10-a. poison of sweet fruit
「君は僕の中で何を見た…?
…この頭の中を何度覗いたの?」
瑞羽の顔の暗く俯き、再び涙する様子を見て、奏は悟ったようにまた言葉を続ける…。
「僕の意識は、人に見せられるような綺麗なものじゃない…。それこそ君を蝕み、絶望に追いやってしまう…。」
奏の声は微かに震えていた。それこそ口調、吐いた言葉の表面では落ち着きを保っていたが、内心を隠すには脆すぎる言葉だ…。
「………君に見せたくないものがこの頭の中には散在している。醜い欲や危険な空想……。この頭の中だけは何をしても自由な空間だ…って。そう信じて疑わなかった…。
生まれてから今まで好き勝手やったよ。君の首を絞める夢も見た…。何故かは分からないんだ…。でも、その時、自分の顔は笑ってた…。涙を流して狂ったように笑ってさ。」
吐き出せば吐き出すだけ、落ち着きを保てなくなる…。
次第に狂気に走るこの感情を奏には抑制することができなかった。
そんな中、瑞羽は涙を堪え、必死に落ち着こうと努力していた…。
こんな私の気持ちより………。
せめて………今は…今だけは…。
自身の満たされない感情を無視してまでも、奏の心、その感情を守りたいと感じた。
彼が今まで生きてきた中で、必死に模索し、不安定ながらも築き上げ、形成してきた"奏"の"奏らしい"感情ーー。
私のせいで…、こんな力のせいでその繊細な感情を壊して失うわけにはいかない………!
奏が次の言葉を発しようとしているーー。
瑞羽には奏の唇が動くのがスローモーションに見えた…。
彼が次の台詞を吐き終える頃には、きっと彼の心は壊れてしまっている…。彼はまた、正直に私に伝えてくるだろう…。彼の脳内に溢れた醜悪な感情を…。今度はもっと詳細に…。
奏はその彼自身の闇を、私に曝け出してしまおうなんて考えている。そしたら心が救われる、平常心を保てる…なんて考えている…。
でも、それは身を滅ぼすだけだよ…。そんな悲しいことさせない…!
「あのさ…!」
一瞬の場の静寂を切り裂いて、次の一声を先に発したのは瑞羽だった…。
奏は驚き、動揺して彼女を見つめる。
瑞羽は涙が流れるのを塞ぎ込み、揺らぐ心を押さえ込め、深い深呼吸の後に、また言葉を続ける。
「奏の意識にこれまで何度か触れたことがある。あの校庭で出会う以前にも…。時々、物凄い深淵を見つめてた…。この人、このまま鬱になったり、自殺しちゃったりするんじゃないかってくらい暗くて黒い感情だった……。」
それは…人間の汚い感情を全て、君一人が抱え込んでいるかのような…。
「……君は街を一つ丸ごと覆ってしまうような黒くて不定形の大きな塊をもっている。でも、君はそれを自覚していた。誰よりもその闇を認識していた…。
だから君は君自身が嫌いだった…。そうなんだよね…?」
一度破棄した下書きを修正して、作ったものです。まだ奏が暗すぎますね……。
なんというか…この10話はシリアスな展開、薄暗い雰囲気を上手く作りたかったのですが、これでは今まで描いてきた奏の良心的な人間性が完全に消えているんですよね…泣
これでは奏はただの精神異常者というか…自分で書きながら残念感が非常に強いです。駄作ですね…。
ということでこれが正式に第10部になるかは未定です。また破棄するかもしれません。やっぱり筆者自身の心が落ち着かなくて、暗いままだと上手く書けないものですね…。ちなみに第9部は自分で言うのもなんですが自信あったんですよ⁉︎あの出来でも!




