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その男、規格外につき  作者: しんぷりん
第1章 雌伏の時
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第8話 長兄の帰郷と結婚

みなさま、いつもお読みいただきありがとうございます。

 王都からやって来た手紙にダンテ兄さんの手紙があり、王都から一度レイヴァン家に帰るのでよろしくと、したためてあった。ダンテ兄さんは成人して騎士になるべく王都にて修行中だったのだが、修行も終わりこの春からルーガニア王国第1騎士団に入団が決まったとのことで、その報告も兼ねて一度帰郷するとのことだ。

ところでこのルーガニアにも日本のように春夏秋冬の季節があり、草木も春に芽吹いて、夏に猛り、秋に赤映え、冬に枯れ散る。こういうものはどこに居ても変わらないんだなぁと妙なことで感心してしまった。

俺は生まれてから初めて長兄に会う。異世界ではこれが普通のことかわからんが、7年も兄弟に会わないなんて、交通の発達した日本ではあまりないと思う。

 そしてある春麗らかな日、夕方の太陽が沈む前ぐらいの時間にダンテ兄さんは帰ってきた。帰ってきたダンテ兄さんは玄関に迎えに出た俺に会うなり、両脇に手を入れ自分の目線まで持ち上げた。


「おぉ!初めまして!お前が俺の弟のジェノンか!!母さんそっくりじゃないか!!」


声が大きい、背も高い、筋肉が盛り上がってる。これはあれだな、そうまるでグラン先生のような感じだ。ひとつだけ違うのは、その顔。父さんをそのまんま若くさせた感じの美青年だった。それにしてもうちの家系、父さんの遺伝子強すぎないか?母さん似は俺だけだぞ。まだ会ったことのないエリーゼ姉さんもきっと美女なんだろうなぁ。そういえば大分前にエリーゼ姉さんに子供が生まれたとか母さんがいっていたな。子供のうちにもう叔父さんになっていたのか。


「初めまして、ダンテ兄さん。ジェノンです」


持ち上げられ足をプランプランさせたままの挨拶なので、どうにも間抜けな感じだ。


「偉いな、ちゃんと挨拶できるじゃないか」


「僕も、もう7才ですから」


「そうか、俺がここを出たのはジェノンが生まれる少し前だから、もう丸7年か、俺もジェノンが生まれたら、一度ぐらいは帰ってきたかったんだがな、早くに騎士団に入団しなくちゃならなかったから、ごめんな。」


「どんな理由があったんですか?」


7年、日本で考えたら赤ん坊が小学2年生になっている年齢、結構な年数だ。


「それはだなー、あー、まー。ところで、あの母さん、ベルはいるかい?」


ダンテ兄さんは俺の質問にはお茶を濁して答えず、俺たち2人の会話を横でニコニコと聞いていた母さんにそう尋ねた。


「いるわよ、今はあなたが帰ってくるから、お料理を作っているわ。それよりひとつ言い忘れていることあるのじゃないかしら?」


「えっ、あぁ。ただいま、母さん」


「はいお帰り、ダンテ」


「あちゃー参ったな。俺の方が挨拶出来てないや。兄の威厳が丸潰れだぜ」


そうやって額に手をやり、俺に軽くウインク。それがなんとも様になっている、やはり男前はそういうキザな仕草も似合う。全然違和感がない。ちなみにベルというのは俺を出産の時に取り上げてくれた猫耳美人さんのことで、我が家のメイドをしている。メイドと言ってもルーガニア王国は奴隷制度などは認めていないので、普通に労働契約を結び働いてもらっている。日本でいうところの住み込み家政婦っていったところか。

我がレイヴァン家には2人のメイドと執事、そして警備を担当する衛士2人がいる。その民族もバラエティーに富んでいて、メイドに猫人族のベル、牛人族のパオ、そして執事の普人族セバスチャン。衛士の狼人族2人ネビルにシビル。ちなみに地球でいう人間に当たる言葉は、この異世界では普人族という。この俺が転生した異世界は多種多様な民族が入り乱れている。エルフこと長耳人族もいるしドワーフこと岩人族もいるし、ホビットこと小人族などがいる。

ルーガニア王国は俺ら普人族が多数だが、ベルのような猫人族とかも普通に住んでいる。ルーガニア王国は別に民族差別などはないので、人を食うとか傷つけるとかそういった嗜好性や習性がないかぎりは、どの民族であれ普通に国民となり住むことが出来る。


