優しくはない王子3
「みんな。今日からニナが勉強を教えてくれる事になったよ。」
今日は院長がいて、ミラノさんはお休み。
「え~、別にそんなん出来なくても生きていけるし~」
「めんどくさぁーい。」
やはり半分以上はやる気が無さそうね。
けど、5人はペンとノートを持ってきてくれてるし、頑張ろう!!
リト君とジョセフィーヌちゃんは来てくれてる。やっぱり勉強したかったんだ。
「ねぇニナさん、これどうしたらいいの?」
14才の子は度々質問してくる。年が上がる毎に難しくなるし、躓くよね。
1年も勉強できてないんだもの。
でも、こんな風に真剣に頑張ってくれると嬉しい。
「そんな事したって意味ねぇって。」
「そうそう、俺らどうせボナースだしな。」
……頑張ってる子の集中力を削がないで欲しいのだけど。
明日から屋根裏で勉強しよう。
今日は2時間で終了。
勉強を初めて1週間。
「ニナ見て!」
「うん、上手に描けたね。」
たまには息抜きも必要…と、美術や工作。
展開図は、勉強にもなるしね。
6才のリカちゃんは、褒められるのがとても嬉しいみたい。
というか5人ともね。自分が出来る事を見つけて褒められる。この子達はたったそれだけでも喜んでくれる。
「オマエら、勉強なんてしてどうすんだよ。どうせボナースって言われんのに。」
「君達は、そんなに自分の事を卑下してどうするの。」
「何だよ、『ひげ』って。」
『難しい言葉を使われて解らなくなる』
…この子達は、このまま育ってしまえば、本当に辛い思いをするわ。
勉強なんて出来なくても…そんなのありえないのよ。
将来の夢に向かって頑張る事も、給金のよい仕事をするにしても、ある程度の知識がないと未来を選択出来ない。
やる気のない子に勉強を教える…やる気ではなく、自分が不当な扱いをされている事を、何とか打破しようとしてくれないと…そこが院にいる子の1番の問題だわ。
それに、これだけは自分で気がつかないと駄目なのよね。
「ねぇ、君達はまだ子供だから許されるけど、18才になったら無実の罪をきせられたって牢に入れられるのよ。その時『ボナースだから仕方ない』の一言でこれからの人生を諦められるの?」
「牢にいれられるの…?」
「そんな…」
小さい子はそんな事も解っていない。
「今はまだ子供扱いだから、大きな罪でなければ捕まったりしなかったの。18才になった瞬間から捕まるの。」
「俺達がやった訳じゃなくても?」
「そう。その時にきちんと状況を説明したり、相手の言う事を理解しなければ、自分を助けられないの。」
「『卑下』という言葉が解らなかったから、そこで1度会話が途切れたよね。無実の罪だって言う事を『弁明してみなさい』って言われて、君は解らなかったら何て返事をするの?」
「……」
偉そうな事を言ってしまったわ。
けれど、無実の罪で人生潰してほしくはないの。




