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時憶課 ~Time Memory~ 今日も時の記憶が宙を舞う  作者: 七之七


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33/56

時の記憶編34

「ハーレムさん、嬉しそうに美味しいってなんですか?声に出てましたよ」

「あっ!フクさん」

「へへへ声に出てましたか」

「ハーレムさんを呼んでたのに、全然気が付いてくれないから」

「僕をですか?」

「そうよ、ご飯でもどうかなと思って」

「あーそれなら・・・、今からナナさんが居る居酒屋さんに行くんですが、一緒に行きませんか?」

「大丈夫ですか?私まで行って?」

「大丈夫ですよ、ナナさんですよ」

「・・・それじゃあ私も行こうかしら」

「それがいいです」


 ガチャ、カランカラン

「いらっしゃい」

 ナナさんは、いつものカウンターだな、あっ!!ナナさんの横の席が、一つしか空いてない、しまった・・・。

「おーおつかれ」

「ナナさん、お疲れ様です」

「やーフクちゃんも、お疲れ様」

「お疲れ様です・・・」

「おい!ハーレム!お前一人だと思ったから一席しか用意してもらってないだろ、どうするんだ」

 ガタ

「・・・すみません」

「連絡くらいしろよ、俺は帰るからお前ら二人で飲んでいけ、マスター俺に付けておいてね」

「はいよ」

「あっ・・・」

「なんてなる事もあるんだぞ、ちゃんと覚えておけ」

「はい」

 席を立って帰ろうとしたナナさんの、背中で言われるのは非常にこたえるものだった。

「ごめんねマスター」

「いーよいーよ」

「荒川さんもごめんね、一つ寄ってもらっていい」

 ガタガタ

「大丈夫だよなっちゃん」

 ナナさんは、お店の常連さんからは、なっちゃんと呼ばれている。

「ほら、お前のせいで気まずい雰囲気になったじゃないか、フクちゃんもごめんね」

「全然大丈夫です」

「じゃあ私は荒川さんの横にします」

「ふくちゃんだっけ?べっぴんさんだねー」

「そんな事ないですよ~」

 ペシッっとフクさんは、荒川さんの肩を叩いた、流石ですフクさん。

「はい、生三つね」

「おつかれ乾杯」

「お疲れ様です」×2

 カチン

 ゴクゴクゴク

 その時のビールは、とても苦く感じてしまった。

「はいお通し、フクさんだった?」

「はじめまして、フクです、フクちゃんと呼んで下さい」

「そう、フクちゃんね」

「よろしくおねがいします」

「ハーレムさんちょっと待ってね、今作るから」

「いえいえ、無くても大丈夫ですマスター」

 ゴン!

「いて!!」

「そういうもんじゃないだろ」

「・・・すみません」

「ハハハハ、今日はさんざんだね、ハーレムさん」

「はい、すみません」

 ゴクゴクゴクとナナさんが一気にジョッキを空けた。

「ふー、マスター今日は枡にしようかな」

「はいよ、三人分?」

「三人分」

「はいよ」

 ナナさんは、お店にマイ枡がある、毎年マスターが、年明けに常連さんにプレゼントする、だから枡には、いつもありがとね、という言葉の焼き印がされている。

 こぽこぽこぽ

「はいおまち、ひとつ蔵ね」

「おっとっと」

「こぼすなよ」

「はい」×2

「ははは厳しいねー」

「酒の一滴は、心の一滴ですよ」

「はははありがたいね」

「お塩を皿に盛っておくね」

「ハーレム枡の正しい飲み方知ってるか?」

「そうですねーよく見るのは、角に塩を盛って、反対側の角から飲むみたいな感じですか」

「そーだそれも間違いじゃない、だが正式には真っ直ぐの部分から、こうやってゴクゴクと飲む」

「へーそうなんですか」

「ほらやってみろ、フクちゃんはやらなくていいからね」

「ほら」

「はい」

「ゴク・・!あっ!」

「はははは、こぼすなって言っただろ、心がいっぱい漏れてるぞ」

「ナナさんひどいなー、飲み方難しいのに教えてあげないと無理だよ」

「はははは」

「・・・・」×2

「じゃあ角に塩一つまみ盛って、ちろっと舐めながら飲む、酔いが廻るの早いから気をつけろよ」

 ぐびぐび

「あー美味しいです、檜の香りがして」

「そうだろ美味しいだろ、真っ直ぐの部分と角で飲むとちょっとだけ味が変わるんだよ、ハーレムもフクちゃんも家で枡買って違いが分かるかやってみろ」

「はいやってみます」×2

「檜の香りが良い匂いです」

「そうだろ純米酒に良く合うだろ」

「美味しいです」

 なんてやっていたら、僕のお通しも出て来た、二人とは違うものだった、いくらの上に黒いつぶつぶが乗っていたキャビアかな?

