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兄貴が壊れました。

一部、性に関することが書かれています。

苦手な方は誠をリビングまで迎えに行った辺りで飛ばしていただくと、いいと思います。

お手数おかけして申し訳ありません。


「ま、誠? どうしたの? ……その、手」



笑顔で出迎えてくれた誠。

でもその手は真っ赤。



「え? これ? 怪我しちゃってさー」



そう言って手の平を見せてきた誠に私はまた驚愕した。

だって手首から手の平にかけて大きな切り傷があった。



「きゃ! 何したの!?」


「あはは!」



なんで? 笑っているの……?



「……誠……?」



どうしたの?



「あっはは! おいで……凛」


「……や……!」



なんか、やばいよ? 目が、さ? 目が。

でもフラフラした足取りで近づいてくる誠。

やめてって言っても笑いながら近寄ってくる。




「誠? ね……どうしたの?」


「フフフ……なんで逃げるの? 久しぶりじゃん。おいで?」


「いやだぁ……」



なんか泣けてきた……。

さっきまで普通で話していた彼氏が、手からポタポタ血を流しながら笑って迫ってきたら怖すぎるでしょ!?

どうしよう!

私、どうしたらいいの!?

こ、この人はだ、大丈夫、なの、かな?



「はははははは! 凛、ごめんごめん」


「え……?」



どういうこと?

さっきまでの雰囲気はなくなり、おかしそうに笑いながら謝ってくる誠。



「ごめん。これメイクだから泣かないで」


「え、じゃあそれは……」


「うん。嘘」



もー!

本気で心配して……な、泣いて……。

とにかく本当にビックリしたのに!



「誠のばか……」


「ごめんって。今さ、高校の友達来てて、そいつ特殊メイクの仕事してるんだ。だからちょっとやってもらったんだけど、まさか凛がここまでなるなんて……」



笑いを堪えながら言い訳する誠に若干、いや、かなり腹が立つのは私だけでしょうか……。



「そうなんだ。良かったね。床ちゃんと拭いておいてね。ママ帰ってきたら怒られるよ」


「え、あの……凛さん?」



ちょっとムカついたから無表情の全部棒読みで言ってやった。



「あ、お友達来てるなら冷蔵庫にタルト入ってたよ。切り分けてね。私はちょっと用事思い出したから部屋に行きます。さようなら」


「おい! って、凛ー……」



息継ぎをせず言ったからか、スタスタ階段を上がってからハアハア息切れする私……。カッコ悪。

でも誠も冗談って分かってるよね?

分かってなかったら私ただの嫌な女になっちゃう。

部屋に入ってパソコンを開く。


トントン


部屋のドアがノックされた。



「はーい?」



誠かな?



「入っていい?」



ん? 知らない声。誰だろう?



「どーぞ」



躊躇いがちに入ってきたのは、優しそうな顔をした背の高い男の人だった。



「あー、ごめんね? 俺、誠の友達なんだけど、誠がさ……」


「はい?」


「いじけてるというか……何というか……」


「え! 本当ですか!? 冗談だったのに」


「そうなの? でもいい加減うざいから何とかしてくんない?」


「あ、すいません」



なんか見た目に似合わず辛口なのね。

一回に降りてリビングに入ると、ソファーに丸まって体育座りをしている誠が居た。



「誠」



呼びかけると誠は勢いよく顔を上げてこっちに謝ってきた。



「凛、ごめんね? あれ嘘だから! ちゃんと廊下片しておいたし」


「うん、ありがとう。でもね? 私怒ってないよ?」


「え?」


「ちょっとムカついたからイジワルしてみただけ」


「そうなの?」


「うん。ごめんね? ……んっ……誠! なんでキスするの!? ってか、あのお友達は?」



いきなりのことで戸惑いながら言うと、誠は強く抱きしめて耳元で囁いた。



「本当に良かった。嫌われたかと思った……」


「ごめんね?」


「うん。あ、でもお仕置きね?」


「え! なんで!」



意味が分からない!

しかし誠は耳元で艶かしい声で囁く。



「俺にイジワルしたお仕置きだよ? 今シちゃう? アイツ、俺らのこと知ってるし母さんもしばらく帰ってこないからデキるんだけど?」


「……やっ……誠……っん……」



首筋を指で優しく撫でてくる誠に自然と声が出ちゃう。

誠の友達も居るのに。



「やっぱダメだね。上行こう」


「え……? ……うん」



私を置いて二階へ上がっていく誠に少し寂しくなる。



「うん。悪いな。じゃあまた連絡する」


「おう! 仲良くなー」



……。



「凛? 大丈夫? 上行こう?」


「……うん」



手を引っ張られて二階の誠の部屋に入る。

ベッドの近くまで連れて行かれて、いきなり押し倒される。



「え?」


「言ったでしょ? お仕置きするって。本当はまた今度たっぷりシようと思ったんだけどさ? 凛があまりにも可愛い声出すから……」



そういいながら甘いキスをしてくる誠に、高鳴る気持ちが止められなくなっていた。



「ん……」



それから行為は進んでいき、いつの間にか私達は裸になっていた。



「凛、好きだよ。入るね」


「……うん」


「可愛い」


「そんなこ……ひゃぁ! ……ん、あん……」


「気持ちいい?」



イジワルな顔をして聞いてくる誠に私はただ赤面するばかり。



「凛? 聞こえないよ?」



そう言って動きを始めない誠がもどかしく、なんか物足りなく感じる。



「……ぃい」


「ん? 大きな声で言わないとこのまま動かないけどいいの?」


「いじわる……」


「これはお仕置きだよ。イジワルしなきゃお仕置きにならないでしょ」


「……気持ち、いい……」


「『こんなことを思っているエッチな私をめちゃめちゃにして下さい』」


「……こんな、ことを思っている……エッチな……私を、めちゃめちゃに、して下さい……」


「よく言えました」


「……ん……やっ……あぁん……まこ、と……ハアハア……」


「ん……凛」


「……んやぁん……そんな……したら……壊れ、ぁん……」



二人だけの空間に嬌声とベッドが軋む音、いやらしい水音の音だけが響く。

いつママが帰ってくるのか分からないのに、声を抑えようとしても抑えられない。



「……あ……んぁ……まこと……!」


「凛……!」


「ふぁあ……やぁ……ハアハア……あぁ……! んあぁん! ……ハアハア……」


「う! ……ハアハア」



二人で果てた。

幸福感でいっぱいだ。



「凛」


「ん?」


「愛してるよ」


「……うん」



いきなりなにさ。

今の私はきっとありえないくらい顔を真っ赤にしていると思う。



「可愛い」



私の頭を撫でる誠は少し汗ばんでて、でもいつもより少し男らしくてかっこよかった。




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