時の記憶編22
「ナナさん、おはようございます」
「おはようさん」
「ハーレム、そろそろ期末だな、年間ノルマをクリアできそうか?」
「あと少しなのですけど、その少しが、なかなか難しくて」
「よく言うだろ、あと少し、そこから先が、だいぶ先」
「言いますか?あと1週間なので、気合入れます」
「冷静にな、それに、年間ノルマをクリアしないと、スイス行けないしな」
「えー!!本当にですか?そんな大事な話、聞いて無いですよ!!」
「言ってなかったか~」
「鼻ほじりながら、いうことですか!!」
「ハイハイ、そこ静かにして下さい、ミーティング始めますよ」
タッタッタッ
ガチャ、バタン
「ハァハァハァ、雨音さん直ぐ始めます」
「認証完了しました、そんなに慌てて、どうしたんですか?」
「ナナさん、ひどいんだよ、年間ノルマ達成しないと、スイス出張行けない事、今日のミーティングまで、黙ってたんだよ」
「あと少しじゃないですか、落ち着いて望めば、1週間あるので、十分達成できると思います」
「ありがとう、雨音さん、よし、さっそく始めよう」
「了解しました」
あれから、あっという間に1週間が過ぎ、期末当日の朝。
「よっ!ハーレム君、おはよう」
「あー、ナナさんですか、おはようございます」
「なんだなんだ、元気ないなー」
「2徹ですから」
「おー、それは、大変だったなー、クリアできたか?」
「はい、おかげさまで、なんとかなりました、これで、スイス出張お供できます」
「ほー、それは良かった良かった」
ナナさんが、肩をポンポンと、優しく叩いてくれた。
「ありがとうございます、何か、他人事みたいな言い方ですね」
「そうなんだよ、俺が、仕事の都合で、行けなくなったのよ」
「えー!!僕が、一人で行くんですか!?」
「嘘だよ嘘、そんな訳ないだろう」
「もちろん、そーですよね、びっくりなんてしてないですよ」
ナナさんは、いつも、つまらない噓をつく、まったく面白くありませんけど。
「ハイ!いつものそこ二人、ミーティング始めますよ」
はー眠い、期末のミーティングは、毎年の事だけど長いよ、2徹にはつらいです。
「ハーレム帰るのか?」
「ナナさん、何ですか?まぶたが、くっつきそうなので、帰ろうかと・・・」
「そうかー、眠いところ悪いけど、ちょっと付き合え」
「もちろん良いですけど、ナナさんに付き合えって言われて、帰るなんで言えませんよ」
「もしかしてー、達成祝いしてくれたりとか?」
「そーだなー、それも良いけど・・・、スイス行った時にでもしようか」
「やったー」
それにしても、珍しいな、ナナさんが、朝から僕を誘って、出かけるなんて、やっぱりサプライズなのではと、ちょっと期待していた。
ナナさんは、そのまま会社を出て、タクシーを止めた。
ナナさんが、運転手さんに、行き先を言っていたのだけれど、良く聞き取れなかった。
「ハーレム、起きろ、着いたぞ、早く降りろ」
「う~ん」
ついつい眠ってしまっていたらしい。
バタン
「ナナさん?ここは、何処なんですか?」
郊外の住宅街ぽい、一軒家の前に立っていた。
ナナさんは、僕の問いかけにも答えず、チラッと僕を見た後で、チャイムを押した。
ピンポ~ン、ピンポ~ン
「はい、どちら様ですか?」
「はい、×××と申します、××××さんは、ご在宅でしょうか?」
「・・・・・」
少しの沈黙の後。
「××××は、××××・・・」
また、聞き取れなかった、2徹のせいだろうか?
「そーですか、朝早くから申し訳ありませんでした、また、お伺います」
プツ
インターホン越しの、女性の声は、なぜか、悲しそうに聞こえた。
「ナナさん、どうしたんですか?」
「・・・少し歩こう」
「はい」
ナナさんが、珍しく、困っている様な表情をしていたのが、ちょっとびっくりした。
10分位い歩いただろうか、まだ、お昼前だというのに、ワイシャツの首元が、汗でしめっていくのを感じた。
ナナさんは、その間、一言もしゃべらかった。




