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第25話:対戦!ミラクル☆おねいさん♪

もともとこの企画、プロレスの興行以外をこちらが書いて、プロレスの興行をBMというまとめ役が書く・・・というリレー小説的な企画だったのですが、そのまとめ役の方もプロレスというよりはギャグ調で興行を書いていたために、このちはるさんというキャラもまじめな戦いが皆無でした。

というわけで文中、

「4勝5敗・・・。勝率こそ輝かしいとは言えないが、それよりも、その勝利、その敗北ひとつひとつに・・・なんと言うか・・・言葉に詰まる。」

そういう戦いをする選手だったと思ってください。

ちなみにその「ちはるさん」の二つ名がミラクル☆おねいさん♪です。

「私もプロレス、やろうかなぁ・・・」

ある日の帰り道、琴はポツリと呟いた。

どんな言い訳があったにせよ、すべての条件において後輩であるこの少女に先日、敗北を期したのである。悔しいことも悔しいが、それ以上にそこまで没頭できる環境に身を置いている美衣奈が、少々うらやましくも思えた。

「え・・・?ホントに・・・!?」

美衣奈の表情が期待と意外で膨らむ。

「うん!やろうよ!琴スケ先輩なら絶対いけるよ!」

琴の表情がほころんだ。

「ほんとに?いけそう?」

「絶対大丈夫!」

美衣奈は琴と一緒にできることが嬉しい以前に、本気でそう思った。一度こそ勝利を収めたものの、その後幾度か重ねた組手では、お話にならないほどの差を見せ付けられている。いろいろな経験を積んだ美衣奈が客観的に琴を見ても、プロレス界において、そんなに引けを取るものではないと感じていた。

「そっかぁ」

すっかりはりきって琴を激励し始めた美衣奈に、琴ははずんだ相づちを打ってはいたが、やがて

「まぁ、考えとくね」

彼女の方からその話は打ち切った。

琴はプロレスという世界をそんなに甘くは見ていない。


同じ日、美衣奈は左藤の言葉を持ち帰っていた。

「戦う相手が決まってる時は、できるだけそのひとのデータを集めて、どうやって戦うかを自分の中でイメージできるようになっておいた方がいいです」

つまり、当面の目標である対戦相手、柳沼ちはるのデータを集めてこいと言うのである。

そういえば同期なのに、美衣奈はちはるのことを良く知らない。

本気で勝つつもりなら、左藤の言葉はもっともだと美衣奈も思った。

というか、良く考えてみたらいつも自然とやっている気がする。

「あ、糸姉、ちぃさんの試合のビデオって持ってる?」

「だめ~~」

「貸してよっ!」

いつもの押し問答を済ませてから、ビデオを借りるとさっそく・・・。

「ちょっと・・・自分の部屋で見てよ~!」

「だって、うちの部屋、ビデオないんだもん。ほら、おかしもってきたよ」

「なら許す~」

すっかり、糸織のノリがうつってしまっている美衣奈は、彼女の部屋で再生ボタンを押す。

そして・・・。

「こ・・・これは・・・!!」

なんとものすごいマニアックなホモのビデオ!!

・・・・・・。

・・・。

・・・だったら面白いが、ここではちゃんと今までの試合の記録であった。

美衣奈の驚きは、その、ちはるの試合結果に他ならない。

4勝5敗・・・。勝率こそ輝かしいとは言えないが、それよりも、その勝利、その敗北ひとつひとつに・・・なんと言うか・・・言葉に詰まる。

「これは何かの参考になるの?糸姉」

「しらないよ~」

もちろん自分自身も人のことを言えるような試合ではまったくない事は分かってる。が、この驚きは明らかに別種であった。

「ねぇ、ちはるさんってどういう人?」

「いたずら番長」

「・・・・・・」

美衣奈は再び言葉に詰まった。


柳沼ちはる23歳。

身長185cm、体重74kg、柔道3段・空手2段。

「ピ・・・ピノぉ・・・このデータ見てよ・・・」

「おぉ・・・なんだ。昨日誕生日じゃねーか」

「そんなこといってんじゃないのあたしは!」

「プレゼントやったか?」

「え?ううん・・・」

「じゃあ試合の時に渡してやるか」

「だから~!そういうこといってんじゃないのあたしは!!」

「じゃあなんだよ」

「わかんないの!?」

ちはるのプロフィールの隣に広告の切れ端を用意した美衣奈は自分の名前を書き殴った。

細川美衣奈13歳。

身長147cm、体重32kg、そろばん7級。

・・・・・・。

「ね?」

「7級なら3段より数字多いじゃねえか」

「級は多いほどショボイの!!」

それ以前の問題だと思うが、とにかく、数値的な差は決定的である。

が、

「お前、美幸なんてもっと大きかったんだぜ?」

ピノは落ち着いたものだ。

「この際大きさ関係ねえだろ。「哀栖」だって、お前のやってる関節だってその差を埋められるもの選んで来たんだろ?自信もてって」

「・・・・・・」

美衣奈はピノを見た。

灰色の肌に無表情な瞳。

だがその瞳を見て、暴れていた自分の血が、徐々に落ち着いてくるのが分かる。

昔から彼が静かに物を言ってくれる時は、不思議と心が落ち着くのだ。

そうやってもう何度、自分は彼に助けられて来たんだろう。「もう駄目だ」と思うたびに、彼はいつもいつも、助けてくれた。友達なんていなくても平気だった。自分には、魔法の守り神がついているんだから・・・。

「ま、どうせこっちは負けて崩れるようなプライドなんか持ちあわせちゃいねーんだから」

「一言多いぃ!」

もっとも口は悪いのだが・・・。

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