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翌日、レイカについて王宮に入った。大理石の床に二人の足音だけがこだまする。どんなに小さな装飾品でも、薫の想像をはるかに超える価値があるに違いない。
「なんかここって肌がピリピリするのよね。そう思わない?」
「さあ……魔力量の違いなのかな」
衛兵が重そうな扉を開けた。見るからに豪勢な椅子に――おそらく玉座だろう――妙齢の女性が鎮座している。女性が口を開いた。
「クレッセント伍長、案内ご苦労様でした」
「光栄でございます、女王陛下」
レイカはうやうやしく頭を下げた。薫もお辞儀をした。
「さて、お客人。いったいどのような御用なのかしら?」
薫はここに来るまでの事情を説明した。
「ふんふん、なるほど。……あのね、そうかしこまらなくてもいいのよ。ほら、私18歳だし。年近いし」
「18歳……ですか?」
「18歳よ。ね?伍長」
「はい」
どう見ても18歳には見えないが、そういうことにしておいた方がいいのだろう。
「それで、鍵のことだけど。明日は私が出かけるから、そのときに奪いに来るんじゃないかしら」
「明日……ですか?」
「私でも取り出せないように厳重に封印してあるんだもの。でも私がこの王宮からいなくなると魔力のバランスが変わっちゃうのよー、だから今は取り出せないけど、明日は取り出せるようになるんじゃないのかなあ」
女王はふんわり笑った。
「玉座の裏にあるから、欲しかったら明日取りに来てねー」




