時の記憶編43
「お前は、保険調査の仕事をしていた、事故とかのな」
「へー、それなら100発100中じゃないですか」
「そう思うだろ?」
「えっ!違うのですか?」
「さっきも言ったけど、その物の記憶だから、例えば車が何かにぶつかったとする」
「それからそれから」
「ぶつかって車がへこんだ記憶しか読み取れない、相手が何だったかまでは分からない、車に目は無いからな、お前が見れるのは10年位前までだった」
「それなら、人とか動物には、目がありますよね」
「あるけど・・・、当時お前は、人とかの場合は見せても良いと思っている相手しか、見れないと言っていたよ」
「・・・、なんか微妙じゃないですか?」
「さーな、本当は見れたのかもしれないけどな」
「そんな力無意識に使ってみろ、みっちゃんの見たくない過去の記憶も、見てしまったりするだろ」
「あまりいい気はしないですね」
「そうだろ、多分トラウマとかあって、いつの間にか自分にリミッターかけたのかも知れないな」
「そうなんですかね」
「その後、お前はどうなったかというとだな」
「お前が、行方不明になって何年かたったある日、スイス本部から課長に連絡があって」
「お前を保護しているから、本人か確認しに来てくれ」
「なんて言うものだから、課長と俺で直ぐお前を迎えに行ったよ」
「僕は、そんな事覚えて無いですよ」
「そうだろうな、迎えに行ったら実際は、確認だけで会って無いからな」
「スイス本部に居た記憶すら無いです」
「お前に、別の記憶を与えると言っていたからな」
「出来るんですか!」
「多分出来るのだろう、メモれるのだから、逆も出来ると思うのが当然だろ」
「そんなの当然じゃないですよ」
「なら今のお前は、何だと思うよ」
「それは・・・」
「そこは置いといて、お前が行方不明になってから時之家でも随分調べたけど、全然足取りがつかめなかった訳よ」
「僕は、何処で何をしていたのでしょうか?」
「お前が、記憶を取り戻さないと分からないだろうな」
「でもですよ、記憶もない僕をスイス本部は、課長の親族だとつきとめたのですよね」
「今の時代、そんなに難しいくないだろ」
「そうねんですかね」
「そうですね、顔つき見たら東洋系は分かりますしね、ハーレムさんが何か会話でもしたら、日本人とは分かりますし、仕事もしていたのだから、七生さんの言う通りそんなに難しくは無いと思いますよ、私でもひと月あれば探せるでしょうね」
「それに、もっと腑に落ちないのは、スイス本部だ」
「なぜですか?」
「普通なら、日本大使館とか警察に行くだろ」
「それもそうですね」
「仮に、お前が先にスイス本部に来たとしても、大使館や警察に連絡入れるのが普通だよ」
「それもそうですね」
「スイス本部を探ってはいるものの、ガードが固くてな」
「ナナさん」
「なんだ」
「今更なんですが、どうしてこの話を、今まで僕にしなかったんですか」
「・・・そうだな、本当はお前が、自分で記憶を取り戻せれば良いのかもしれないけどな」
「なかなか取り戻せないからですか」
「いや、そうじゃない」
「俺は、お前の能力を誰かが、封じたのではないかと思っている」
「だから、お前が記憶を取り戻した事を、その誰かに知られてしまったら、今度は取り返しのつかない事になりそうで、記憶は戻らなくても良いとさえ思っているよ」
なぜだろう!?ナナさんの話し方に少し違和感を感じた。
「なのにどうして、この話を僕にしたのですか?僕の記憶が、戻るきっかけになるかもしれないですよね」
「・・・そうだな、ただ問題は、メモリーメモリーの存在なんだよ」
「どういう事ですか」
「考えてもみろ、他にも誰かのリメモリーに、お前のメモリーが残っている可能性があるだろ」
「あっ、そうか」
「ハーレムさんは、保険の調査をしていましたよね、だから死亡事故現場を沢山見ていると思うのですよ、沢山のメモれなかったリメモリーに、ハーレムさんメモリーが無意識のうちに残っているとなるとゾッとします」
