大ピンチの婚約者3
「ニーナが別邸にいた…って証言する人がいなければ、俺が言った事が嘘か本当か判断するのは難しい。問題が個人的なやりとりですむ話じゃない。ステーシーの店で会った時に一緒に帰っていればリード公爵の件を使って連れて帰り易かった。だが今回はどんな理由であれ本物を連れてきてる。」
「確かにそうだわ……」
「……1人で楽しく暮らす。俺に言ったんだ。簡単には捕まるなよ。」
「わかってる!監禁されるなんて嫌だもの。」
「…監禁、本当にされそうならメイドでも警備でも服を奪って逃げろ。そして城下にあるステーシーの店に逃げ込め。…ニナ?」
…途中からクール様の声は私に聞こえていなかった。
「……っ見つけたわ…」
「何を?」
「クール様!私化粧なおししてきます!」
「おいっ!ちょっと待てっ!!」
クール様が止めるのもきかず、会場の奥に行く女の人を追いかけた。
「まてっニナっ!!勝手に俺から離れるなっ…」
「クール様!私と踊ってください!」
「っは!?」
何だ…コイツら!急に…
「あとでお相手致します。手を離していただけますか……?」
よく見れば俺を掴んで離さない女の1人は侯爵の娘だ。
女を見ると嫌らしい笑みを浮かべている。
「っくそっ!!どけっ!」
ニーナは足が速い。今から追いかけてもどこに行ったか見つけられない。
「オイッ!ニナを…エドワード殿下と一緒にいた女を探せ!大至急だっ!!」
近くにいた警備兵に言った。
「何故ですか…」
「殿下の命令だっ!他の警備にも伝えろ!いいな、あの女に何かあったら命は無いと思えっ!!」
絶対に何かある。
殺される可能性だってある。
追い付かないと大変な事になる。
・・・・
「っどこ!?どっちに行った?」
広いきらびやかな廊下は10mほどの直線で、そこで左右にわかれている。そしてそのどちらにも部屋がつづいている。
どっちを見てもいないって事は、この中のどれかにいるという事?
考えても仕方ない、右なら突き当たってまた右に曲がる門がある、部屋なんて覗けないし、そっちにかけるしかないよね!
あれは絶対あの邸でいた時の侍女だったわ!何故ここに?捕まったの?でもそれならこの舞踏会場にいるのはおかしいよね…
でも本当にあの時の侍女なら、お母様の手鏡がどうなったのか知ってるかもしれない!
諦めていた懐中時計は返ってきた。
この国で買った物はあっても、それは家族との思い出なんてつまってない!
私を世話してくれてた人を、1人だって連れてきては駄目だった。
私はたった1人。…小さな鞄1つ分の私物だって持ってくるのにチェックされた。何も誰にも信用されないまま、本当に孤独だった。
私だから生きてこれただけよ!!
これから1人で暮らしていくのだとしても、思い出を大切にするのとは話が別よ。
もしあの侍女だったなら絶対許さないわ!
角を曲がって走っていた時、後から音が聞こえた気がした。
もしかして、どこかの部屋にいたとか?
ガタッ
「誰かたっす…んー…」
バタンッ
「え?」
何…今の女の声…
……どこかの部屋に誰か連れ込まれた…よね?
女の人が部屋に強引に連れ込まれる。…聞いた事はあるけど…こういう事って本当にあるの!?
……助けるにしても…今ここに私しかいないんだけど。




