時の記憶編25
ガチャ、バタン
「課長、結構長い休憩でしたね」
「そうだな、続きを始めようか」
「はい、宜しくお願い致します」
「みつこさんにも、事情を説明しておきましょう、ここでの話は、他言無用でお願いします」
「はい、分かりました」
「実は、ハーレムは、何年か前に、記憶喪失みたいな感じになってしまって、自分の以前の記憶を覚えて無いというか、思い出せない状態なんです」
「え!!そうなんですか」
「はい、ここからは、我社の特殊な事情なんです、詳しくは話せませんが、スイス本部が、どうもハーレムの記憶にフィルターをかけていまいて、本人に関する事柄を、見たり聞いたりした時に、妨害すると言いますか、先ほどみたいに、聞き取れなかったり、モザイクが入ったり等さまざまなのですが、とにかく、意識をそらさせるようにしてあるんです」
でも、僕にい今まで、そんな経験あっただろうか。
「ハーレムさん、大変ですね」
「大変と言う事はなくて、気にならなかったと言うか、今がリアルと思っていましたから・・・」
「・・・・」
「それでなのだが、スイスに一緒に行った時に、もしかしたら、みつこさんも、危険な目に合うかもしれないとの事で、同意無しには、進められない話なのです」
「事情は、分かりました」
「みつこさんは、それでも、スイスに行って頂けますか?」
みつこさんは、即答だった。
「はい、ハーレムさんの為になるのでしたら、私行きます」
あー、みつこさんは、やっぱり良い人だ。
「分かりました、みつこさんが、そこまで言って下さるのでしたら、宜しくお願い致します」
「何かあったら、みつこさんは、僕が、必ず守ってみせます」
「ハーレム、必ずって言うな、どんな事にも、絶対は無いのだからな」
「みつこさんも、肝に銘じておいて下さい」
「はい、分かっています」
「でも、僕が、守ってみせます」
「フフ、ハーレムさん、頼もしいです」
「へへへ」
「それでは、みつこさん、出発は、8月末になりますので、それまでにこの資料の内容を、覚えておいて下さい、抜き打ちテストみたいなのも行いますので」
「はい、分かりました」
「課長、僕は、どうしたら良いのですか?読めないのですけど」
「お前は良いんだよ、スイス本部も、お前の記憶が無いのは、知ってるのだから、逆に思い出していたら、いろいろややこしくなるからな」
「・・・だったら何故、僕に資料見せたのですか、過去を知れると思って、すっごい期待してたんですから」
「一応、確認だよ」
なんだよ、いろいろややこしいて、期待して損したよ。
「俺は、課に戻るけど、みつこさんに、名前呼ばれて、え!とか、スルーしない様に練習しておけ、それと、出発前に、何処か一緒に行っておけよ」
パチパチ、課長ー、ナイスですねー。
「はい、よろこんで!!」
「みつこさんも、申し訳ないですけど、いろいろ付き合ってやって下さい」
「はい、もちろん大丈夫です」
「よろしく」
ガチャ、バタン
課長が、きらりと目を光らせ、シュッタと出て行った。
楽しい時間というものは、あっという間過ぎ去るものである。
そーいえば、以前ナナさんが、何か時間の概念について話してた気がするな、なんて事を考えていた時、ナナさんからの、通信が入った。
プッ
「ハーレム、イチャイチャしてないか?」
「してませんよ、ナナさんでしょ、この話、課長に振ったの」
「よかったろ、イチャイチャ出来て、監視カメラあるの忘れるなよ」
「・・・・・」
「そんな事より、もう昼だぞ、飯行こうか」
「はい、もちろんお供します」
あー、もう昼なんだな、今日は、何を食べに行くんだろうな、そばかな。
「みつこさん、ナナさんが、お昼ご馳走してくれるそうですよ」
「やったー」
「行きましょう」
「はい」
ガチャン、バタン
エレベーターを降りると、すでに、ナナさんが待っていた。
「お待ちどう様でした」
「行こうか」
ウィーン
会社から出たら、歩道が、「ムワッ」と叫んでいた。
「ナナさん、今日は、どんなお店に行くんですか?」
「ハンバーグ」
お!そばじゃなかったよ。
「やったー、お肉大好きです」×2
「そうだろ、そうだろ」
「また、食べ方の前情報あったら教えて下さい」
「ハーレムさん、なんですか?食べ方の前情報って?」
「ナナさんがね、こういう食べ方をしたら美味しいとか、これを食べたら、お店の味が分かるとか、そんな感じの情報なんですよ」
「そんなのあるのだったら、私も教えてほうしいな」
「ねーよ」
「・・・」
「食べて美味しかったら、美味しいだろ」
「そうですよね」
「ほら、行くぞ」
「はい」×2
信号が、青になり、「お昼何にする」と話しながら歩く人達の会話を、お昼のオフィッス街の横断歩道が、楽しそうに聞いているように感じた。