「それで兄さん、ベルになんの用なの?」


ダンテ兄さんの声が聞こえたのだろう、仕事以外で普段はあまり自室からあまり出てこないマーク兄さんもやってきた。


「マーク、久しぶりだな!!」


マーク兄さんを見たダンテ兄さんは持ち上げていた俺を下ろし、つかつかとマーク兄さんのもとにいって、その両肩をバンバンと叩く。


「痛いって、兄さん。相変わらずの馬鹿力だね。僕は兄さんのように頑丈に出来てないんだよ」


「ははは、まあそう言うなって。久しぶりだが、ちゃんとご飯食べているのか?そっちこそ相変わらず部屋に閉じ籠って本ばかり読んでるんじゃないのか?たまには外に出て走ると気持ちいいぞ」


「そういうのは兄さんに任せておきます。僕は基本的に頭脳労働しか出来ないので」


そういえばマーク兄さんは去年成人している、ルーガニアの成人は18才からなので、今年で19才。成人して直ぐに領主館の採用試験に合格し、今は父さんと同じ領主館で働いていて、主に内政に関する仕事を担当している。頭のいい兄さんのことだ、将来は父さんや兄さんを支え、国を守る重要なポストに就くだろう。


「もう兄さんたちもいい加減にして、玄関でなく家に入ってください、お行儀が悪いですよ」


フローラ姉さんが俺らを呼びにきた。確かにいつまでも玄関先で会話しているのも、行儀悪いか。


「フローラ!お前、ますます美人になったな。いい男でも見つけたか」


「もう!兄さんったら、そんなしょうもないこといってないで、早くこっちに来て」


怒ったふりしてフローラ姉さんはダンテ兄さんの手を引っ張っていく。その際、余った手で俺の手を引っ張るのも忘れない。相変わらず弟離れしない姉だ。それを見たマーク兄さんはまたかという顔を浮かべて、後ろをついてくる。母さんも兄弟仲良しねと笑いながら、軽やかな足取りでそれに続く。

 食堂にはいつもより豪勢な料理がところ狭しと並べられており、それがいい香りを醸し出しており、食欲をそそり、空腹のお腹をさらに刺激する。たまに読んでいたライトノベルの転生物では、異世界の料理はまずいだの美味しくないだのが定番だったのだが、俺は運が良かったのかこの異世界の料理は驚くほど美味しい。とは言っても前世ではほとんど味のない病院食や流動食だったので、ちゃんと舌の肥えた日本人がこの世界に転生していたら、まずいと言っていたのかも知れない。


「ダンテ様、お帰りなさいませ」


食堂に入ってきたダンテ兄さんを見るなり、給仕をしていたベルが深くお辞儀をする。そして花が咲いたような笑顔でダンテ兄さんを見つめる。しばし熱い目線で見つめ会う2人。なにか近寄りがたい独特の雰囲気に周囲も飲まれたのか静寂が包む。ベルを見て固まっていたダンテ兄さんは、魔法が解けたように足音を鳴らしてベルに近づき手を握りしめ、目線を外さずに真っ直ぐベルを見つめ、こう言った。


「騎士団に入団が決まって帰ってきたよ。第1騎士団所属だ。約束通り、結婚してくれるね」


「「えーーー!!!」」


突然の爆弾発言に俺とマーク兄さんが同時に悲鳴にも似た声をあげる。大声をあげた俺は直ぐに黙るようにとフローラ姉さんに後ろから抱き抱えられて口を優しく押さえられ、もう1人大声をあげていたマーク兄さんには、笑顔の母さんが無言で頭に拳骨を落としていた。うわっ!凄く痛そうだ。痛みに頭を押さえてるマーク兄さんがこっちを見る。そんな、何で俺だけがみたいな恨めしい目でこっちをみないでくださいよ、マーク兄さん。殴られないのは子供で末っ子の特権なのですよ。


 突然の告白にさっきとはまた違う雰囲気の静寂が食堂を包む。みんなが固唾を飲んで2人を見守る。色白のベルの頬が段々と薔薇色に染まっていく。その翠玉の双眸から涙が溢れ落ちてくる。頬を伝った涙が一粒床に落ちたと同時に、ダンテ兄さんの胸に飛び込んだベル。


「結婚してくれるね、ベル。頼むよ。俺には昔からお前だけなんだ」


飛び込んできたベルを抱き締め、熱い台詞を口にするダンテ兄さん。男の俺からみても惚れ惚れとする堂々とした男っぷりだ。格好良すぎる。さすが俺の兄、初めて会うけど。


「はい!はい!うぅぅーー」


喜色満面の泣き笑顔で何度も首を縦に振るベル。しっぽがブンブンと右に左に激しく動いている。


こうして初めての長兄の出会い&新しい姉さんが出来たとても幸せな日は無事幕を下ろ・・・・さなかった。



この感動の瞬間を仕事で見逃した父さんが、完全にいじけて拗ねてしまい、皆でなだめるのに大変だったのだ。まあ気持ちはわかるけど。お父さん、お仕事お疲れさまです。

ようやく猫耳美人さんの登場です、いきなり結婚しちゃったけど(笑)

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