王子は優しくない3
「お姉ちゃんどうしたの?しんどいの?」
私の顔を見て、リカちゃんが心配そうに駆け寄ってきた。
「ん?違うよ。ちょっと人違いされてね。」
間違いじゃないのが怖いのよね。
「みんな、ニナがムカつく男に連れていかれそうになった。外でニナの話はするなよ。」
リト君が皆に言ってくれた。
「皆、外では私の事を『オリビア』か『先生』って呼んでくれるかな。」
「おう!オリビアって呼ぶぜ!」
「ふふ、ありがとう。そうだ!皆にノートを買ってきたの。」
「私達に!?」
「いいの?」
「ええ、あなた達に買ってきた物だもの。」
「ありがとー!」「やったーっ!」「名前、名前書くぞ!」
ノート1冊でこんなに大喜びしてくれるなんて、想像もしてなかったわ。
「はい、貴女達にも。」
未だに勉強をしない子達にも渡したけど、受け取る気は無いみたい。そこは本人の自由だし、強制するつもりはないけどね。
ただ、自分だけ貰えなかったのと、自分が貰わなかった。この2つは大きく違うもの、差をつけては駄目よね。
私が悩んだからってどうする事も出来ないけれど…。やっぱり学校に行く方がいい。
学歴だけで、この子達の将来は勿体ない事になるかもしれないもの。勉強すれば推薦で私立の学校にいけそうな子だっているし。
親がいない…それはこの子達が何かをしたわけじゃない。
子は親を選べないし、身分だって選べない。なのに、こんなにも違っていいものかしら…
もう少ししたら伯爵の所へ連れていかれる。マール君の事も気になって仕方ないし、もうそれは構わない。
だけどその時は、この子達とお別れする事になるのは寂しいわ。…って、何言ってるのかしら。私が会いに来ればいいのよ!
エドワード。
私を捕まえた気でいるんでしょうけど、私の方が一枚上手よ。今日のは最悪な偶然だもの。探して捕まえられた訳じゃないわ。
ニナをニーナだと勝手に思っているだけで100%言い切るくらいの証拠はないよね。どうして弱気になっていたのかしら。『何を証拠に?』って、こちらから攻撃する心を忘れていたわ。
向こうのペースに完全にはまってた。最初は私が圧してたわ。そこまで戻せればいいのよ。
例え私の姿絵を見たとして、お父様は『娘だ』と言っても、似ている誰かって言えば、サナス伯爵に直接会わせるのは怖いよね。
クール様という抑止力もあるもの。
まずは脇腹からついていくのがいいかしら。苦労人のクリフ様。




