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Clavis  作者: 松岸煉歌
13/17

12

薫は足元を見た。

「本当だ、影が消えてる……」

首にかけてから30分くらいしかもたない、ということは30分以内に鍵を取って帰って来なければならない。薫は走り出した。

「確か、この前来た時はこっちが玉座の間だった気がする、けど……ほぼ同じデザインがずっと続いてて分かりにくいな……」

扉をそっと開ける。中を見ると、玉座が見えた。

「ここだ!」

薫は中に駆け込んだ。玉座に走り寄り、玉座の背もたれの裏を見る。

「どれだ……装飾がゴテゴテしていて見分けがつかない……」

きらびやかな装飾は目に眩しく、目をくらませる。

「もしかして玉座の裏って……」

薫は座面の裏に手を入れた。これだ!

「あった……黒い鍵……!」

鍵をポケットにしまうと、出口に向かって駆け出した。

長い廊下を抜け、階段を降り、扉がたくさんある通路にたどり着いた。

「どれだっけ……確か、奥の方だったような……」

「出口に行きたいの?」

ふいに誰かに話しかけられた。咄嗟に足元を見ると、影がうっすら見えている。声のした方を向くと、そこには二宮藤子が立っていた。

「目くらまし……姿を消すのではなくて、そこにいると認識させない……なるほど、それなら自由に物を取れるわね」

藤子は呟くと、薫を見据えた。

「教えてあげてもいいわ。その代わり、私に鍵を渡してくれたらね」

「やっぱり鍵を狙っているのか?」

「そうだ、と答えたら渡してくれるの?」

「それはできない!」

薫は通路を走り抜けた。

たくさんの扉の前を通り過ぎたが、それらしい扉は見当たらない。だが違和感に気づいた。

「何で追ってこないんだろう……?」

薫は思わず振り向いた。

「……振り向きましたね」

その声とともに、何かが薫の顔を掠めた。

「冷たっ!……これ、氷か……?」

顔を上げると、アサカが鎌を構えていた。

「……鍵を差し出せば、見逃して差し上げます。……どうしますか?」

「渡せるわけない!」

薫は奥へ奥へ走った。後ろから氷の粒が降ってくる。それでももう振り向かない。

「多分これだ!」

薫は扉を開け、転がり込むように中に入ると、扉を閉めた。薄暗い通路を抜け、門の前まで来ると、レイカが待っていた。

「遅かったじゃない!心配したのよ!」

「ごめん、二宮藤子に追われて……」

「そう、やっぱりね。徒歩じゃ追いつかれるでしょう、こんなときは……」

レイカは大きく息を吸い込み、思いっきり叫んだ。

「キャラメルーーーッ!」

「おう!」

その声とともに、黄土色の毛をした馬がひらりと現れた。

「乗るわよ、薫」

「え、馬!?僕馬に乗ったことないんだけど……多分」

「そうなの?じゃあ今回が初体験ね!」

「ええっ!?」

薫はレイカの手を借りながら、何とかキャラメルに乗った。

「おいおいビビんなよ!こっちまで緊張すんじゃねえか!」

「この馬なんで喋るの!?」

レイカはさらりと言ってのけた。

「そういう馬だからよ」

「よし、相棒と乗馬初心者の男!行くぜ!」

キャラメルは颯爽と走り出した。

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