄にならないかと言うことだ。早急にモンスターを増やして派遣しないと駄目だろうし、周知もしてもらわないとね。

 お兄ちゃんには悪いけどしばらく伯爵領とこちらを往復してもらおう。

 頼んだら凄い喜んだけど。

 冒険者さんたちにもお願いすると大喜びしてくれた。ダンジョンのリスポーン速度も一気に引き上げようと、タイムと計画を練ることにした。

 忙しくなるぞ~!






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