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時憶課 ~Time Memory~ 今日も時の記憶が宙を舞う  作者: 七之七


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時の記憶編29

「おはようございます、ナナさん早いですね」

「おはようございます」

「おっ!ハーレム、みっちゃん、どうしたの奇遇だね」

 そう、今日からスイス出張なのです。

「お二人さん今日は、新婚旅行か何かですか、どちらまで?」

「はい、スイスです」

 みつこさんが、ニコニコと答えた。

 ナナさんは、僕たちが新婚という設定を貫くみたいだ。

「そうか、それまた奇遇だね、俺もスイスに出張だよ」

「まー、ナナさんと一緒なんて、何だか楽しそうです、フフフ」

 みつこさん、ノリノリですね。

「立ち話もなんだ、中に入ろうか」

「はい」×2

 搭乗手続きと出国手続きを済ませて、出発ロビー前に着いた。

「よっこいしょ」

「ナナさん」

「何だ」

「おっさんくさいですよ」

「実際おっさんだしな」

「ナナさん通信機しか持ってなかったみたいですけど、荷物は先に預けたのですか?」

「いいや、これだけだぞ」

「えっ!?」×2

「何だよ、何か変か?」

「着替えとか持って行かないんですか?向こうで買うとか?」

「そんな感じだ」

「それと分かっていると思うけど、時差が約7時間あるから、向こうに着くのが現地時間で大体19時頃だから、飛行機乗ったらすぐ寝るか着くまで寝ないかどっちかにしろよ」

 と言いながら、プシュっと缶ビールをゴクゴクと飲み始めた。

「ふー、昼のビールは美味しいなー、お前たちも飲むか」

「いえ、勤務中ですから」

「ハーレムはお堅いなー、みっちゃんと一緒だからといって、今から固くしなくてもいいのにね、みちゃん」

「・・・・」

「ふふふ、私は、頂こうかしら」

「はい、みっちゃん」

 ナナさんが、上着のポケットから缶ビールを取り出して、みつこさんに渡した、もう一つのポケットの膨らみからして、僕の分もあるみたいだ、しかしいつ買ったんだろう。

「ありがとうございます」

 みつこさんが、プシュと美味しそうな音を鳴らした時、アナウンスが流れた。

「それじゃあ向こうでな、俺はビジネスだから」

 それはそうですよね、僕なんか下端とは違いますよね、ナナさんがエコノミーな訳ないですね。

「はい、向こうで」

 みつこさんが、ニコニコと手を振った。


 同日18時40分

 うーん、やっと着いた、やっぱり眠い。

 飛行機乗ったらすぐ「おやすみなさい」なんて言って、みつこさん直ぐ寝るし、そりゃー新婚設定だし、ふわふわした会話を少しは期待もしてましたよ、みつこさんは夜の仕事だから、みつこさんにしてみればちょっと遅い就寝って感じだろうけど・・・。

