時の記憶編50
チッカ、チッカ、チッカ
横断歩道の信号機が、せかすように点滅している。
あれ、いつもなら止まるナナさんが、小走りに渡っていく。
僕も付いて渡って行く。
そんなに・・・動物のリメモリーがまずかったのだろうか・・・。
そのままの勢いでナナさんは、会社に入って行く。
とてつもなく、嫌な予感がする・・・。
「ハーレ君どうしたの?そんなに急いで」
「あっ、ニットさん」
あっ、呼び止められ振り向いた一瞬、ナナさんを見失ってしまった。
「きょろきょろしてどうしたの?」
「いやー・・・」
エレベーターには、乗ってないみたいだ、まだ上の階にいる。
「ナナさんと一緒だったのだけど、見失ってしまって」
「別に良いじゃない、会社に居るんでしょ?」
「それはそうだけど・・・」
「もしかしてー、何かやらかしたとか?」
「べべつに、そういう訳では無いですよ」
「あやしなー」
「何も無いですって」
「ふーん」
「お昼食べに行ってたんですか?」
「そうよ、ハーレ君が誘ってくれないから」
「今日は、ちょっとナナさんに聞きたいことがあったのですみません」
「ふふふ、冗談だんよ、買いたい物もあったしね」
それにしては、手ぶらなんですけど・・・。
「あら、ナナさん居るじゃない、そこに」
「えっ・・・」
ハンカチで、手を拭いているナナさんがそこにいた。
「やーニットちゃん元気にしてた」
「はい、私は元気ですよいつも」
「ははは、そうだな」
「ナ、ナナさん、急いで会社に戻ってどうしたんですか、動物のリメモリーがそんなに・・・」
「いやー、急にお腹が、開けてはまずいドアをノックするものだからな」
「トイレに行きたかったと・・・」
「はい正解、ハーレ君に3000点」
「良かったー、また、やらかしたのかと思いましたよ」
「やっぱり、やらかしたんじゃない」
「いや、セーフでしょう?ナナさん」
「アウトです」
「えっ」
「まーいいや、ちょうどいい、ニットちゃんにも説明しておこうか」
「そこに座れ」
「はい」×2
三人は、ロビーのソファーに座った、ここで話すのだろうか?
あっ、この感覚はナナさんの加速かな・・・。
「良いか二人共、今から俺が話す事に返事もするな、頷いたりもするな、いいな」
「」×2
「ニットちゃんは、何の事か分からないと思うから、どういう事かと言うとだな」
「ハーレが、偶然に犬のリメモリーをメモってしまった」
「とっても稀な事なんだけど、動物のアドレナリンは、微弱で感知できないという事」
「だからメモ留のは、まず不可能という事になっている」
「よって、動物のリメモリーをメモ留事にシステムが対応していないという事だ」
「」
「ハーレ、えっ!とか言うな」
「」
「・・・まーいい」
「何故、リメモリーをメモっているのか、知らないだろうから説明しよう」
「我社の創設者は、未来から来たと聞かされている」
「創設者の話によると、未来では人口がめっちゃ減り人型のAIが増え続けた、プログラムのパターンにも限界が来てしまい、同じ思考パターンが増えてしまったそうだ」
「そこで、ある学者が、提唱した説があったそうだ」
「人の色々な記憶を、別々のAIに学習させればいい、そうすればAIにも個性が生まれるのではないかとな」
「でも反対派もいた、そもそもAIに個性がいるのかってな」
「あーだこーだと話し合いの末に、まず1体やってみようという事になったらしい」
「そこから長い時間をかけて、ようやく今俺らが使っている、リメモリーをメモ留システムの前進である、めもるん1号が完成したそうだ」
「めもるん1号でメモったリメモリーを学習させたところ」
「学習が終わった時、AIが涙したんだってよ」
「これは凄いという事になって、量産しようそうしようとなってしまった」
「でもここで、問題がある事に気が付く」
「そーだよな、人口も少ない、少ないから死なないようにと医療もちょー発展しまくっていたらしい、だから死ぬ人も少ないし長生きするんだって、よってリメモリーも少ないよな」
「また、あーだこーだの話し合いの末、人がまだ沢山いた時代に行って、リメモリーをメモって未来に送れば良いのではと話はまとまったそうな」
「だけど、どうやって過去に来たかは、聞かされていない」
「反対派も折れなかったんだって」
「そんな事をしてしまったら、いつか人かAIか区別できなくなって、分からなくなってしまうのではないかとな」
「まー言っている事も、分からなくもないけどな、好きななった人がAIだったとかな」
「反対派からの提案で、地域を半分づつにして、今までと同じやり方の地域とそうしようの地域に分けようじゃないかってな」
「そんな感じで、推進側の地域だけでまた、話し合いが行われた結果」
「最初に提唱したある学者が、過去へ行くべきだとなった」
「ここまで話せば分るよな、ある学者が創始者だ」
「俺も実際、どこまで本当かなんて分からないけどな」
「ただ、今使っているシステムなんかは、オバーテクノロジー気味だしな」
「これで分かっただろ、もしこの話が本当だったとすると、動物の記憶を未来で学習してしまうAIが存在してしまう、という事になってしまう」
「だからどうなるかなんて、俺らには知る由もないけどな」
「二人共いいか、この話は心の中にしまっておけよ、いいな絶対だぞ」
「二人の時もこの話はするなよ、いいな」
はっ!もどったのか?チラッとニットさんを見たら、笑っている様に見えた。
「今日のラーメン、ハーレの推しだったけど、美味しかったよ、今度ニットちゃんも行く?」
「はい是非」
「仕事でもするかな」
「でもってなんですか!」
「ははは、ニットちゃんに怒られちゃった」
「ふふふ」
・・・切り替え早いっすねニットさん、僕なんか全然無理っす。
「さーハーレ君、仕事仕事」
「そそうですね」
もしも、今の話が本当の事だとすると、雨音さん達は未来からのAIなのだろうか・・・。
「あっ、ナナさん何秒だったんですか?」
「3秒」
「えっ」
「ナナさん、3秒って何?」
「ははは、ナイショ」
「もー、教えてよー」
「ははhhh」
笑いながら、エレベーターに向かって歩いている楽しそうな二人に、僕は着いて行けずに立ち止まったままでいた。
「ハーレ君、エレベーター来るよー」
おいでおいでと、楽しそうに手招きしている。
「ハーレ、行きまーす」
僕にもニットさんみたいな、心のカタパルト下さい。




