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幻想世界の統合者  作者: 砂鳥ケイ
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第三百十七話:試練の洞窟

 この場にいるのは、勇者一行から勇者レイン、剣姫リグに風神セリーヌ。魔族からは、元老院のセイリュウ、クオーツの団長アルザスに元魔王アリオトに現魔王様。俺の仲間たちからは、ユイ、リン、クロだ。


 この人選は、俺や魔王様が決めたわけではなく、神メルウェル様の神託だった。


 他の者は、魔女と共に突如として発生した次元の波の対応に向かってもらっていた。

 7大魔王が強引にこの世界へとやってきた影響が今更になって現れたのだ。

 この世界の至る所から、空間に亀裂が生じ、その中から未知のモンスターがうじゃうじゃと沸いて出て来ていた。

 流石に世界中ともなれば、一つ一つ対応する訳にもいかず、どうしても転移に頼らざるを得ない。

 また、何処に亀裂が生じているかなどの正確な情報も必要だった。


 次元の波を知らせてくれたのは、現在精霊界へ帰精中のセリアだった。

 転移が出来る者たちが別れてチームを組み、対応を図る運びとなった。


 走り出して彼此数時間が経過していた。

 足早に脚を進めながら魔王様が語り出す。


「さて、魔界に来てもらったのには、ちと理由があってな」


 ただの特訓を行うだけならば、別段どこでも構わないはずだった。派手に戦闘訓練を行うならそれ相応の場所は必要だとは思うけど、それ以外に理由はあるのだろうか。それにしてもかなり速い。着いて行くだけで中々しんどそうなんだが、誰も根を上げる者はいなかった。


「さて、ああ、ここじゃここじゃ。数百年振りじゃ。まだ残っているのか不安じゃったがな」


 辿り着いた場所は、大きな縦穴だった。


「なーに、中に何かあるの?」


 勇者一行のセリーヌが訝しげな表情を見せる。


「ここはな、試練の洞穴と呼ばれておる場所じゃ」

「試練って、この中に入ると強くなるの? そんなお伽話じゃあるまいし、上手い話があるとは思えないけど」

「まさか、またこの場所を訪れることになるとはな⋯」


 アルザスとセイリュウはこの場所のことを知っているようだった。


「うむ。先代魔王が眠る場所でもあってな、ちと厄介な呪いが掛けられておるんじゃ」

「魔王、先代魔王の遺骨は歴代の魔王様が祀られている王墓じゃなかったのか?」

「セイリュウは知らなかったか。一度は遺体を持ち帰り、王墓へと安置していたが、死して尚強力な呪いを発していた遺体を妾が再びこの洞窟の最奥に安置したんじゃ。王墓は、ただの形だけの墓じゃな」


 確かに、嫌な雰囲気を出してるな。

 範囲探索(エリアサーチ)で探ろうとするが、どうにも分からない。まるでその場がポッカリと何もない空間のように何も分からなかった。


「ユウ、この中は亜空間に繋がっておる故、探知は使えんぞ。さて、説明は特にない。1人ずつこの洞窟に入り、生きて出てくること。それだけじゃ」


 1人ずつと言われ、皆が顔を見合わせる。


「ふむ。ならば私から行こう」


 声を発したのはアリオトだった。


 すれ違いざまに明らかに俺を睨みつけ、そのまま何の躊躇いもなく洞穴内へと脚を進めていった。


「時間もあまりないぞ。どんどん進むんじゃ」


 ああそうか、亜空間に繋がってるってことは、中に入っても同じとこに繋がってるわけじゃないのか。


 皆、恐る恐るといった感じで、そうして最後に残ったのが俺だった。


「ユウ、1つアドバイスじゃ。この試練の洞穴はな、自身の信念次第でいくらでも効果の程は変わるらしいぞ。要は、より強くなりたいと言う想い次第じゃな」


信念で効果の程が変わるのか。一体どんな原理なのか気にはなるけど、この洞窟。なんかヤバい気配がビンビンするんだが⋯。入ったら2度と出てこれないんじゃないかって感じがする。


「じゃあ、俺も行って来ます」

「うむ。精々精進するんじゃぞ。妾を圧倒出来るくらいにの」


ははっ、流石にそれはどんなに頑張っても無理な気がするな。


この後、すぐに入ったことに後悔することになった。

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