「ハーレムいいなーそれ」

「ナナさんごめんね、フクちゃんでさっきのお通し終わっちゃって、後で出したげるよ」

「やった」

「混ぜて食べてみてね」

「頂きます」

 あー美味しい、いくらの濃厚な味わいに、黒のプチっとした触感とちょっと塩辛さが微妙に・・。

「お前今、脳内食リポしてただろ」

「いえしていません」

「マスターこれは?」

「ランプフィッシュのほうね」

 ぐびぐび

「知ってるか?キャビアの事」

「・・・ナナさんその話長くなりますか?まだお通ししか登場していませんが・・・」

「多分長いな」

「・・・」

 かまわずナナさんは話だした。

「キャビアとは、国際食糧農業機関の定義によると、チョウザメから採った卵だけが「キャビア」と呼んでも良くてな、今お前が食べたの物は「キャビア」ではなく「キャビア代替品」として分類されるんだよ、シャンパンと一緒だな、しかも今はチョウザメが、絶滅のおそれのある・・・」

「はいおまち、話の途中でごめんね」

「いーよそっちの方が大事だし」

「今日の一品目は、カサゴのお刺身とカサゴの天ぷらね」

「あー良い匂い」

「わー美味しそう」

 さっきから、カサゴを揚げる良い音と匂いがたまらなくて、ナナさんの話が耳に入ってなかった。

 ぐびぐび

「マスターおかわり」×3

「お刺身美味しいよ」

「そうでしょ、今日のはあぶらのノリがいいよ」

「美味しいです」

「チョウザメの話はもういいかな」

 珍しく早く終わったよ、マスターグッジョブです。

「えーチョウザメ聞きたいです」

 フクちゃん余計な事を言って・・・。

「そうか」

 ナナさんが、ニヤリとした、あー・・・僕も聞きたいですよもちろん。

「チョウザメもくは、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約というのがあって、ワシントン条約って名前くらい聞いた事あるだろ」

「はい」

「おまち、つるぎ菱ね」

 コポコポコポ

 ゴクゴクゴク、パリパリ

「主な産地はロシアで、カスピ海とアムール川採れていたけど、黒いダイヤと言われていて貴重なものだった為、みんなでえいさほいさと滅茶苦茶採ってしまい、ワシントン条約で絶滅危惧種になってしまったんだ、ほぼ天然物は採れなくなってしまってな、今は殆ど養殖になってしまった、日本でも養殖している所もあるくらいだ」

「へー日本でも養殖しているんですね」

「そうだ、輸入品と違って塩たっぷりにする必要が無いから、まろやかで美味しいぞ、ひとそれぞれだけど俺は塩っぽい方が好きだけどな、だから今はいろんな場所で、採れると言った方が正しいのかもしれないな、自分の美味しいが正義だよ、補足すると、ヨーロッパの多くの国では、魚卵の事を キャビアという事もあるから、とびっこもたらこも一応ヨーロッパからしたら全部キャビアだな」

 やっと終わったのか・・・。

 ぐびぐび

 酒か・・・。

「しかし、ロシアでは魚卵の事を「イクラー」と呼ぶんだよ、日本でいうイクラとは、ロシアの言葉なんだよ、北海道近辺で採れているから、取引なんかしている時にロシアの人達が、サケの卵を指して「イクラー」と言っているのを聞いて、イクラになったんじゃないかな多分、ロシアの人達からしたら魚卵はみんなイクラなんだけどな」

 終わったのか・・・。

 ぐびぐび

「はいおまち」

「ナナさんがうるさいから、キャビアの軍艦巻きとうずらのだし巻きね」

「ほーマスター今日は、卵攻めですか」

「たまたまね、卵だけに」

「はははは」×2

「・・・・」×2










 









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