06. What does your heart yearn for?
帰って、少し眠って…それでまた明日…。
こんな感情を抱えたまま?
奏が何を考えているかとか、奏がもう私の前に姿を現さないとか、痛いほど分かっているのに……?
もう昨日までのようには戻れないよ………。
「………だから、そんなんだから君は……。」
「うっ……う、うっ………。」
堪えていたものが溢れ出す……。
もう瑞羽には声をあげて泣き崩れることしかできなかった。
そのまま崩れ落ちるようにしゃがんで、膝を抱えて、俯いてしまった…。
目の前で本気で泣いている。そんな瑞羽を見ていても、ただ立ち尽くすことしかできない。もう奏にはどうすればよいのかわからなかった…。
瑞羽が泣いている…。彼女の嘆きが辺り一面の静寂に溶け込む……。
どうしようもなくて…、目の前で小さく萎んで、体を丸めている姿に申し訳なさを感じて…、奏は目のやり場に困ってしまって、ふと今まで瑞羽に向けていた視線を僅かに右手へ逸らして、夜空を見上げてみた。
街灯の光が幾らかあろうとも、時代が流れて建物がいくら増えようとも、それでもまだここの空間は「田舎」なのだろう。やけに星が澄んで見えるのだった。
星が綺麗だーーー。
そうやって、泣き顔の瑞羽に声をかけてみようかとも考えた…。
でも、今夜は輝く星空も彼女の代わりに泣き続けているようで、そんな気がしてたまらなかった。
きっとこの空を瑞羽に見せても、この星空は彼女を今以上に切なくさせてしまって、また泣かせてしまうだけだ…。
それでも…………。
彼は何かを決意したかのようにまた、振り向いて、…そして、しゃがんで、彼女と同じ目線に至ってこう言うのだった…。
「ついてきてくれるかな?僕に…。」
瑞羽が泣き顔をゆっくりと上げて、驚きを隠せない様子で奏を見つめる…。
「やっぱりさ、…本当はね、心の奥底ではいつでもそうだったんだ。」
「……"瑞羽についてきて欲しい" って、そう思ってた。俺が君を"呼び寄せた" んだ。君が必要だから…。だから悪いのは俺。罪だって罰だって全部受け止める…。だから………さ、……一緒に行こう!必ず君と生きてみせるから…。」
奏はまた瑞羽に笑ってみせた。
今度はさっきよりも少し自然な笑顔。
放ったのは、告白にしても、お誘いにしても、ぎこちなく、堅苦しい言葉であったけれど…。
「…………奏らしいよ…、まったく…。臆病なくせに変なとこだけ、思いっきりがよくてさ……。私、君にいつも困らされて……。今もまたこうやって困らすんだ……。」
瑞羽も涙を流しながらもちょっぴり微笑んで言う…。
「奏に格好良い台詞は向いてないよ…。もっとさ、簡単にいってよ…。"ついてきて!" って一言で良かったのに…。それだけで私、嬉しいから……。」
瑞羽は決して奏を好きな訳ではなかった。せいぜい"友達" としてこの先もやっていくんだろうなって…。だから、勢いに任せて言ったあの一言も、今抱くこの感情も自分のことなのに、理解することができなかった…。
止まない雨は体温を奪う。けど、心の中、僅かに暖かいもの。…奏にもらった感情ーーー。




