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その男、規格外につき  作者: しんぷりん
第1章 雌伏の時
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第11話 魔法を覚えました

ブクマ登録が100件を超えました!これもひとえにみなさまのおかげです!ありがとうございました!!

 9才になった。8才のとき【暗視】の魔法を覚え、俺はこの1年、自分なりの考えでいくつか魔法を覚えた。俺が覚えた魔法は、大別するなら所謂、便利魔法や生活魔法と言われる類いのような魔法だ。


 まず水属性【命の水】、これはコップ一杯分の飲料水を生成する魔法である。これでどこに行っても飲料水に困らない。しかしこの水、ただの水と思うなかれ、この魔法で作った水は効果は低いし速効性はないが、体力回復効果・軽い毒や風邪などの内科的病気を回復させる効果がある。流石に命の水という名称なだけはある。


 次に火属性【灯火】、これは自分が視認できて2m以内の距離になら、どこにでも焚き火が作れる魔法だ、その火の大きさは直径が50cm、高さが30cmぐらいだ。効果時間は通常15分~6時間ほどだが、風が吹いても雨が降っていても、その効果時間は短くなるが、すぐに消えることはない。試しに川の中で【灯火】を使用したところ、流石に6時間は持たなかったが、15分ほど水中で燃え続けていた。ブクブクと水中で燃え続ける魔法を見て、心底魔法すげぇって思った。


 次も火属性で【保温】、この魔法は自分の体の温度を一定に保つ効果がある。これで砂漠でも氷の大地でも寒さ暑さで参ることはなくなるだろう。効果時間は1時間~12時間ほどだ。環境の厳しいところであるほど、魔法の効果は早く切れる。【保温】を使って試しに冬の川に入ったら、全然寒くないという、これまた理解不能な便利魔法だった。その1時間後、寒中水泳中に魔法効果が切れて、凍えて溺れそうになったのは、とても苦い思い出だ。


 そして聖属性【浄化】、これは汚れを無くす魔法だ、剣や鎧、服等に付着した血や泥、口腔や体全体を洗浄し、清潔にしてくれる。ちなみにこの異世界に風呂はないが、歯ブラシや歯磨き粉は存在する。風呂でなく温泉はあるらしいが、ファイマ領には存在しておらず、主に体は桶に水を張り、手拭いで水拭きだ。歯ブラシはキコの木という枝を加工したものを使用し、歯磨き粉はクコの実なるものを乾燥させ煎じ、それを使用している、だが、これらの物より、この魔法を使用した方がピカピカになる、歯は電動歯ブラシで磨いたようにツルツルになるし、体も汗くさい臭いや汚れも見事に消え、とてもさっぱりする。初めて【浄化】を自分で使用したときは本当に感動した。

 ちなみにこの魔法をアンデットに使用すれば、攻撃魔法としても活用出来る。この【浄化】だが、俺が就寝中にベルが使っていてくれたらしい。どおりで水拭きだけなのにべたつきもなかったし臭くもなかったし、歯もツルツルだったわけだ。この事実に気づいたのは、最近のことだ。いつも訓練が終わって泥のようにぐっすり眠っていた俺は、全然気が付かなかった。偶然、セバスと魔法の話をしていてその事実が発覚した。もしベルが暗殺者なら、俺はサクッと殺されていたかもや知れん。恐るべし、猫耳メイド。

 まあ冗談はさておき、俺は長きに渡る訓練で、殺気や何かしらの悪意には凄く敏感になり、その気配を感じた瞬間、どんな状態でも直ぐに戦闘体勢に入ることが出来るようになっている。だがそれ以外の危害が加えられないような場合では、今まで通り、自分が睡眠に満足するか、体を揺するとか声をかけるとかされない限りは起きない。と言うわけで、ベルが俺を害するわけがないし、まあ気付かなくても仕方なかったのだろうと思う。

 

 そういうわけで、この1年で【暗視】・【命の水】・【灯火】・【保温】・【浄化】と5つの魔法を覚えた。どれもこれも直接攻撃が出来る魔法ではないが、攻撃なら槍と小太刀で出来るので、この先に必要になると思われる魔法を優先的に覚えたのだ。見事に旅向きの魔法だと思う。

 後はグラン先生の持っている【次元収納】も覚えたいのだが、ルーガニア王国では軍属ではない場合、覚えるためには冒険者ギルドで中級になるか、商業ギルドに登録して5年以上の実績、さらにその両方ともに推薦者が必要という厳しい条件があるので、今は覚えることができない。覚えた場合も登録が必要になる。これは禁制品などの密輸入を防ぐ手段として、そのような仕組みになっている。

 抜き打ち検査などもあり、違反した場合は、貴族であろうと、冒険者であろと、商人であろうと本人は死罪、近親縁者は財産没収のうえ、状況によっては死罪という非常に厳しい罰則がある。とりあえず冒険者ギルド員になれるのは12才からなので、9才の俺は残念ながら、覚えられるのは早くても3年後、まだ当分先のことだ。


 ルーガニア王国と言ったが、他国の場合は国が管理していたり、教会が管理していたりする場合もあって、その扱いは千差万別だ。それにもしかしたら古の森やどこぞの秘境にも同じ魔法石碑が存在するかもしれない。実際、そんな未知の魔法石碑を専門に探求している人たちもいて、石碑探求者と呼ばれている。

 俺も成人なり旅を始めてたら、未知なる石碑を探す日々もありかなと思っている。なんせ面白そうだし、それにどんな石碑の呪言も《言語理解・翻訳》という能力で読み解くことが出来る俺には、その仕事はきっと天職になることだろう。


 これもセバスに教えてもらったのだが、普通、人が自分の魔法属性を知りたい場合、どうするのかといえば魔法石碑に触れればわかるとのことだ。自分の属性の魔法石碑に触れると、石碑が発光するのだ。つまり火属性の人間なら火属性の魔法石碑に触れれば、魔法石碑は明るく発光し、それ以外はあまり発光しない・若しくはまったく発光しないということだ。まあこれは俺の推測だが、体内にある魔力径絡と石碑が反応しているのだろう。その証拠に魔力径絡を鍛えに鍛えきっている俺が魔法石碑に触れたところ、火も水も聖も闇も均等に明るく発光した。


 このように色々な属性の魔法を、その膨大な魔力量により、人より多く覚えることが出来る俺だが、1つ1つ長い呪言も覚えなくてはならなくなったので、これから魔法の種類が増えてきたら大変だな・・・・と思っていたのだが、ここでも俺の《強化知識》がいい仕事をしてくれた。石碑を触って体内に取り込んだ魔法に限り、《強化知識》が呪言を記憶してくれたのだ。

 これで俺は魔法を使用する際は、その魔法名を思い浮かべるだけで、自動で呪言を記憶から引き出せるようになった。異世界転生物の勇者や英雄のような派手さはなく、地味な能力だが、俺は思いの外、この能力を気に入っている、この能力と共に、どこまでも高みを目指そうと思う。

お読みいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

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