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第21話:とちゃ、わあじゃあ

やべえ・・・なんかいろんな意味で自信がなくなってきたぞ。この物語(苦笑)


しばらく、この世界をまったり楽しんでくれる人でないと物足りないかもしれないエピソードが続きます。6話のように割愛してもいいんですが、読み返してみると各エピソードが1年(この物語全体)を通すとどこかのエピソードの伏線になっていてこちらからは削れません。


まったり読んでください。

その日、美衣奈は珍しく自室の机に向かって、なにやら文字を書いているようだった。

手紙である。薄いピンクの便箋に、茶色いペンで次々に刻まれていく文字の軽快さが美衣奈の女児塾での今を垣間見せてくれている。


その住所は、青森県の自分の家に宛てられていた。



おとうさんへ


お元気ですか?美衣奈です!

東京に来てそろそろ4ヶ月です。あの時は勝手にいなくなってごめんなさい。でも私もピノも、今はとても頑張っています。

ニタさんが電話したから知ってるとは思うけど、私は今、大日本女児塾というところで、プロレス(!)をやっています。

すごく怖いけど、勝ったこともあるんだよ。

そこの人たちは塾長のニタさんをはじめ、みんなすごくいい人たちで、おもしろいです。

おもしろいっていうか、めちゃくちゃです。

だって、塾長室のドアを壊しちゃったり、ニタさんをバイクで轢いちゃったり、試合中に刀振りまわして反則負けになったりするんだもん。

ほかにも、納豆をしいたクツを愛用している人とか、みしゅらんと間違っちゃうようなスゴイ人とか、強いのにあんまり自分で戦わない人とか、いきなりしゃべり方が怖くなる人とか、逆にしゃべらないから怖い人とか、筋肉モリモリのダンディなジーパンの人とか・・・ヘンな人たちばっかりです。

中でも、糸姉という先輩にはとてもお世話になっています。

すごいギターがうまくてかっこいい人。でも、私と同い年みたいな人で、とてもたのしいです。

まだ、あんまりしゃべったことない人とかも多いけど、みんなと仲良くできるといいな、と思ってます。


あと、私があこがれている琴スケ先輩とか、バンドやってて、えーっと・・・浅海君とか、スゴイ人達もいっぱい友達になりました。2人の話を始めちゃうとずっとずっと長くなっちゃうから、また今度ね。


そういえばさくら、こっちはずっと前に咲いて、もう散っちゃったよ。やっぱ東京の方があったかいんだね。きれいだった。そっちはもうそろそろだろうから、私が見たのと同じ、きれいなさくらを見てね。


あ、そうだ。後一つだけ言わなきゃいけないと思ってたことがあったんだ。

家の壁に張ってあるキリンの身長計。あれ、ずれてるみたい。私、前ここで計ったら147cmしかなかったよ。


へばとっちゃ、わがんばるすけ。・・・はっちゃがりでほんにすまね。(^-^)


美衣奈より



・・・・・。

「ふぅ・・・」

4ヶ月。美衣奈を取り巻く環境は濁流を越え、落ち着きを見せて来たということだろうか・・・。こちらに身を寄せて以来、はじめての故郷への手紙を美衣奈は一気に書ききった。

それはつまり、東京に来て以来初めて、故郷を振り返る余裕ができたということであろう。実の親ではないが、それでも忘れることはできない伯父への手紙。内容は拙くても、美衣奈を少しでも気に掛けてくれていれば、暖かい苦笑いを浮かべてくれるであろう短い手紙・・・。

「終わったよピノ」

左手のペンに片手で器用にキャップをすると、それを机に置きがてら、彼女は親友の名を呼んだ。視線が右手に向く。

「ピノ?」

だが、返事がない。

「ピノ~?」

肩から振ってみたりする。するとようやく、

「起きてるよ」

ちょっと不機嫌そうな声が返って来た。

「どうしたの?」

「どーもしねーよ」

「・・・・・・」

なんか釈然としないが、とりあえず椅子から立ちあがって伸びをして、ベッドの方に座り直す。

そしてそのまま小さな背中をベッドに預けた。すると、

「なーおまえさー。魔法学校探さなくていいのかよ」

同じくベッドに横たわったピノが、ポツリと呟いた。

「うかうかしてると入れない歳になっちゃうぜ」

「そう。そうなんだよねー」

わかってはいる。でも、現在、毎日が非常に忙しくて、そのことに労力が振るえない日々が続いている。

「本末転倒って言うんだよ。お前みたいの・・・」

「調べるよ。調べるって」

なるほど。ピノの不機嫌はここから来ていたのか。そりゃそうだ。元々それが目的で東京に来たのだし、東京にいつづけたいと思ったのだ。

今は、それだけの理由で滞在しているわけでもない気がするが、だからとて魔法学校を諦めたわけでは毛頭ない。

「あさって、ジムの練習終わったら、本屋行こう」

「・・・・・・ああ」

それでも、ピノの声はくぐもったままだった。

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