「ナナさんお疲れ様でした」

「何だか眠そうだな」

 ほら言った事かという様な、ニヤニヤした目でナナさんが言った。

「ぜんぜん大丈夫ですから」

「そうか~、よし行こうか」

「はい」×2

 タクシーに乗ってホテルに向かった。


 ガチャ、バン

「やっと着いたな」

「はい、それにしても立派なホテルですね」

「ここはスイス本部が、経営している内のホテルの一つだ」

「へー、そんな事もしているんですねー」

「それと、今からすべての会話はドイツ語じゃ無くて英語な、俺とかみちゃんと話す時も、部屋に居る時もだ、どこに盗聴器や隠しカメラがあるか分からないしな、ユーコピー」

「あ、あ、アイコピー」

 ちくしょー!久しぶりで不意をつかれってしまった。

「みっちゃんも大丈夫だよね」

「あいこぴー・・・、この話が決まった時から、課長さんにドイツ語と英語レッスンして頂きましたので多分大丈夫です」

 照れながらのあいこぴー、可愛かったな、それにしても課長が教えてたなんて、会社でみつこさん見かけなかったな。

「ナナさん、何で全て英語なんですか

「いらっしゃいませ、お荷物お持ち致します」

 ナナさんは、荷物も無いのにチップ渡していた。

 一応ここからは、英語で話しているという設定でお願いいたします。

「それは、出来る男って感じがするだろう」

「・・・・」

「チェックインしたら、20時にロビー集合な」

「はい」

 と言ってナナさんは、チェックいんもせずスタスタと、エレベーターに乗って行ってしまった。

 ガチャ、部屋のドアを開けて入ってみると。

 はぁ~、やっぱりですね当然ですよね、少しは期待もしましたよ、ダブルベットというすばらしき光景を、まったくもって残念です・・・。

「わぁ~♪すごいお部屋ですね~♪ほらハーレムさん夜景とっても綺麗ですよ、ダブルじゃ無いのが残念ですねふふふ」

「そうですね」

 ありがとうみつこさん、察してくれて・・・。

 部屋はというと、3部屋になっていて、入り口を入ったらトイレ、浴室とキッチンがあり、その奥がリビング、右の部屋がベットが二つある寝室でここにはトイレがもう一つある、左の部屋がベットが一つある寝室という間取りになっている、朝にはスイスの山々が見えるのだろう。

 リビングのテーブルの上には、ウェルカムドリンクのシャンパンが、冷え冷えで準備万端とスタンバイされており、早くポシュっとやって下さいと言わんばかりに、水滴を浮かべ誘っている。

「わぁ、シャンパンありますよ、飲みましょうよ、もう勤務外ですよね」

 ポッン、返事をする前に良い音が部屋に響いた、仕事がら実に手際がいい。

 コポコポコポ、シャカシャカとかき回しながら、僕にグラスを渡してくれた。

「はい、ハーレムさん」

「おつかれ、乾杯」×2

 チーン

「とっても、美味しいですね」

「そ、そうですね」

 はっきり言って、シャンパンの味なんて、さっぱり分かりませんけどね・・・。

「先にシャワー頂いてもいいですか」

「はいもちろん、どうぞお先に」

 なぜ、ベットが3台あるのだろか?ファミリータイプなのかな?しかし、シャワーの音が聞こえないのが残念ですね、いいホテルなのですね。

 そう言えば、ナナさんがカメラとかあるかもって言っていたから、・・・気を付けないとな。

「あー気持ち良かった」

「・・・・・」

 えー!!ここは鉄板のバスローブじゃないのか!もうすでに普段着とかって・・・。

 今日は・・・多めですよ、まったく。

「ハーレムさん、次どうぞ」

「はい、ハーレム行きます」

 シャワシャワシャワ~

 !!そうだ、みつこさん課長と結構な時間一緒だったんだよな、やっぱりこれは聞いとかないといけないな。

 キュッ

「さっぱりした」

 すでにみつこさんは、シャンパンを飲み干し「戦闘準備OKよ」でした。

「ハーレムさん、後10分しか無いですよ、急いで下さい」

 それは・・・、みつこさんが、30分もシャワシャワ~と、していたからではと思ってみたりしたのですが。

「はい、急いで準備します」

「ふー、それでは行きましょうか」

「はい」

「みつこさん、一つ聞いても良いですか?」

「はい、何でしょうか?」

 僕は、ドアノブを握ったまま、振り向かずに聞いた。

「僕の名前、課長から聞きましたか?」

「・・・はい、時見 矢倉さん♡」

 その時みつこさんが、どんな顔で言ったのかと、ふと思ってしまった。

 ガチャ、バタン


「ナナさん、お疲れ様です」

 ナナさんは、本当にスーツから、普段着に着替えていた、いつ買ったんだろう?ナナさんの普段着初めて見るけどこんな感じなんだ。

「お前は、いつも上司を待たすよな、旅行じゃないんだぞ」

 新婚旅行設定って、ナナさんが決めたのに。

「すみませんでした」

「5分前行動だろ」

「はい、善処します」

「よし、行こうか」

「ちょっと、カギ預けて来ます」

 タッタッタッ

「おまちどうさまです、今日の美味しいは、何でありましょうか!」

「着いてのお楽しみだな」

 あー、いつものナナさんの「おたのしみだな」は、いつ聞いても美味しそうだ。

「いってらっしゃいませ」

 ホテルを出ると、お風呂上がりの火照った頬に、少しひんやりした風が、心地よく感じられた。

 あー・・・、明日からどうなるのだろうか。

「矢倉さん、大丈夫ですよ、私もいますから」

 ポッンと、みつこさんが、優しく背中を押してくれた。

 あ~・・・なんて良い人なんだろう。












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