エレベーター
階下から上がってきたエレベーターが三階で止まり、数人の人達がエレベーターに乗ってきた。瞬間、「ビー」とエレベーター内に重量オーバーを知らせる警告音が鳴り、人々は一様に、元から乗っていた太った男に目を向ける。男はばつが悪そうに軽く会釈をして、エレベーターから降りていった。
しかし、依然と警告音は鳴り止まず、誰かが、
「これはひょっとしたら故障かもしれないな。」
と言い、他の者も、
「何だか怖いわね。階段で行きましょう。」
と、その場にいた全員がエレベーターから降りていったのだった。
誰もいなくなった無人のエレベーターの天井にある点検口が開き、そこから顔を覗かせた泥棒は、「次から侵入にエレベーターを使うのはやめよう」と思った。