時の記憶編3
昨日は、60メモそこそこだったな、だいたい1日のノルマが100メモだからまだまだだな。
そーいえばナナさん午前中だけで106メモだったみたいだし、気合いれないとな。
ナナさんが、よく運がよかったと言うけれど、運だけなのかな?運もあるだろうけど、仕事内容的にはそうなのかな。
そうそう仕事内容についてメモとは、正式にメモ留といって、人が死の間際に見る、一般的には
走馬灯(我社ではリメモリーと呼ぶ)と呼ばれている現象を会社のコンピュータに記録することを
メモ留といい、このメモ留の数を60メモと普段は言っている。
どうやって死の間際の人を見つけるかというと、死の間際には大量のアドレナリンが分泌
されるらしい、それを我社の最新鋭アドレナリン検知器が、座標を指してくれる、だいたいのアドレナリン分泌量やなんかもわかる。
座標がわかったら我社の衛星にアクセスして状況を確認する。屋外だったらよいのだけれど、屋内の場合は赤外線センサーで確認する。
メモの難しいところは、その人が人生を終えようとしているのか見極める事、リメモリー(走馬灯)を見た後でも持ち直す場合がある事、そして一番やってはいけないことが、持ち直したと時の
リメモリーをメモ留事なのです。
そして、メモってしまった場合は、記憶喪失になったり、途中で気づいてキャンセルできた場合でも記憶障害になったりする。
メモってしまった場合は、緊急ミーティングが行われ、リメモリーを本人への戻し方などが、
話し合われる。
当然だが、戻すのも大変で戻す時もアドレナリンの分泌が必要となる、本人にメモを戻すまでは、
その他の仕事が出来なくなり、24時間体制で本人を見てないといけなくなる。
感のいい人なんかが、誰かに見られているような気がするとか言うけど、案外会社の誰かが見ていたりするのかもしれない。
当たりまえだが、ノルマも達成できないしすごく大変なのだ、ナナさんに聞いた話だけど、
以前に生還人(持ち直した人の事、我社ではサバイバーという)のリメモリーが戻せなくてそのまま
会社を辞めていった人もいるって言ってた。
それにしてもすごいのは、ナナさんは入社してから今まで、一度もサバイバーをリメモリーしたことがないって言ってた。
僕なんか、5年で2回もあるっていうのに、その内1回はナナさんに助けてもらった。
リメモリーを見ているとたまに、感情移入してしまって、涙してしまう時がある、そんな時周りの状況がちゃんと見れていないとき、持ち直したりしてリメモリーしてしまう。
「キーンコーンカーンコーン」 もうお昼か、お昼ご飯にしよう。
「お疲れ様ですナナさん」
「ハーレムか、ご飯行くか?」
「はい、お供します。いつものところですか?」
「今日は違うぞ、新しくオープンした洋食屋さんに行くよ」
「ほーこれはこれは、楽しみですね」
「カランカラン」
「いらっしゃませー」
明るく、元気ある声で迎えてくれた。




