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お兄ちゃんと友達と

「お兄ちゃんいらっしゃい! ミリアムも!」

「来たよシルビア! 相変わらず可愛いね! ダンジョンマスターになったから永遠に可愛いね!」

「ちょっ、お兄ちゃん抱きつく力強すぎ!」

「久しぶり。あと旦那様、顔が終わってます」


 レイアスお兄ちゃんを出迎えると凄いテンションで抱きついてきた。痛い痛い。遺体にしたいの? 遺体に死体……て、それどころじゃない!


「お兄ちゃん仕事は?」

「しているよ、今、正に! 視察だよっ!」

「あー」


 その手が有ったか。しばらくはレイアスお兄ちゃんに会えないと思ってたけどお兄ちゃんだもんね。私のことになると暴走してしまう。うん、置いておこう。


「ミリアム!」

「シル~、会いたかったわ!」

「私もっ!」


 きゃいきゃいと女の子同士で抱き合い手を重ねる。お兄ちゃんの硬い体と違ってこっちはふんわり柔らかい。


「んじゃお兄さん? 仕事の話しようか」

「ええっ、せっかくシルビアに会えたんだぞ?!」

「仕事しに来たんだろ?」


 小さなタイムがずるずるお兄ちゃんを引きずって行ってしまう。お兄ちゃん私と違って大きいのに。百八十近く身長がある。タイムの力はどうなってるんだろうね?

 それにしても意外と真面目だよねタイムは。まだそんなに長く付き合った訳じゃないけど、尊敬できるタイプかもね。

 どうやら二人でモンスターの貸し出しについて話しているようだ。生きた兵糧だから前線で使える、と、お兄ちゃんも大喜びだ。今のトレンティア伯爵領は辺境の最前線だからね。

 ボンロー帝国と接している最前線は辺境伯領なんだけど、私たちのトレンティア伯爵領も帝国には接していて、共に最前線を守っているのがノーランド王国の帝国に対する供えだったんだよね。

 実はずっと考えていた。モンスターの軍隊を作って古代神殿を攻略し、攻めてくるボンロー帝国の軍隊も退けようと。

 ダンジョンは兵器だ。しかもかなり凶悪な部類の。この美味しいダンジョンだって例外じゃない。

 このダンジョンが十階、十五階と伸びていけば、それだけ強く、大量の兵士を雇えるのも同じこと。

 毒を以て毒を制する。モンスターを以てモンスターを征する。これが私の計画だ。

 その計画がレイアスお兄ちゃんが来たことで、今から軌道に乗っていくのだ。復讐と、勝利を……。


 二つの領地領民を死に追いやった古代神殿に復讐を! 魔物や外国に虐げられている全ての民たちに勝利を! 平穏を! 平和を! そして願わくば豊かさを!

 これが私の目的だ!!






「そう言えば商人とかギルドの出張所の依頼をここに来る前に出していたわ、あの人。マチェールもあなたの護衛につけるみたいね」

「ま、マチェールが来るの? ある意味もっと危なくない?」

「まあ魔法が効きづらいマチェールはあなた苦手だものね。シルビアは剣も使えるのだけどさすがに組み敷かれたら剣も抜けないし」

「その前に友達攻撃できないでしょ?」

「ん? 出来ない?」

「ミリィは出来る人だったよ!?」


 そう、ミリアムは見た目はおっとりして見えるのに超気が強い。私とも最初はライバル関係を求めてきたくらいだ。一応負けたことはないけど、だけどそれで仲良くなってしまったのだけどね。


「マチェールは氷結系が苦手、ここには氷結系であなたが得意な風属性の精霊アイスジニーがいる」

「マチェールはアイス死に?!」

「寒いわ! ジニーって笑うと嵐起こすのね! 初めて知ったわ! 倒していい?!」

「倒してもすぐにリスポーンするよ。ミリアムは雷撃得意だから相性は悪かったな~」

「それでもあなたに勝ったことないけどね……。魔法の相性が悪いのはお互い様だし。ああ、風が治まると寒くないのね」

「寒くないしむさくないよ。ジンはむさいよ! 侍女には無採用!」

「寒いっ、寒いわっ!」


 激しく笑って嵐を巻き起こす侍女ジニーにミリアムが怒って、とうとう電撃を放つとジニーは一撃で倒された。リスポーンしてすぐに戻ってきたけど。モンスターもダンジョンがあるかぎりは不滅だ。

 ただリスポーンに数分は掛かるし一回リスポーンポイントに戻されるので戦いに負けないわけでもない。ダンジョンが壊れれば普通に消えるし、ダンジョンの外ではただの魔物だ。倒されたら消える。私とタイムは戻ってくるけどね。


「シルビアあ~! お話は終わったよ! さあ愛し合おう!」

「アイス合う? ジニー好きなのねお兄ちゃん」

「この部屋風通りすぎじゃないかい?!」

「お兄ちゃんはいつも寒いとは言わないね」


 寒いって言われるとちょっとへこむもんね、私。まあ駄洒落が多いのが駄目なんだろうけどね。ジニーは話を振ったからくねくねしてる。あ、ジニーにしてもお兄ちゃんはかっこいいのか。私に絡むとお兄ちゃん駄目になるけどね。


「旦那様、帰りましょ。仕事が残ってますわ」

「ええっ、俺はシルビアと、ほとんど話せてない……」


 ジニーにお兄ちゃんを取られると思ったのかミリアムはお兄ちゃんを引きずっていく。レイアスお兄ちゃんがわずかに抵抗するも何故かお兄ちゃんはミリアムには勝てないんだ。魔力は負けてないんだけどね。実際ミリアムの雷撃と風はお互い相性が悪い。風で雷は止まらないし、その逆もだ。なので純粋に強い方が勝つ……はずなんだけどなあ。

 多分惚れた弱味なんだろうね。お兄ちゃんの私に対する愛情とは違う種類の愛情をミリィはお兄ちゃんに向けられているのだ。

 二人は私が送ろうかと思ったのだが、普通にモンスターを倒してアイテムを拾いつつ帰って行った。かなり損失出たかもと思ったけど、二人だけでかなりポイントが増えていた。一人辺り半日で五百ポイントとか凄まじい。どうやら使用した魔法もポイントに絡むみたいだ。

 二人がここに住み着いたらポイント困らなくなりそうだなあ。飼い殺しみたいなことはしたくないけど。つか出来ないけど。

 そう言えばマチェールが来るんだった。マチェールは火の属性が得意で、やっぱり私と相性が悪いんだけど、こっちはお互い反応してしまうというパターンの相性の悪さだ。相性が良すぎて駄目とも言えるかな。粉塵爆発みたいな爆発事故を起こさないようにしよう。タイムが飛ばされそうだ。






 クズ聖女が楽しすぎてあっちばかりになって済みません。一応一段落までは更新する予定です。

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