時の記憶編18
今回は、ナナさんの仕事風景を、覗いてみようかと思います。
「おはようございます、ナナさん」
「おはよう、ハーレム、今日も健康か!!」
「はい!もちろん健康です」
「健康第一だからな!ユーコピー!」
「アイコピー」
最近ナナさんは、このやりとりにハマっている、何の影響か知らないが、ちょっと面倒くさい。
「ナナさん今日は、良い所、見せてくださいね」
「何だよ!良い所って!」
「まーまー、宜しくお願いします」
「おまえなー、見せろって、文字でか」
「・・・・・」
どうでもいいやり取りが、ありましたが、さあ始めましょう。
ガチャ、バタン
「おはようございます、ナナさん、認証完了、オールOK、システム起動します」
「おはよう、今日もよろしくね!みっちゃん、ユーコピー」
「アイコピー」
ナナさんの相棒AIは、みっちゃんと言って、以前は、違う名前だったのだが、あの件で、オールリセットされてしまったので、違う名前にしたと言う事だった。
なぜ?みっやんにしたのかと聞いたけど、教えてもらえませんでした。
「よーし!みっやん、ガンガン、メモって行くよー、ユーコピー!」
「あ、アイコピー、TK地区アドレナリン検知、高めの22ページ展開します」
パッ、パッパッパッ・・・・・・。
「よし!それ!それ!それ!それーっ!ユーコピー!」
「あっ!ナナさん!早い早い早いー---!」
ぉぉおおお、ナナさんこんなに早いのか!!さすが1日300メモ超え。
・・・・って!なんだコレ!ずっとこんな調子で、メモっているのか、しかしナナさん、いろんな意味で変すぎますよ。
そんなこんなで、11時50分には、108メモを達成!!今日のノルマを、軽くクリアしてしまった。
「ふー、おつかれ、みっちゃん」
「ハア、ハア、ハア、お疲れ様でした」
「今日は、これで終わるね、あと、メモ82連絡入れておいて、よろしく、ユーコピー!」
「ハアコピー」
ガチャ、バタン
ナナさんが、帰るみたいです、お昼のお誘いはあるのか!!
と、少しは期待してみましたが、何のお誘いも無く、そのままロビーをスルー、会社を出たので、尾行してみましょう。
真っ直ぐ駅に向かい、電車に乗って、何駅か過ぎた駅で、電車をおりた。
そのまま改札を、出るのかと思ったら、さすが、ナナさん、きっちりお昼は、駅の立ち食いそば屋さんでした。
メニューはというと、コロッケそばにミニカレーのセットです。
そばが、出されるや否や、素早くおつゆを、2回すすり、コロッケを、ちっさくひとくちパクリ。
そばが、半分になった所で、コロッケを潰し始めた。
ポッ、ポッ、ポッ、ポッ、ポーン
「1時になりましたので、ここから実況中継が、繋がります」
「実況席のタチロウアナ、解説に尾行中のハーレムさん、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」×2
「おっとーいきなりー!なんとー!コロッケを箸で潰し始めたー!目突き炸裂かー!、さらに混ぜ始めたー!混ざった!混ざったー!ここで、混ざったおつゆをー、ひとくちすすったー、混ざり具合を確認したのでしょうか?尾行中のハーレムさん、どう見ますか、解説よろしくお願いします」
「よろしくお願いします、そーですね、ナナさんの、あの、ちょっとだけ笑った感じは、ベストな混ざり具合だったのでは、ないでしょうか」
「さすがハーレムさん、ナナさんの、細かい表情の癖まで、観察していますねー、ナナさんを、勝手に師と仰いでるだけの事はありす」
「おっとーズズズとすごい勢いだー!ここでー、そばを完食したー!さらに、コロッケ汁をひとくちすすったー!」
「しかし、まだミニカレーには、ひとくちも手を付けていないぞー!」
「ハーレムさん、今後の展開は、どのように予想されますか?」
「まったく予想できない展開です、でも、おかしいですね、せっかくコロッケを混ぜたお汁が、少し余っていて、もったいない気がしますが・・・」
「やっとここで、ナナの右手が、箸から離れたー!スプーンが、タッチを要求しているー」
「おっとー!素早くタッチしたー!」
「ここでそのまま、ミニカレーをフォールに行くのかー--!!!」
「いやっ!行かないー!左手でミニカレーを回し始めたぞー!」
「なんと!カレーの掛って無い、白米側を丼ぶりへ近づけたー!」
「いったいー何をするんだー!」
「まさかーー-!!丼ぶりのトップロープから、ミニカレーの急所にー、コロッケ汁バスターを決めに行ったー!また行ったー!」
「さらにー混ぜたー!」
「すかさず、左手で丼ぶりを持ったー、コロッケ汁を一気に飲み干したー」
「右手のスプーンは、放してないぞー!」
「まだ、ミニカレーは、カウンターの上に、横たわっているー」
「さぁー、ラストスパートだー、おー、いつの間にか、左手でミニカレーをフォールしている、一気にスプーンで口にかきこむー--!」
「ワーン・ツー・スリーー--!」
カンカンカンカーーン
「勝者ー--ナナーーー」
「なんとー、一回もコロッケそばミニカレーセットペアにタッチ許す事なく、勝ち切ったーー」
「見事だったのは、ミニカレーにコロッケ汁を混ぜるという必殺技で、立ち食いスタジアムのカウンターの上に、コロッケそばミニカレーセットペアをねじ伏せたー」
「ハーレムさん、あれは、なんと言う技なんでしょか?」
「さー分かりません、後でナナさんに聞いてみます」
「いかがでしたか、ハーレムさん、興奮冷めやみませんが」
「最後の方は、ちょっとだけ笑いながら、いっきにフォールしたのは、見事としか言いようが、ありませんでしたね」
「では、とある駅の、白熱の立ち食いスタジアムからの中継を、終わりにしたいと思います」
「いづれまた、お会いしましょう、解説のハーレムさん、ありがとうございました」
「ありがとうございました、今度実食してみたいと思います」
「それでは、失礼します」
ナナさんが、清々しい勢いで、暖簾を手で、パッと開けて、お店を後にした。
駅から、10分くらい歩いた所で、ナナさんの足が止まった。
あれ!ここは・・・・・。