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戦闘詳報 WD糸織 vs パピヨンとピノ

GOINGSTEADY「東京少年」は亡くなった琴が一度だけ興行に出た時に使っていた入場曲でした。

zoneも実名?出てますが、これ、歌詞じゃなくて名前であればいいんですよね・・・?

今年のラストを飾る本興行の第一戦はWD糸織、パピヨンとピノで幕を開ける。

まずの入場は一ヶ月ぶりの登場となるパピヨン。静かで幻想的な魔法使いの曲・・・を今日は変更したらしい。

けたたましいラウド系の曲はGOINGSTEADY「東京少年」だ。それに乗せて現れたパピヨンは久しぶりにホウキを手の中で躍らせながらの入場をする。今日の彼女は「いかにも魔法使い」といったようなとんがり帽子をかぶっていたが、リングの前まで来るとその大きな帽子のつばを持って会場高く投げた。

どうやら火薬でも仕込んであったようで、中空まで舞い上がった帽子は派手な音を立てて破裂する。彼女にしてみれば珍しいパフォーマンスに、ファンは一拍の静寂の後、スコールのような歓声を上げた。

対するWD糸織はZoneのナンバー「大爆発 NO.1」をお供に一気にリングに駆け上がると両手を広げて

「おにーーーちゃーーーん!!!メリーくりすまーーーす!!!だよーーーーーーー!!!!」

と、さらに派手なパフォーマンス。まるで自分が大爆発のような勢いに、ファンもまってましたとばかりの大歓声で応える。・・・女児塾異色のアイドル達の二度目の対決というわけだ。

「糸姉のせいで寝不足だよ!!!」

会場の歓声が和らぐや、マイクをひったくったパピヨンお得意の、「内輪ネタ」トークからマイク合戦が始まった。

「作戦だモーン!!」

「糸姉だって寝てないじゃん!!」

「あたしははっぴ~みたいなお子様じゃないから寝なくても大丈夫~!」

たしかに糸織くらいの年齢は、(なぜか)一番寝なくても大丈夫な気がする。

「くそー・・・なんでいつもいつもあたしは糸姉の作戦にはまるんだろ・・・もともとプロレスを始めたのだって糸姉のせいだよ!!」

「あんたの馬鹿を治してあげよ~と思ったんだモン!」

「馬鹿とはなんだーー!今日はそのお礼をきっちり返してやるーーー!!!」

「あんたこそあたしのミサイルキックでイギリスまでタダで送ってあげるモン!!」

カーーン!

プロレスとは全然異質な挑発合戦で場を暖めたところで、ゴングが鳴った。

ゆっくりと動きながら様子を見る糸織、対するパピヨンはいつものように間合いを・・・いや、突然飛び出した!

その勢いでいきなり哀栖クライマー!

さすがに面食らった糸織だが何とかこれをかわす。

するとパピヨンはそのままの勢いでコーナーポストを駆け上り、中央で半ば呆然としている糸織めがけてダイビングエルボーを打ち下ろした。

「ふ~ん、最近ミユッキーと篭ってなにやってるかと思ったら・・・そ~いうこと」

それを避けもせずに受けた糸織が2~3歩よろけて不敵に笑う。

観客はいつものパピヨンに見られない派手なオープニングに息を呑んだ。

なにがしかを納得した糸織が両手を挙げて力比べを要求。パピヨンはその手にガッチリと応じる。リング中央に生まれたアーチから湯気が立つほどの迫力は見られないが、それでも3拍持ちこたえる両者。

「よっ!」

制した糸織が逆に背中側に引っ張りパピヨンをロープへ投げる。

ロープに跳ね返って強力な一撃を受けるのを嫌った彼女はそのままロープをかいくぐり、場外へ転がった。

糸織はそれを追いかけんと一足飛びでロープを上り、身の軽さをアピールするとそのままプランチャー!・・・だが、パピヨンも持ち前の鋭いサイドステップでそれをかわす。そして糸織が自爆しているうちにリングに戻った。

「得意技なんだから食らってよ~!」

「じゃああたしの哀栖もよけないでよ!!」

遅れて戻る糸織に、自爆のダメージはさほどないようだ。

再びリングで対峙することになった二人が次に見せたのが打撃戦である。

パピヨンが阿磐で懐にもぐりこんで距離のないところから哀栖につなげれば、糸織はロープを利用して勢いをつけたドロップキックをはじめとして、空中の持ち技の多いところを見せ付ける。

