時の記憶編20
「ナナさん、おはようございます」
「おはよう」
「朝の通勤も、暑くなってきましたね」
「そーだな」
「何か、暑さを吹き飛ばす、美味しいもの食べたいですねー、ナナさん」
「そーだな」
あれ、ナナさーん、今日くいつき悪いな、食押しは、失敗だったか。
「そーだハーレム、ミーティング終わったら、話があるから、ちょっと時間良いか?」
「はい、大丈夫です」
なんか、ぴりっとしない言い方だ、ちょっと不安。
「はい、みなさんミーティング始めますよ」
ガコン
「おまえ、微糖だったよな」
「はい、頂きます」
ガコン
ナナさーんは、いつも、ちょ~甘い、コーヒーを飲む。
「ナナさん、何ですか?話って」
「前に、焼き鳥食べた後に行った、スナック覚えてるか?」
「はい、覚えてますよ、お店の名前は、ちょっとね、だったと記憶してます」
「そうだ、それで、昨日ちょっと、ちょっとねに行ったらさ」
「えー!誰と行ったんですかぁー、僕も、誘って下さいよー」
「しょうがないだろ、仕事の付き合いで行ったんだから」
「そーなんですか、もしかして、焼き鳥コースですか」
「違うぞ、昨日は、すき焼きコースだぞ」
「まじっすか、強熱じゃないですか!すき焼き食べたかったなー」
「また、今度な」
「しょうがないです、今度、次回予告させて頂きます」
「分かったよ」
「それより、なんですか?話って」
「そうだ、昨日ちょっと、ちょっとね行ったらさ」
「・・・・」
「おまえなー、ここは、えー、誰とのくだり、もう一回だろ」
「もういいですよ、面倒くさいなー、早く話して下さいよ」
「そうだな、昨日ちょっとねに行った時に、おまえと行った日の、帰るころに、お前と話しをしていた、女の子いただろ、覚えてるか?」
「ん-、みつこさんだったような」
「そうそう、その、みっちゃんが、お前の事を、えらく気に入っているみたいで、今度一緒に、ご飯食べに行きたいって言うのよ、お前に、連絡先渡してほしいって言うから、預かって来た訳よ」
そう言いながら、ナナさんは、胸のポケットから、一枚の名刺を、中指と人差し指で、挟んで取り
出して、シャッキーンって感じで、渡してくれた。
もちろん、みつこさんの名刺だった、裏には、連絡先が、書いてあった。
「でもナナさん、みつこさんも、お店に居る時に、渡してくれれば良かったのに、何でですかね?」
「それは、知らんよ、俺に言われても、困るよ」
「そーですよね、後で連絡してみます」
「そーか、良かった」
「でも、必ずしろよ、俺が、渡すの忘れたみたな、って思われるの嫌だからな」
「はい、必ずします」
「GOT IT」
すでに、ナナさんの、ユーコピーブームは、遠い過去のものとなっていた。
「はい、GOT IT」
ナナさんは、うんうんと、うなずいた後、エレベーターに乗って下りて行った。
もう帰ったのかな?この為だけに、会社に来たのだろうか?
ガチャ、バタン
「おはようございます、ハーレムさん、認証OK、システム起動します」
「おはよう、雨音さん」
「あら、珍しいですね、ハーレムさんが、朝から缶コーヒー飲んでるの」
「そうそう、それがね、ミーティングの後に、ナナさんが、僕に話しがあるって言われて、休憩室で話す時に、缶コーヒーを頂戴した訳なんですよ」
「へー、でしたらお茶は、沸かさなくて良いですか?始めますか?」
「始めて下さい」
「了解しました、まず、YNのKT地区からです」
「今日も、ノルマの階段登るよー、GOT IT」
「GOT IT」
あれから数日後の事。
今僕は、繁華街の外れにある事務所ビルの、ちょっと薄暗い、地下へと下る階段の、一段目で足が、止まっていた。
どうして、こんな事になったのかというと、先日、ナナさんに渡された、みつこさんの連絡先に、電話をかけたら・・・。
ホワンホワンホワン、以下回想シーンです、byハーレム。
「もしもし、みつこです、どちら様ですか」
電話の向こうから、みつこさんの、可愛らしい声がした。
「もしもし、ハーレムです」
「わー、ハーレムさんですか、連絡待っていました♡」
「連絡してくれて、ありがとうございます♡」
「いえいえ、ナナさんに、必ず連絡しろって、言われたので」
「えー、ナナさんに、言われなかったら、連絡してくれなっかたんですか」
プンプンと、聞こえたような気がした。
「いえいえ、そういう訳ではないです」
「じょうだんですよ、じょ・う・だ・ん♡」
「からかうの、やめて下さいよー」
「でも、この番号って、お店のですか?」
「いいえ、私、個人のですけど」
「個人の番号に、知らない番号から、かかってきたのに、いつも電話にでるのですか?女性ですし、怖くないですか」
「フフフフ♡」
電話の向こうで、みつこさんが、楽しそうに笑った、様な気がした。
「すみません、つい笑っちゃって」
「実は、ナナさんに、ハーレムさんの、番号教えてもらっていて、すでに登録してありますフフ♡」
「えー、ナナさん、僕の番号を、みつこさんに、教えてたんですか」
「ごめんなさい、ナナさんが、知らない番号だと、電話にでにくいからって、それに、電話かけるより、かかってくるの待っている方が、ドキドキするだろう?って言って、教えてくれました」
「もー、ナナさん、勘弁して下さいよー」
「本当に、ごめんなさい、でも、久ぶりにドキドキ頂きました♡」
「まー、それなら、良いですけど」
「それより、ナナさんに、みつこさんが、ご飯一緒に食べに行きたいって、言っていると言われたのですが、行きたいお店とかあるんですか?」
「私が、決めて良いのですか?」
「もちろん良いですとも、お手柔らかにお願いします」
「それじゃーあ、ちょっと考えても良いですか?後で連絡しますね♡」
「どうぞどうぞ、楽しみにまってます」
プー、プー、プー
と、いう事がありまして、今、ここに、ブルりながら、下りようか、帰ろうか、迷って立っているという訳なのです。