デート最終日です……。
……ん?
なんか顔がくすぐったい……。
「あ、起こしちゃった?」
あれ? 誠?
なんで居るの?
……あ、そっか。昨日誠の家に泊まったんだっけ?
「……おはよう」
「おはよう。シャワー浴びる?」
「え? なんで?」
「だって身体気持ち悪いでしょ?」
……身体?
あ! 昨日……。
チラッと身体を見ると、当然何も身に纏っていない。
「……お先に浴びさせていただきまーす」
シーツを引きずりながらベッドを出ると、誠が手を掴んで進めなくなった。
「ちょっと、離して」
「一緒に入ろう?」
「やだ」
「なんでー?」
「だって変なことするし……」
「あれはしょうがない! 俺も男だ!」
「……」
どうせ何を言っても付いてくるんだろうから、無視してお風呂場へ。
案の定、誠も入ってきた。
「凛の身体綺麗に洗ってあげるね」
「ッ!」
耳元で無駄にエロい声で囁く誠に正直お手上げ状態。それにお風呂だからエコーがかかって余計エロさが増す。。
ボディーソープを手に取って、丁寧に洗ってくれる誠。
……また変なことしてくる。
ママ、パパ、ごめんなさい。兄妹が朝っぱらから変な事しています。もう顔を合わせられません。今日帰ったら合わせるけど。
「ちょ! 誠! ……ん……どこ触って……」
「どこって凛の一番弱いところ」
「ぁ……ん……やだぁ……」
「こんな状態なのにやだって言ったって説得力ないよ?」
クスクス楽しそうに笑う誠を若干恨めしく思う。
いつも私ばっかりでずるい。
「凛本当に可愛い」
「んじゃ……せめて……ぁん……ベッドが……いい……」
「しょうがないなぁ」
誠がシャワーをつけて、身体に付いた泡を流していく。
私は力が入らないから寄りかかっているだけ。
泡を流し終わったのか、脱衣所に行き軽く身体を拭いてくれる誠。
それから俗に言うお姫様だっこをされて、まるで壊れ物を扱うかのようにベッドの上に降ろされた。
優しいキスを落としてくる誠。
そのキスもだんだん激しくなって、鎖骨のほうに下りてきた。
「ん……ふぁ……ぁ……」
散々いろいろな所を触られて、身体が熱く火照っているのが自分でも分かる。
「凛、いい?」
言葉では言えないから頷くと、ゆっくりと誠が入ってきて私達は一つになった。
――「うわ!」
ガッシャン!
思わず耳を塞ぎたくなるような音が、さっきからキッチンで聞こえる。
大丈夫かな?
あの後、またシャワーを浴びて(今度は一人づつ)朝からヤッてしまったことを申し訳なく思ったらしい誠が、朝ごはんを作ってくれることになった。
でもあの音はまずいよね? 絶対に割ったよね?
なんで一人暮らしなのに料理できないんだろう? 普段何食べてるんだ?
仕方なくキッチンを覗くと、割れたお皿の破片を拾い集めている誠の姿があった。
「大丈夫……?」
「あ! 凛、こっち来ちゃダメだよ。危ないから」
「わかった。それ終わったら私作ろうか?」
「え、でも悪いよ」
「いいよ。なんか見てるほうが落ち着かない」
「うーん、わかった。今日何時に帰るの?」
「一応夕飯までには帰りたいから、六時ぐらいの電車乗りたい」
「了解。じゃ、これ食べたら昨日水着買ったところで買い物しようか?」
「うん!」
やっと片付け終わった誠からエプロンを借りて、簡単な明太子パスタを作った。
時計を見ると十二時回っている。
……お昼ご飯だ。
二人で出来立てのパスタを食べ、身支度して買い物へ!
「凛これ似合いそう」
「あ、結構好きかも。試着してきてもいい?」
「うん」
試着するといい感じだったので誠が買ってくれることに。
自分でお金出すって言ったんだけど、朝のお詫びって聞いてくれなかった。
途中で休憩を挟んだり、服見たりしているうちにあっという間に時刻は五時半。
「そろそろ行くか」
「……うん」
車に乗って駅に向かう。
でもその間無言。
やっぱり寂しいんだよね。また会えるけどそれは二週間後とかだもん。
離れたくない。
そんなこと思っても車は駅に到着。
「ねぇ、凛」
「ん?」
「あれ、本気だから。待ってるから。だから今はちょっとだけのお別れ」
あれって、海で言われた一緒に住もうって話だよね?
「うん。そうだね。でもその間に浮気とかしたら約束なしだからね」
「アハハ。するわけないじゃん。こんなに凛のこと好きなのに。凛もするなよ?」
「しないよ。……あ、もう時間だ」
「大丈夫だって。そんな顔するなよ。毎日メールするし、できるときは電話もするから」
今私どんな顔してるんだろう?
きっと情けない顔してるんだろうな。
「……うん。じゃあね!」
「うん! あ、凛!」
「ん?」
振り返ると、不意打ちキスをされた。
「!!」
「約束のキスだから! じゃあね!」
「うん!」
なんかうるっときた気がするけど忘れよう。
ここで泣いたら誠も不安になるだろうし。
車から出て、振り返ると誠が手を振ってくれていた。
だから私も振りかえす。
そろそろ時間が迫ってきているから、駅の改札へと向かう。
改札を通ってからは振り返らないのが私達のルール。
余計離れたくなくなっちゃうからね。
こんな感じで三週間ぶりのデートは終わった。
家に帰ると当然ながらママとパパの姿が。
……なんか、すいませんでした。