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Clavis  作者: 松岸煉歌
8/17

7

瑠衣と別れ、杏夏と薫は車に乗った。

「杏夏さん、やっぱり王宮に入るにはそれなりのツテが必要だよね、どうするの?」

「ツテなら心当たりがあるんだよね。今からそこに行ってもいい?」

「うん、分かった」

杏夏は車をしばらく走らせると、科学の国の大統領の公邸の前で停めた。

「さ、入るよ薫君」

「え」

当たり前のようにすたすた入っていく杏夏を、薫はあわてて追いかけた。


杏夏の話では、研究所の入構証があれば入れるエリアがあるらしい。

認証をクリアして部屋に入ると、モノクルをかけた男性が座っていた。

「やあ、こんにちは。お暇なら本でも一冊どうかな?」

「あなたは……ニアルさん?」

「そうそう!よく覚えててくれたね!ニアルだよ。今日は科学の国の大統領にいくつか本を見繕いに来たんだ」

ニアルは嬉しそうに持っていた本を置いた。杏夏が続ける。

「ニアル、ちょっと頼まれてほしいんだけど」

薫と杏夏はこれまでの事情を説明した。

「どうでしょう、協力してもらえないでしょうか」

「お願いニアル!」

「やだね」

するとそこへ衛兵がやってきた。

「シュバルッパさん、閣下がお呼びです」

「はーい」

ニアルはそのまま本を数冊持って奥の部屋へ入ってしまった。


杏夏は腕を組んだ。

「うーんどうしよう。ニアルくらいしかツテはないんだけどなあ」

「でもさ、杏夏さん」

薫は言った。

「無理とかできないんじゃなくて嫌だっていうだけなんだから、協力してくれるかも」

「そうかなあ……?……そんな気もしなくもない、かな……?」

しばらくするとニアルは戻ってきた。

「さっきの話ですけど、どうして嫌なんですか?」

「嫌に決まってるじゃないか、そんな状況の王宮に入れば絶対タダじゃ済まないし」

「そこをなんとか……中に入るところまでお手伝いいただければ、あとは僕がやるので」

ニアルは顎に手を当て、うーんと唸った。

「そうだな……まあでも、魔法の国の図書館までなら交通費をおごってもいいよ。何なら図書館に泊まっても良い。協力者は図書館で探したらいいんじゃない?」

杏夏は小さくガッツポーズをした。


薫は杏夏と研究所に戻り、荷物をまとめた。

すると政臣がやってきた。

「魔法の国へ行くんだって?」

「そうなんです。長期休暇をとって申し訳ないんですけど……」

「うん、それなんだけど」

政臣は二人から目をそらしながら眉を寄せた。

「杏夏さんの休暇は受理されなかったんだ。休暇取りすぎだって」

「え!?今年に入ってから40日しかとってないのに!?」

「まだ今年が始まって半年も経っていないのに40日は取りすぎだよ。ちょっと擁護のしようがなかった」

「そんなあ~」

杏夏はへたり込んだ。杏夏は弱弱しい声で言った。

「仕方ない、薫君1人で行ってもらうしかないかな」

「え、僕ひとり!?」

「しょうがないじゃん、白林教授がわからずやなんだから!」

白林教授が休暇を承認するんだな、と薫は思った。

政臣は薫の肩に手を置いた。

「何しに行くのか僕は知らないけどさ、魔法の国は研究のために時々行くこともあるし、いい経験になるんじゃないのかな?帰ってきたら色々聞かせてよ」

そうして、薫は1人で魔法の国へ行くことになった。

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