ママのポトフ、最高です。
誠と仲直りしたことをママたちに報告した。
すると、意外なことに二人とも喜んでくれて私達拍子抜け。
だってまた反対されると思ってたしね。
「反対はもうしない。今回のことで二人がどれだけ想い合っているのか分かったからな」
「ママも。凛がどんどん痩せていくのを見てて辛かったわ」
ママとパパにも心配掛けてたんだ……。
「ごめんなさい。すぐには無理かもしれないけど、また少しずつ食べれるようにするから」
「うん。じゃあ凛が早く食べたいと思うようにママ料理頑張っちゃおうっかな!」
張り切って言うママに思わず笑みがでる。
みんなにも報告しようとしたけど、残念ながら今日はみんなで集まれないらしく、アオイ、美香、ラナちゃんの女の子グループに近くのクレープ屋さんで待ち合わせして伝え、他のメンバーには電話で伝えた。
みんな『良かったね!』や、『もうー。心配したんだからね』『次誠さんと別れても何もしてやらないからな!』などいろいろ言ってくれて自分がどれだけ大切に思われているか再確認。
私もみんなのことを大切にしなきゃね。
「凛ー」
「ん?」
クレープ屋さんの帰り、誠が呼んで私が見上げて返事する。
なんか幸せだな。
「好きだよ?」
「……」
とびきりの笑顔を向けてきた誠にどうしていいか分からず、とりあえず俯く。
「りーんー?」
覗き込んできた誠は一瞬目を見開いた。
なぜかって?
たぶん私の顔がありえないくらい真っ赤だったからだと思う。
前までは言われ慣れていて、こんなドキドキしなかったけど久しぶりの『好き』は私には破壊力が強すぎる。
「凛、俺やばいかも」
「え?」
あまりに真剣な声だったので、顔を上げると唇にやわらかい感覚が。
「誠!」
「んー?」
ご機嫌そうな彼。
それを見て私も嬉しくなっていく。
でもさ、
「路チューはやめて」
「えー」
「えーじゃない。誰かに見られたらどうするの」
「だって凛が可愛い顔するのがいけないんだもん」
「もんって……」
大人の男が何言ってるの。
それから二人で手を繋ぎ帰宅。
「ん? なんかすごくいい匂い!」
「本当だ! この匂いは……ポトフ?」
「そうかも! 行こう!」
「うん」
キッチンに駆け込むと、匂いの正体はやっぱりポトフだった。
「あら、おかえりなさい。今日は凛の好きなポトフにしたわよ。これならお腹にも優しいし、キャベツいっぱいだから栄養もあるしね」
「ありがとう!」
嬉しくて、手伝おうとお鍋の前に立つと、急にめまいがしてその場にしゃがみこんだ。
「凛! 大丈夫?」
「う、ん。軽い貧血だと思う」
「もう、お手伝いはいいから部屋で少し寝てなさい。誠。連れてってあげて」
「わかった」
誠に支えられて自分の部屋に入ると、すぐさまベッドに寝かされた。
「凛、今体重何キロ?」
「え? うーん……この前測ったら三七キロ位だったかも」
私の答えに驚愕する誠。
それも当たり前か。私の身長が百六十センチくらいだから、かなり異常なほうかも。
「凛、明日おいしいパスタのお店行こう。そこ俺の友達がやってる店だからお腹に優しいもの作ってもらえるし。とにかく食べて」
「そうなんだ。わかった」
明日もこっちに居られるんだ。
そう思ったら安心してか、眠りの世界に落ちていった。
――「――。 ―ん? 凛?」
「ん……?」
誰かに呼ばれて目を開けると、誠の顔が目の前にあった。
「うわぁ!」
「ちょっとその反応傷つくなー」
「あ、ごめん」
「フフッ。嘘嘘。ご飯だよ。下行こう」
「うん」
眠ったからか、だいぶ体が楽になった。
リビングに入ると、パパとママが既に座っていてこの前とは違う暖かい雰囲気になぜか胸が熱くなる。
「おはよう。よく眠れた?」
「うん。おいしそう。いただきまーす」
ポトフを口に運ぶとやわらかい味がして、あぁママの味だな、って思った。
家族揃っての食事。
家族っていいなってこの日改めて思った。
だから私は家族も大切にしなきゃね!




