プロローグ 2
気がつけば、浮かんでいた。
どうやら死んだらしい俺はどこかで漂っている。
肉体もないのになぜかそれがわかる。
死んで幽霊?それとも魂になったのだろうか?
目も見えないし、息も必要ない、だが精神が俺であることを本能が理解している。
ここは一体??
『ここは死んだ人間の魂の集まる場所。』
直接俺に届くその声は、男とも女ともわからないが、優しく染み込んでくる。
「やはり俺は死んだのか。」
『如何にも』
「これから俺はどうなる?」
『選択肢は2つ』
『1、転生する』
『2、魂の帰る場所に往く』
「どういうことだ?転生?帰る場所? 説明を願う!」
『転生とは生まれ変わること、
そなたの場合、前世の苦労、人の希望、人の切なる心からの祈りで転生が認められた』
『魂の帰る場所とは所謂天国でと言われるもので相違ない、90%の人間はこちらに往く』
ん??苦労は病気だとわかるとして、希望?祈り?なんことだろう。
『さて、如何する?』
「その前に質問なのですが、1を選択した場合はどこに転生するのですか?」
『それはわからん、そなたのいた地球かもしれんし、違う進化の遂げた異なる世界かもしれない。
転生するまでわからんというしかない。』
うーん、ということは恐竜しかいない世界とか、巨大昆虫のいる世界とかもありえるってことか?
一日以上、生きていられる気がしないな。
それ以前に人間に生まれ変わるかどうかもわからんしな。
しかしそれでも俺は転生してみたい。
自分の力で歩き、色んな土地で人と出会い、景色を見て、美味しいものをたくさん食べたい。
病気になってできなかったことをしてみたい。
自由に生きてみたい、腹は決まった。
「転生したいと思います。」
『了解した、では最後に。転生は前世の行いで能力が付与されることがある。
付与された場合、各個人で付与される能力に差もあるし、付与数にも差があるが、その点は納得してもらおう。』
へぇ、そんな特典もあるのか、付いていたらラッキーといった感じか。
欲しくないといえば嘘になるが、五体満足に生まれるならばそれでじゅうぶんだ。
「過ぎたるは及ばさるが如しといいます、お気になさらず。」
『ふむ、いまどき珍しい謙虚な若者だ。そなたがより良い人生を歩むことを我も願おう。
では、輪廻転生!』