時の記憶編12
「・・・・・・」
「・・・・・・」
課長からの同時通信だった。
話の内容としてはこうだ。
2日前、僕と一緒に居酒屋さんへ行った後、僕と別れた後にお店のマスターと合流して、行きつけのスナックに行ったみたいだ。
その時に酔っぱらって、通信機を置き忘れたという事だった。
タイミング悪すぎですよ、ナナさん・・・。
でもおかしい、通信機が、体から2m以上離れると、バイブ・無音設定無視の警告音が、大音量で鳴るので、絶対忘れるはずが無いと思う。
だが、充電するのを忘れていて、電力切れだったらしい。
で、ナナさんさんは、その通信機で家の鍵も、お金はもちろん、ポイントも何もかも入れてあるので、課長がマンションに行くまで、通信もできずに部屋に居たという事だった。
課長が、部屋に行った時、一人でおかしを食べながらテレビを見ていたみたいだ、ナナさんらしいといった所だ。
おかしいぞ、スナックからは、どうやって帰ったのか?部屋の鍵はどうやって開けたのだろうか?
「課長質問良いですか?」
「何だ?」
「ナナさんが、部屋に一人って、奥さんは居なかったのですか?」
「ナナは、単身赴任だ、ハーレム何で奥さんの事知ってるんだ?」
「No2さんに聞きました」
「そうか、切るぞ」
プツッ
ナナさんが、そこまで酔うなんてあるのだろうか?
課長も不思議に思って、同じ事を聞いたらしい。
そしたらナナさんが、ちょっと目を潤っとさせて。
「たまたま、別の件を調べていたら、奥さんの事を知ってしまい、何も出来ない自分が、情けなくて飲み過ぎてしまった」と言っていたみたいだ。
「No2さん質問良いですか?」
「答えられる範囲で良いならどうぞ」
「それなら、昨日ナナさんは、通信機を持っていなかった事になりますよね?会社にも来てないみたいだし、当然入れませんけど、奥さんに誰が知らせたのでしょうか?」
「それは、リモート出来るんだよ」
「え!!僕出来ないですよ」
「当然だ、リモートは、No20以内でないと出来無い、その資格が与えられ無い」
「これも、No20以内しか知らない事なので、他言はしない様に、いいね!」
「分かりました」
「ででもですよ、電力切れていたんですよね?それも無理じゃ無いですか」
「それは、これから調べる事だが、わざとギリギリで電力切れになる様に、通信したのかもしれないし、わざと酔っぱらって、通信機の発見が遅くなる様に、スナックに置き忘れたのかもしれない、あくまで憶測だから、これ以上は、本人んに直接聞くしかない」
ナナさんなら、それぐらいしそうだけど・・・。
「さっきも言った様に、全容が明らかになるまで、これで話は終わりだ、約束は守る様に」
「はい、分かりました、ありがとうございました」
ガチャ、バタン。
あーあ、これからナナさんは、No2さんと支部長・課長に尋問されるんだろうな。
しかし、課長とNo2さんって、どっちが役職上なんだろうか?本部のNo2だし。
そう言えば、以前ナナさんが、課長になる為には、No10以内を20期以上経験して、他の支部長10人以上の推薦がいるって言っていた、さらに支部長になるには、課長を5年以上通期で経験して、本部での試験と面接をパスしないといけないと言っていたな。
後日分かった事だが、ナナさんの奥さんに、無死の知らせをしたのは、ナナさんのAIが、単独で行ったと判明した。
そもそも、AIが自分で判断して、そんな事できるのだろうか?プログラムで制限されているだろうし・・・。
さらに後日、結局ナナさんのAIだったという結論に至った。
現在、ナナさんは謹慎中で、AIは本部から来た技術班が、調べているところだ。
それから、1週間たったが、ナナさんのAIには、何の問題も見つからなかった。
ナナさんっていったい・・・。