「でもそれは、僕と親しい関係にある人のリメモリなのでしょう?そんなに沢山あるとは思えないですし、今まで観測は稀だったのではないですか?」
「そうだな、今まではな」
えっ!今までって・・・。
「私が、調べた結果は、そのリメモリーの当事者とハーレムさんには、何の関係も見つけられませんでした、それに何かのきっかけがあって、観測されたのかもしれません」
「えっ!」
「正直俺も若津さんも、どん詰まりの行き詰まりなんだよ」
「そんなー」
「だから、ラプティーを日本に呼んだんだよ」
「えー--」
「ラプティーは、時初家の現当主だ」
「えー-!!!」
「静かにしろ」
「は、はい、すみません、あまりに!してしまって」
「そうだろうな、おれもびっくりしたよ」
「えっ!」
「お前の声にだよ」
「すみません」
「昨年までは、ラプティーの親父が当主だったけど、年のせいなのか力を使えなくなってしまってな、ラプティーに引く継いたんだ」
「でも兄姉居るって言っていたような」
「ラプティーにしか、能力が発現しなかった」
「・・・」
「事情を説明しに、ラプティーの家に行った時も親父さんに大反対されてな、最初はラプティーも乗り気じゃなっかたけど、スイスでお前に会って、ラプティーが行くと自分で決断して、親父を説得したみたいだぞ」
「さすがハーレムだね」
「・・・」
「そうだったのですか」
「七生さん、私はこの辺で失礼します」
「色々ありがとね」
「お疲れ様でした」
「ハーレムさんも、それではまた」
若津さんが、ペコリと帽子を取った、そういえば・・・ずっと帽子かぶっていたんですね。
カランカラン
「ナナさん、ラプティーの力とは・・・」
「時見家は過去を見る、時生家は時を加速させる、時初家は時を初める」
「その初めるが、想像できないです」
「それに、今回の件とどう繋がるのですか」
「それはだな・・・」
「場所というか空間の方があってるかもな、その空間で自分が思う任意の時間を設定して、そこから前後3分間位の映像を見れるんだよ」
「す、すごい能力ですね」
「そう万能でもない、初める場所や時間が不明だと初めれないし、凄い情報量らしく見れる時間は、今のラプティーで一日5分位が限界なんだってよ」
「何か僕と同じような、能力な感じですね」
「全然違うだろ、お前は人や物の記憶で時間の指定は出来ない、ラプティーは時の記憶を見ているんだよ、どちらがいいかという話ではないけどな、使い方の問題だな」
「そう言われれば、全然違いますね」
「先代や先々代の話では、人によって初めれる空間の広さや、初めれる時間が違うらしい、経験なんかでも変わってくるらしいけどな」
「今回の場合は、場所は特定済だから、問題は時間なんだけど、大体の時間はみっちゃんに聞いた、あくまで何時頃みたいな感じだったから、何とも言えないな」
「そうなんですか」
「ラプティーは、あの場所で何日もかけて、少しづつ時間を移動しながら時間を初めているんだよ」
「えっ!それで会社休んでたんですか!」
「そうだよ」
「・・・今朝は出社してましたよ、諦めたんですかね」
「ああそうだな、昨日の夜に連絡があったよ」
「初めたよ、疲れたから寝る、明日ね」
「と言われたよ」
「だったら、ラプティーも一緒に来て、話せば良かったじゃないですか」
「落ち着け、色々段取りがあるんだよ、これからみなに会うから行くぞ」
ん!?皆って誰?
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございました」
ガタガタ
カウンターに座った時から、気になっていた事があったのです。
ナナさんのカップの横に、銀色で数字の8?みたいなその表面に、ぽつぽつと小さな透明な半球が全面にあって、それを上から押した様な感じで、すべてへこんでいました。
あれは一体何だったのだろうか・・・。
カランカラン




