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プロローグ
覗いていただきありがとうございます
短編「初恋の結末」の連載です。
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読者様の想像力頼みの短編でしたが、省いた部分やエピソードを加筆してます。
広い心で楽しんでいただけると嬉しいです。
大きな歯車は規則正しく動いている。
カチ。
大きな歯車と連動する小さな歯車が鈍い音を鳴らした。
カチ、カチ。
だんだん鈍い音が増えていく。
大きな歯車を操る奏者に選ばれし存在は鈍い音に気づかない。
カチ、カチ、ガコン―――。
とうとう小さな歯車が狂い、細いネジがコロンと落ちた。
細いネジは針のように小さな棘に形を変えた。
小さな棘の落ちた先は誰も知らない。
飛び散った棘の細やかな違和感に襲われても最初は誰も気にしない。
違和感が大きくなるきっかけは強者のたった一言。
感情のまま音にした言葉が多くの者の歯車を変えた。
カチ、カチ、ガコン、ガタッ―――――。
とうとう大きな歯車も狂い始めた。
「君は国に不幸をもたらす。命を捧げてくれないか」
強者のたった一言。
その一言で多くのものの人生が変わった。