時の記憶編35
「だし巻き濃厚で美味しいね」
「キャビアの軍艦巻き初めて食べましたけど、美味しいですね」
ゴクゴク
あーお酒が進みます。
「マスターお酒おかわり」
「はいよ」
こぽこぽこぽ
「お酒は、わらくね」
ぐびぐび
「うーん美味しい」
「お待ちどう様、次はお椀です」
「ナナさんいつもありがとね」
「ママ今日はごめんね、二人って言ったのに、仕込み増やしちゃって」
「いいわよふふふ」
「・・・・」×2
あーあ、あの時私が「私も行って良いですか」ってナナさんに連絡すれば良かったなぁー。
後悔先に立たずである。
パカ
「う~ん良い匂い」
「今日は、百合根と人参のしんじょうに蓮根の素揚げゆずを添えてです。」
「紅白鮮やかだね」
「赤は京都の金時人参で、白は北海道の真狩百合根、蓮根は徳島産ね」
「ほくほくして美味しいね」
「今日の野菜は、そのままで美味しかったから、つなぎしか入れて無いよ」
「やさしい味で美味しいです」
「ナナさん次でしめね、何にする?」
あれ!?今日は、しめ早いな、いつもだと後二品くらい出るのにな、残念だな。
「フクちゃん何がいい?ご飯か麺か何でもいいよ」
「何でもいいのですか?」
「はいよ、食べたいの言ってね」
「・・・それじゃあ、パスタがいいです」
「パスタね、はいよ」
ガタガタ
「マスターご馳走さま」
「荒川さん、いつもありがとね」
「なっちゃんまたね」
「おやすみなさい」
カランカラン、バタン
何パスタかな?今日は、卵デーだから、たらこパスタかな?
「ナナさん今日は、しめ早いですね」
「そうだな、もう一軒付き合え」
「おー、どんなお店ですか?」
「お前も学習しないな、行ってのお楽しみだ」
「・・・そうでしたね」
「ナナさん、いつものエッチなお店行くの?」
「いつもって言うのやめてよママ、フクちゃんも居るんだから」
・・・残念、ちょっと期待してしまった。
「フクちゃんも大丈夫?エッチなお店じゃないからね」
「・・・行きますよ」
ぐつぐつと、パスタを茹でる良い匂いがする。
カタカタと炒めるオリーブオイルの良い匂いが、鼻をくすぐる。
「はいおまち、あさりのあっさりパスタね」
「ははは、マスター今日は卵押しかと思ったら、あっさりとかわされたよ」
「はははは」×2
「・・・」×3
「今日のあさりは、浜名湖産ね、美味しいよー、味付けは、シンプルに塩とお酒ね」
「う~ん美味しい」×3
お酒とあさりの旨味が絡み合って、ぷりっとした食感がたまらない。
クルクル一とあっさり完食。
「ごちそうさまでした」×3
ガタガタ
「いつもありがとね」
「また来ます」
カランカラン、バタン
「ナナさん、今日も美味しいでしたね」
「正義だったな」
「ナナさん、ごちそうさまでした」
「どういたしまして」
「ナナさん、次の場所は遠いのですか?」
「すぐそこだよ、歩いて5分位かな」
テクテクテクと歩道が狭いので、一列になって無言で歩いていたら、一軒の民家の様な所で、ナナさんが立ち止まった。
表札には、葉会?はあう?と書いてある、なんのお店だろう?
「ナナさん、ここですか?」
ピンポ~ン・・・どっちのだよ!
ガチャ
「いらっしゃいませ、どうぞお入り下さい」
お店の中へ入ると、10人位座れるカウンターとソファーに大きなデーブルがあった、カウンターに二人座っていた。
「ナナさんここは?」
「バーだよ、表札にも書いてあっただろ」
「葉会?ばあって読むんですね」
「ナナさん、何か甘い香りがしますね」
「葉巻の香りだね、ここはシガーバーだよ、葉に会うと書いてるだろ」
「なるほど」
カウンターのゆったりとしたソファーに腰掛けた。
「いらっしゃいませ、何になさいますか?」
「いつもの」
「僕はターキーロックで」
「13年ですがよろしいでしょうか」
「・・・ははい」
ナナさんがクスっと笑った、違い分かるの?って顔だな。
「まーちゃんも人が悪いなー8年でいいじゃん」
「いえ、なっちゃんさんのお連れの方に失礼が無い様にと思いまして」
ナナさんは、ここでもなっちゃんなんだな。
「私は、ジンライムお願いします」
「かしこまりました」
すると店員さんが、ナナさんの前に箱の様な物を置いた。
「どうぞ」
ナナさんが、かっぱと箱を開けると葉巻が入っていた。
「お前もやるか?」
「いえ、僕はいいです」
「ナナさん葉巻なんてふかすのですね」
「たまにな、ここでだけだけどな」
カチャ、ジュボと葉巻に火をつけた。
「ナナさんタバコ吸っても大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」
店員さんが、スッと二人に灰皿を出した。
なぜか、ナナさんが、葉巻をふかす姿を見て懐かしく思えてしまった。
カチッ
「ふー-」
「意外だなー、フクさんも吸うんですね」
「私は、あまり吸わないけど、なんか吸いたくなっちゃった」
カツッカツッと氷を慣れた手付きで割っている。
「おまちどうさまです」
カランと氷の音がした。
「ナナさん良く来るんですか?」
「たまにな」
ナナさんのたまには、あてにならないからなー。
店員さんが、キュッポと丸い筒を開け、白いお皿の上にカランカランと、色とりどりのチョコレートをナナさんに出した。
チープだなーなんて思っていたら。
「これが良いんだよ」
ナナさんに見透かされてしまった。
「お前は、まーちゃんあれ出して」
「はい、かしこまりました」
スススと僕の前に、小さな箱が出て来た。
「なんですかこれ!?」
紺色の箱にココアシガレットと書いてあった。
「ははは、お前だけ吸って無いのもかっこつかないだろ」
「・・・では、吸わせて頂きます」
はっかぽい味とチョコの味が混ざって微妙な味がした。
クククとフクさんが、笑いをこらえていた。
「じゃフクちゃんには、ナッツ盛り合わせね」
あー僕もナッツが良かったよ。
「ハーレムさんも一緒にどうぞ」
流石フクさんです。
「ありがとうございます」
「注文すればいいだろ」
「だって、ナナさんの行く店は、殆どメニュー見た事無いから・・・」
「ははは、それもそうだな」
「そうだ、来週から二人、時憶課に来るらしいぞ」
「えっ!!」×2
「新人さんですか?」
「さ・あ・な」
「ナナさん知ってるんでしょ、教えて下さいよ」
「おたのしみだね」
「もーまたですか」
「楽しみですねー」
おたのしみとお酒の美味しい夜は、カランカランと氷の鐘で、夜も更けて行くのでした。