特記すべき点は両名ともすべて避けずに体で受けているところか。どうやら互いに急所ははずしてやっているようだが、いつもプロレスファイトの糸織はともかくボクサー張りのダッギングやスウェーを駆使してかすらせようともしないパピヨンが必死に体を固めながらも相手の技を受けようとしている姿が新鮮で、客の目を釘付けにする。

とにかく一進一退の打撃の攻防はしばらく息もつかせなかったが、その均衡を破ったのは糸織のミサイルキックだった。

あまりの衝撃に耐えられないパピヨンがロープまで吹っ飛ぶ。その跳ね返り際、糸織の喧嘩キックが炸裂!ハピヨンが今試合初のダウンに帰した。

糸織はここでさらにシューティングスタープレスの追撃を見せたが、パピヨンはそれをすんでのところで身をよじってかわす。

ここまでで10分。

「やるね~ぱっぴ~。プロレスラーみたいだよ~!」

「美幸さんに毎日泣かされたからね。今日はプロレスっぽいプロレスをするって決めてるんだ!」

「じゃあ、あたしもあたしらしいプロレスしよっと。森田クン!ニタさんが呼んでるよ~」

するとレフリー森田、「あ、そう?」とわざとらしく相槌をうって試合も止めずにリングをおりる。その隙(?)に糸織が取り出したものは愛用(?)の栓抜き。

「いくよ~!」

そして笑顔のまま糸織はそれを振り下ろした。

だがパピヨンはそれを待っていたかのように打ち出された小手を取り、糸織のわきの下をくぐって後ろに回るとその小手をねじりあげ、下がった頭にヒザを引っ掛けて、体を時計方向に回転させてなんと糸織を一回転させて落とした。うまい表現を見出せないが、首にカニ挟みを極めたような形であり、一回転はパピヨンの脚力というより、首への異常な負荷に危険を感じた糸織がとっさに受身を取った所業のようだ。

とはいえ、電光石火という言葉が似合う一瞬の横転劇に糸織のダメージも少なくはなかったようで、リングに大の字を描いたままになる。その脇でパピヨンが立ち上がった。そして・・・。

「みんな!!よろしくーー!!」

会場をぐるりと見回した彼女は、なんと頭の上で手で拍子を打ち始めた。

・・・間違いなく、観客への手拍子の要求である。

「あんなこともおしえたの?」

誰かが言えば美幸は首を横に振る。

「・・・だが、参考にせぃと渡したビデオの試合にはああいうパフォーマンスが入っていた気がする・・・」

いつもからは考えられないアピールに客も困惑気味だが、やがてその拍子の数はパラパラと増えていき、やがて大きなうねりとなってリングを包み込んだ。

その地鳴りの中で、パピヨンは糸織を起こす。そしてあれは・・・脇の下に首を入れ、相手の両腕を固めたあの体勢は・・・。

「ノーザンライトスープレックス~~~~~!?」

リングアナ佐井大介が珍しく興奮した声を上げる。

持ち上がるのか!?・・・手拍子をそのままに、会場全体が息をのむ。なかには「がんばれーー!」という声もちらほら交錯する。

そんな中、まるで助走をつけるかのように一拍・・・二拍を置いたパピヨン。三拍目に、

「いった~~~~~~~~!!!!!」

糸織の体が弧を描く。

・・・・・・。

・・・。

決まった。

ばんっというリングの鳴く音とともにブリッジの体勢のままパピヨンが静止すれば、同時に上がった歓声とともに森田がカウントを始める。

1・・・2・・・・・・・・3・・・!!

・・・もっとも、そのカウントの声も歓声に掻き消えていた。


○パピヨンとピノ  12分36秒 ノーザンライトスープレックス  WD糸織×

この試合の意味って今までのパピヨンの試合を知らないとよくわからないのかな・・・。それとも物語の流れを読めばわかるのかな・・・。

とりあえず補足しておくと、彼女はここで初めて「プロレスらしいプロレス」をします。

それが、彼女の決意でもあった・・と、まぁ、そういう感じです。

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